コラム | キヤノンITソリューションズ

AI-OCRとは?OCRとの違いや役割、導入メリットや活用事例を解説

作成者: スーパーストリーム|2023.09.30

AI-OCRとは、人工知能(AI)技術と光学文字認識(OCR)技術を組み合わせたDXソリューションの1つです。AI-OCRを活用し、スキャンした文書や画像からテキストデータを自動的に抽出・認識することで、デジタルテキストに変換可能です。

企業がAI-OCRを導入することで、これまで手作業に頼っていた文字や数字の入力作業を自動化し、業務の効率化を実現します。

また、文書データをデジタル処理するだけではなく、抽出したデジタルテキストデータを基に自動分析することで、迅速な経営判断の実現も可能となります。

それ以外にも、AI-OCRを効果的に活用することで、会計業務の効率化や顧客サービスの向上などに役立つでしょう。

そこで今回は、AI-OCRとOCRとの違いや、AI-OCRの役割や導入メリット、活用事例を徹底解説します。業務の効率化に取り組もうとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

AI-OCRとは?OCRとの違い

AI-OCRとは、人工知能(AI)技術を活用して、印刷されたテキストや手書きの文字をデジタルテキストに変換する技術のことを指します。

一般的なOCRも画像内の文字を識別してテキストとして抽出する能力を持っていますが、AI-OCRはその処理の精度と効率を向上させるために、AIアルゴリズムが組み込まれているのが特徴です。

AI-OCRとOCRの主な違いは以下の通りです。

文字の認識精度の違い

AI-OCRとOCRでは、まず文字の認識精度に大きな違いが見られます。

OCRが画像内の文字を単純に認識する機能なのと比較して、AI-OCRでは文字を認識するだけでなく、文章全体の文脈を理解し、その意味を認識する能力も備えています。

このように、AI-OCRを活用することで、より正確なテキストの抽出が可能です。

対応できるフォーマットの違い

一般的なOCRでは対応できるテキストのフォーマットが限られるのに対し、AI-OCRでは高度な機械学習技術を使うことで、より高い精度の文字認識を実現しています。

これにより、文字の歪みやノイズなどの影響を受けにくくなり、より柔軟なフォーマットに対応できるようになるでしょう。

システムの柔軟性と拡張性の違い

一般的なOCRの場合は、一度ダウンロードしたツールの拡張やカスタマイズが難しいという課題があります。一方、AI-OCRの場合は、アルゴリズムやモデルの更新による柔軟なアップグレードやカスタマイズが可能です。

そのため、新しいテクノロジーやアルゴリズムが開発されるたびに、AI-OCRの性能が向上する可能性が高いのも強みの1つです。

AI-OCRの役割と影響

AI-OCRの役割は多様であり、さまざまな分野に影響すると考えられます。以下では、AI-OCRの役割と影響について解説します。

文字認識とデータ抽出を自動化できる

AI-OCRを活用することにより、アナログデータの文字認識やデータ抽出を自動化できます。

近年は企業の業務に関するさまざまな法改正が進んでおり、2024年1月から施行される改正電子帳簿保存法では、AI-OCRによるデータの抽出が大きな役割を果たすでしょう。

AI-OCRで紙媒体の書類をデジタルデータに変換して管理することで、手作業でデータを保存する際の人的ミスや会計担当者の負担を軽減可能です。

データの正確性が向上する

AI-OCRを活用することで、さまざまなデータを手作業で管理する際の人的ミスを無くすことができるため、データの正確性が向上します。

企業のデータにはさまざな種類がありますが、特に財務や会計に関する情報には正確性が求められます。

AI-OCRの活用によって正確な情報処理を実現できることで、ステークホルダーからの評価や企業価値の向上に寄与するでしょう。

業務の自動化と効率化を実現できる

AI-OCRを活用することで、大量の文書や書式を手動で入力・管理する手間を省くことができます。

AI-OCRによって定型業務が自動化されるため、担当者の作業負荷を軽減でき、手の空いた優秀な人材をコア業務に集中できるでしょう。

これにより、企業の生産性や収益率の改善にも期待ができます。

ビジネスプロセスの改善とDXの推進に役立つ

AI-OCRは、印刷物や手書きの文書をデジタルフォーマットに変換するための重要な役割を果たします。これにより、紙ベースの情報を電子データとして利用・保存できるようになります。

AI-OCRでアナログデータの抽出とデジタル化したデータの整理が迅速に行われるようになるため、効率的な業務プロセスを実現できるだけでなく、企業のDX化の推進にも役立つでしょう。

AI-OCRの導入メリット

AI-OCRの導入にはさまざまなメリットがあります。以下では、その主なメリットについて解説します。

業務の効率化と生産性の向上

AI-OCRで定型業務を自動化することで業務効率が改善し、優秀な人材をコア業務に集中できるため、生産性の向上に役立つでしょう。

深刻な人材不足が懸念される国内産業においては、業務効率の改善は重要な要素です。そのため、AI-OCRが今後より一層重要な役割を果たすと考えられます。

大量のデータを正確に管理できる

企業が保有する大量の文書やデータを手作業で管理する場合、どうしても人的ミスが生じがちです。しかし、AI-OCRを活用することで、大量のデータを正確かつ迅速に処理できます。 企業によっては、ビッグデータの解析や有用な情報の抽出も可能となるでしょう。

AI-OCRは、機械学習やアルゴリズムの技術を活用しながら高い文字認識の精度を実現しています。そのため手作業よりもエラーが少なくなり、企業情報の信頼性や企業価値の向上にも寄与するでしょう。

コストの削減

AI-OCRによる業務の効率化は、生産性や正確性の向上に役立つだけでなく、企業のさまざまなコスト削減にも役立ちます。

優秀な人材を定型業務から解放し、比較的簡単な業務を自動化することで、これまで残業などにかかっていたコストを削減できる可能性があります。

データセキュリティの向上

AI-OCRで紙ベースのデータをデジタルに変換して管理することで、セキュリティ対策を強化が可能です。

印刷物や手書き文書をファイリングするなどして保管した場合には、書類の持ち出しによる紛失や情報流出の危険性があります。一方、AI-OCRを使って重要書類をデジタル管理することで限られた人物のみがデータにアクセスできるようになるため、セキュリティの向上に寄与します。

さらに、重要なデータをクラウド管理することで、アクセス権をもつ管理者がいつどこからでも情報にアクセスできるだけでなく履歴も残るため、安心してデータを管理できるでしょう。

柔軟なスケーラビリティと高い拡張性

AI-OCRは多様なフォントや言語、フォーマットに適用できる柔軟性を持っています。

また、必要に応じてシステムを拡張することも可能となるため、企業の成長にあわせて柔軟に対応できるのもメリットと言えるでしょう。

AI-OCRの活用事例

それでは次に、AI-OCRの活用事例を紹介します。

企業会計や経理業務への活用

企業の請求書の入力業務にAI-OCRを活用することで、経理担当者の負担軽減と生産性向上を実現可能となるため、以下でその一例を紹介します。

スーパーストリーム社のSuperStream-NX AI-OCR(請求書)/AI-OCR(請求書明細)は、請求書の入力処理を自動化するソリューションとして多くの企業で採用されています。

SuperStream-NXでは、PDF化した請求書をAI が解析。そして、読み取った内容を基に勘定科目を推論して自動的に仕訳データを作成し、その信頼度と合わせて会計システムへ登録します。

月末月初に集中的に発生しやすい請求書の入力作業をAIがサポートすることで、担当者の負荷を大幅に軽減可能です。

また、作成された仕訳データは、承認処理の後、支払処理に連携するため、支払業務の負荷も大幅に軽減でき、仕訳入力から支払業務までの生産性が大幅に向上するでしょう。

AI-OCRを採用したSuperStream-NXの特徴は、数多くのSuperStreamユーザの請求書データをディープラーニングで学習することで、高い精度のAI-OCRを開発。これにより、フォーマットを問わず、さまざまな請求書に対応可能です。また、特殊な仕訳ルールが存在する場合でも会社ごとに独自のルールを設定できるため、仕訳の精度がさらに向上します。

そしてAI-OCRで読み取った請求書の電子ファイルは、エビデンスとして仕訳に添付され、会計システムに自動的に連携されます。 

SuperStream-NX証憑管理 e文書対応オプションと組み合わせることで、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度にも対応できるため、ペーパレス化にも貢献しつつ企業のDXを強く推進可能です。

出典:【AI-OCR】SuperStream-NX AI-OCR(請求書)の紹介動画

契約管理

AI-OCRを活用して契約書から必要な情報を自動的に抽出することが可能です。

支払い期限や契約の条件などをデータベースに取り込むことで、管理作業を効率化できます。

人事や採用プロセスへの活用

AI-OCRは、人事や採用プロセスにおいても有益な活用が可能です。

AI-OCRによる応募者データや求人広告の分析サポート、面接プロセスの効率化や応募者体験の向上など、多くのメリットを享受できるでしょう。

医療関連業務への活用

医療機関では、患者の診療記録や検査結果をAI-OCRで処理し、電子カルテに統合することが行われています。

これにより、データの正確性とアクセス性が向上し、医療業務の効率化を実現可能です。

金融業務や融資審査への活用

金融機関では、顧客の書類や申請書をAI-OCRで解析し、信用審査や融資判断に利用されています。

これにより、金融審査のプロセスの迅速化と正確性の向上を実現しています。

教育分野の活用

教育機関においては、教科書や資料をAI-OCRでデジタル化して電子教材として提供することが行われています。

また、手書きの試験用紙を電子データに変換することで、採点プロセスを効率化することも可能です。

上記の例は、あくまでAI-OCRの一部の活用事例です。実際には、より多くの分野においてさまざまな方法で活用されています。

また、技術の進化に伴い、今後さらに新たな活用方法が生まれていくことでしょう。

AI-OCRのまとめ

このように、AI-OCRは人工知能技術を活用した印刷文字や手書き文字をデジタルテキストに変換する技術で、さまざまな分野で広く活用されています。

その中でも、いま特に注目されているのが、企業の経理業務への活用です。2024年1月に施行される改正電子帳簿保存法では、これまでの紙ベースの帳簿書類をデジタルベースに置き換える作業が必要となるため、AI-OCRが大いに役立つでしょう。

また、2023年10月から施行されるインボイス制度においても、複雑な消費税計算にあたり、手書き帳簿を自動的にデジタルデータに変換できるAI-OCRが非常に便利です。

そこでおすすめしたいのが、キヤノンITソリューションズの「SuperStream-NX」です。

「SuperStream-NX」は、クラウド会計システムとして多くの企業に選ばれています。

高度な機能と操作性を備え、コスト削減や保守・管理業務の負担軽減が可能です。さらに、高いセキュリティと可用性を提供し、ビジネスの成長に応じた柔軟な拡張性も魅力です。

AI-OCRやRPAを活用した業務の自動化と効率化も実現しており、手作業によるミスを減少させ、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。

そこで、まずはオンラインでお気軽に資料請求してみてください。

また、自社に必要なシステムの種類や選び方がわからない場合は、いつでもキヤノンITソリューションズにご相談ください。貴社に適したソリューションを提供いたします。

国内1万社以上が導入する「SuperStream-NX」。下記の動画では、クラウド活用、システム連携、法改正対応の3つのポイントを解説しています。ぜひご視聴ください。