四半期報告書は、金融商品取引法によって定められた、上場企業が四半期ごとに公表しなければならない重要書類の1つです。企業は四半期報告書を通じて、過去の業績や財務情報、事業の進捗状況、将来の展望などを企業外部に提供します。
四半期報告書の提出スケジュールは、一般的に四半期終了後の約45日以内となっており、期限を守ることが求められます。もし、提出を怠ったり、虚偽の内容を記載したりした場合は、金融商品取引法の基づき厳しく処罰される可能性があるため注意が必要です。
そこで今回は、四半期報告書について、対象となる企業や記載内容、提出スケジュールや期限などを解説します。上場企業で四半期報告書の作成に関わる方は、ぜひ参考にしてください。
四半期報告書(しはんきほうこくしょ)とは、企業が四半期(3ヶ月)ごとに公表する財務情報や業績結果をまとめた報告書のことを指します。
四半期報告書の主な目的は、株主や投資家、金融機関などのステークホルダーに対して企業の業績や財務状況を開示し、適正かつ公平な投資判断を実現するためです。
四半期報告書を作成し、公表しなければならない対象企業は、一般的に株式市場に上場している企業です。
四半期報告書には、主に次の4つの役割があります。
四半期報告書は、企業が適切な情報を適切なタイミングで公開することにより、投資家に対する情報の透明性を確保します。
企業の業績や財務状況に関する情報開示が不十分だと、投資家は企業の実際の状況を把握することが難しくなり、リスクの評価や投資判断が困難になります。そうなると、企業の資金調達が難しくなり、結果として企業価値を下げてしまう可能性があるでしょう。
株主や投資家は、四半期報告書を通じて企業の業績や財務状況を評価し、将来の投資判断を行います。そのため、企業は正確な情報を開示する必要があります。
このように、四半期報告書は、投資家の判断を左右する重要性の高い書類です。
企業が情報開示のルールを遵守し、四半期報告書を通じて正確な情報を提供することは、企業が株主や投資家との信頼性を構築するだけでなく、市場の公平性を確保する役割を果たします。
その結果、企業の信頼性が高まり、企業価値を高めることに繋がるでしょう。
四半期報告書で正確な企業情報を開示することにより、企業内外のステークホルダーへの説明責任を果たすことができます。
四半期報告書の目的は、投資家や金融機関が企業に対して適正に投資や金融支援を行うための情報を提供し、金融市場の透明性を促進することです。
これにより、企業とステークホルダーの両方が、信頼性の高い情報に基づいた意思決定を行えるようになります。
それでは次に、四半期報告書に記載すべき内容を解説します。四半期報告書に記載すべき主な内容は次の5つです。
四半期報告書に記載すべき企業情報には、売上高や当期純利益などのを示す重要な財務数値や事業内容、各種経営指標といった株価に影響を与える情報を記載します。
四半期報告書に記載すべき事業の状況には、事業に関するリスクの説明やキャッシュフローの説明、重要な契約に関する情報など、企業が事業を遂行する上で重要となる情報を記載します。
四半期報告書に記載すべき会社の状況には、発行済株式や新株予約券、自己株式といった株式情報のほか、社内の役員情報を記載する必要があります。
四半期報告書に記載すべき経理の状況には、連結財務諸表や財務諸表に関する注記、セグメント情報などがあります。
年度末に提出する有価証券報告書では、提出会社単体の個別財務諸表の開示が必要となりますが、四半期報告書では個別財務諸表が省略されます。
また、四半期報告書では第1四半期と第3四半期の報告書におけるキャッシュ・フロー計算書が省略されますが、第2四半期ではキャッシュ・フロー計算書の開示が必要です。
四半期報告書には、監査報告書が必要です。
監査報告書は、第三者的な存在である監査人の立場から監査の意見を述べた報告書で、企業が作成した財務諸表が適正であることを証明します。
監査報告書を開示する理由は、四半期報告書に間違いや虚偽がないことを示し、ステークホルダーからの信頼を得るためです。
決算情報に嘘や誤りがあると、証券取引所からの業務改善命令や、最悪の場合には上場廃止といった罰則が下される可能性があります。このようなリスクを回避するためにも、監査報告書が重要な役割を果たします。
ここでは、四半期報告書の提出期限と、後で紹介する決算短信のスケジュールを、下記の表でわかりやすく解説します。
対象期間 |
四半期報告書の 提出期限 |
決算短信の 提出期限(目安) |
|
第1四半期 |
4月1日~6月30日 |
8月15日前 |
7月末頃 |
第2四半期 |
7月1日~9月30日 |
11月15日前 |
10月末頃 |
第3四半期 |
10月1日~12月31日 |
2月15日前 |
1月末頃 |
有価証券報告書 |
事業年度分 |
6月15日前 |
ー |
上記のように、四半期報告書の提出期限は、原則として各四半期会計期間経過後45日以内となります。また、第4期分は有価証券報告書を作成・提出します。
上場企業が開示すべき決算情報には、四半期報告書の他にも決算短信や有価証券報告書があります。
四半期報告書、決算短信、有価証券報告書は、いずれも企業の業績などに関する情報を公開する報告書ですが、それぞれ提出するタイミングや内容が異なります。
決算短信は、株式を証券取引所に上場している企業が証券取引所の開示ルールに則り、決算発表時に作成・提出する決算速報です。
四半期報告書や有価証券報告書は金融商品取引法に準じており、この点において基準が異なります。
四半期報告書と決算短信の主な違いを下記の表でまとめますので、参考にしてください。
四半期報告書 |
決算短信 |
|
目的 |
企業の迅速な情報開示 |
|
適用基準 |
金融商品取引法 |
証券取引所が定めたルール |
監査報告書の必要性 |
必要 |
不要 |
提出期限 |
各期の締日から45日以内 |
各期の締日の30日~45以内 |
有価証券報告書は、金融商品取引法で規定されている事業年度ごとに作成する企業内容を外部へ開示するための資料で、四半期報告書の第4期の種類にあたる重要資料です。
有価証券報告書は、四半期報告書よりもさらに詳しい内容を記載する必要があり、もし記載内容に嘘偽りがあった場合には厳しい罰則を課せられる可能性があります。
四半期報告書と有価証券報告書の主な違いを下記の表でまとめます。
四半期報告書 |
有価証券報告書 |
|
目的 |
企業の迅速な情報開示 |
|
適用基準 |
金融商品取引法 |
|
監査報告書の必要性 |
必要 |
|
提出期限 |
各期の締日から45日以内 |
決算日から3ヶ月以内 |
なお、四半期報告書よりも有価証券報告書の方が詳細な内容を記載する必要があります。
有価証券報告書に記載しなければならない内容は、次の通りです。
それでは最後に、会計システムで四半期報告書を効率よく作成するプロセスを紹介します。四半期報告書を毎回手作業で作成するのは、非常に時間と手間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーを起こす要因にもなります。
そこで会計システムを活用し、以下の手順に沿って作業を自動化するのがおすすめです。
※なお、下記は一般的な手順ですので、あくまで使用する会計システムに合わせてご活用ください。
まずは自社の決算期に合わせて期間を選択します。
多くの企業では、4月〜3月末の期間を設定していますが、中には異なった期間を採用するケースもあるため、自社の決算期に合わせましょう。
自社の四半期報告書に記載すべき事項のデータを準備します。
必要となるデータには、売上高、利益、負債、資産、キャッシュフローなどが含まれます。会計システムでは、該当期間の取引データや帳簿データを自動的に集計可能です。
会計システムのレポートエディタを使用して、四半期報告書のレイアウトやフォーマットを設定しましょう。
会計システムによっては、ヘッダー情報(企業名、報告期間など)や財務諸表の表形式、グラフ、図表などの要素を組み合わせてデザインし、視認性を高めることも可能です。
四半期報告書のレポート作成時には、必要に応じてパラメータやオプションを設定しましょう。
設定するパラメータには、言語や通貨、レポートのタイトル、表の並び順、表示するデータの範囲などが挙げられます。
設定が完了したら、会計システムが自動的に四半期報告書を生成します。
レポートが作成されたら、内容やデザインが正しいかどうかを確認しましょう。
四半期報告書の内容は重要事項であるため、データ入力などにミスがあると内容に誤りが生じ、企業に大きなダメージを与える可能性があります。
会計システムが自動で報告書を作成しますが、確認作業は入念に行うことが重要です。
四半期報告書のデータが完成したら、必要な形式に変換するか印刷し、配布する準備をします。
主にPDFやExcel形式に変換して利用するケースが一般的です。
このように、四半期報告書の作成は、企業がステークホルダーに対して重要情報を開示するための業務であり、内容の間違いや虚偽の報告は許されません。
そこで、ヒューマンエラーなどのリスクを軽減するためにクラウド会計システムを導入し、常に最新の法令や制度に準じた報告書を作成できる体制を整えておくことが大切です。
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