コラム | キヤノンITソリューションズ

人事管理とは?目的と役割、労務管理との違いや業務の課題と対処法を解説

作成者: スーパーストリーム|2023.06.12

労働人口の減少や働き方の多様化が進み、さまざまな業界で人材不足が問題化する現代は、企業の目標達成や競争力の向上に直結する人事管理の重要性が増しています。

人事管理とは、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるような企業体制や組織のルールを整えるのが目的です。

企業が適切な人事管理を行うことで、限りある人的リソースを最大限に活用しながら、企業と従業員それぞれの目標達成を目指します。

人事管理と似た言葉に労務管理がありますが、それぞれ企業人事における重要な業務です。人事管理と労務管理の業務内容を明確にすることで、人事業務の効率化を実現できます。

そこで今回は、人事管理の目的や役割、労務管理との違いや業務内容の具体例を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

人事管理の目的と役割

人事管理とは、企業の目標達成のために、従業員が最大限の成果をあげられる体制やルールを整えることです。人事管理は、人材を雇用するところから解雇するまでの管理活動の全般を指します。

人事管理の目的

人事管理の主な目的は以下の通りです。

目的

説明

人材の能力最大化

従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、企業の業績向上や競争力強化につなげる。

組織目標の達成

適切な人材配置や育成を通じて、組織全体の生産性と効率性を向上させ、企業の目標達成を支援する。

従業員の成長支援

研修プログラムやキャリア開発支援を通じて、従業員の継続的な成長とスキルアップを図る。

モチベーション向上

公正な評価・報酬制度の構築や良好な労使関係の維持により、従業員のモチベーションを高める。

法令遵守と労務管理

労働関連法規を遵守し、適切な労務管理を行うことで、従業員の権利を保護し組織のリスクを最小化する。

人材の確保と定着

優秀な人材を採用し、長期的に定着させることで、企業の持続的な成長と競争力を確保する。

これらの目的を達成することで、企業は人的資源を最大限に活用し、持続的な成長と発展を実現することができます。

人事管理の役割

企業目標を達成するために行う人事管理の役割は、主に次の5つが挙げられます。

役割

説明

人材採用

組織の目標達成に必要な人材を効果的に確保する。

応募者データの分析や過去の採用情報を活用し、優秀な人材を効率的に採用する。

人材育成

従業員の能力向上を目指し、個々の資質や能力に応じた育成プランを策定・実施する。

内部・外部研修の提供、計画的なOJT、自己啓発の支援などを行う。

人材評価

客観的な評価指標に基づいた人事評価制度を構築・運用する。

スキル、実績、勤務状況、業務遂行能力、組織貢献度などを公正に評価し、従業員の成長を促す。

人材配置

従業員の能力やスキルを分析し、適材適所に配置・異動させる。

個々のパフォーマンスを最大化し、組織全体の生産性向上につなげる。

人材のモチベーション管理

従業員のモチベーションを維持・向上させるための環境整備を行う。

定期的なコミュニケーション機会の設定、キャリア面談の実施、健康状態の把握などを通じて、従業員の心理状態を良好に保つ。

これらの役割を効果的に遂行することで、企業は人的資源を最大限に活用し、組織の目標達成に向けて前進することができます。

 

下記の資料では、現代の人事業務に求められる「戦略人事」を詳しく解説。戦略人事を実現するための2ステップと、ステップ毎に障壁となる人事部門の「7つ」の課題と対応策を分かりやすく解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。

人事管理と労務管理の違い

人事管理と労務管理は、一見似たような業務として混同されがちですが、実際には異なる側面を持っています。

人事管理は、組織内の人材に対して行われる管理活動で、採用や配置、教育・研修、評価・報酬などの人事政策や規則の策定と運用が中心となります。つまり、個々の従業員や役職に適切に対応し、人材の活用や成長を促進することが目的です。

一方、労務管理は、労働環境や労働条件を管理するのが目的です。労務管理では、労働法や労働規則の遵守、労働時間の管理、給与や福利厚生の制度設計などが主な業務となり、組織全体の労働環境の向上を目指します。

人事管理と労務管理の業務内容には重複する部分もありますが、主な違いは以下の通りです。

人事管理

労務管理

人材の採用・配置

労働契約の締結・管理

人材育成・キャリア開発

就業規則の作成・改定

人事評価制度の構築・運用

勤怠管理

組織設計・人員計画

給与計算・給与明細発行

モチベーション管理

社会保険・労働保険の手続き

人材戦略の立案

労働環境の整備・安全衛生管理

上記のように、人事管理は主に人材の戦略的活用や長期的な育成に焦点を当てているのに対し、労務管理は日々の労働条件や法令遵守に関する業務を中心に行っています。両者が連携することで、効果的な人材マネジメントが実現できます。

組織が人材を有効活用するためには、人事管理と労務管理の両方が重要です。それぞれを適切に行い、人材の能力向上と働きやすい環境の整備に取り組むことが、組織の成果や従業員の満足度の向上につながります。

人事管理の具体的な業務7つ

人事管理によって人材を活用し成長を促すための具体的な業務には、次の7つがあります。それぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1.採用業務

採用業務は、組織の人材戦略に基づいて、優れた人材を採用するのが目的です。そこで、次のような業務を行います。

  1. 1. 人材需給の分析と計画
  2. 2. 採用戦略の策定
  3. 3. 応募者の選考と面接
  4. 4. 応募者とのコミュニケーション
  5. 5. 入社手続きとフォロー

上記のような活動を通じて、優秀な人材の発掘と採用を行います。

2.人事評価業務

人事評価業務は、従業員のパフォーマンスや勤務態度などを評価し、昇進や昇格、人材配置などにつなげるための重要な施策です。 人事評価を通じて、従業員のモチベーションの向上や、組織の競争力強化に期待できます。

3.労務管理業務

労務管理は、労働条件や労使関係に関する具体的な管理業務を指し、従業員の労働時間、給与計算、勤怠管理、労働契約の管理、労働法令の遵守など、労働に関わるさまざまな要件をカバーするのが特徴です。

労務管理は、労働条件を公平かつ法的に管理することで、労働者の権利や福利厚生を保護します。また、労働環境の安定と法令遵守は、組織の信頼性や従業員の満足度にも影響を与えます。

労務管理は人事管理の一環として行われるため、人事部門や人事担当者が担当するのが一般的です。人事管理と労務管理が連携し、組織内の労働環境を整備することで、従業員の満足度や生産性の向上に期待できます。

4.福利厚生管理業務

福利厚生管理は、従業員の福利厚生制度を設計・管理し、従業員の生活や働き方の質を向上させるのが目的です。 福利厚生管理の具体的な業務は、福利厚生制度の適切な運用と、従業員への相談対応などです。

福利厚生管理は、従業員の働きやすさや生活の安定を支える上で重要な役割を果たします。適切な福利厚生制度の運用は、従業員のモチベーションや企業への忠誠心の向上につながり、組織全体のパフォーマンスの向上に寄与します。

5.人材開発業務

人材開発とは、従業員の能力やスキルを向上させ、組織の成果や競争力を高めるための取り組みです。 人材開発の具体的な業務は、職業トレーニングや研修プログラムの企画と実施、パフォーマンス評価とフィードバック、キャリア開発支援などがあります。 このような取り組みは、組織の成長や市場の変化に対応するために重要な役割を果たします。

6.労使関係の調整業務

労使関係の調整は、労働者と組織の間の関係を円滑に保ち、労働条件や労働環境に関する問題や紛争を解決するための取り組みです。

労使関係の調整業務には、労働契約の管理、労働条件の調整、労使協議の実施、労使紛争の解決、労使関係のモニタリングと改善などがあります。 円滑な労使関係の構築と適切な調整は、組織の労働生産性や従業員の満足度を向上させる上で不可欠な役割を果たします。

7.組織文化の構築業務

組織文化の構築は、組織全体の行動規範や価値観、風土を形成する重要な業務です。組織文化は、従業員の行動や態度に影響を与え、組織の方針や目標の達成に向けた共通の基盤を提供します。 人事管理の組織文化構築に関連する業務は、価値観の明確化、コミュニケーションの促進、リーダーシップの育成、社内イベントや研修の実施、報酬制度や評価制度の適正化などです。 組織文化は組織の持続的な成長や従業員の満足度に大きな影響を与えるため、人事部は積極的にこれらの取り組みを行うことが大切です。

 

「若年層社員が突然退職する傾向の増加」「内定辞退」などが課題視されています。このホワイトペーパーでは、人事データを活用して「従業員に選ばれる企業」になる方法を紹介しています。またSuperStream-NXを使った人事データの蓄積・分析術についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

効果的な人事管理の実践方法

効果的な人事管理の実践方法には以下の4つが挙げられます。これらの方法を組み合わせることで、効果的な人事管理を実践できるでしょう。

1.人事管理システムの活用

人事データを効果的に活用できる人事管理システムを導入することで、より良い人事管理が可能になります。自社の課題に合わせたツールを選択することが重要です。

2.課題の明確化

人事管理を通して解決したい課題を明確にします。企業のビジョンと従業員の目標を紐づけることで、業務効率化や生産性向上が期待できます。

3.現状分析と計画要員の策定

ビジョン実現に必要な人材の有無を検討し、現状を分析します。その後、目標達成に必要な人員を予測し、具体的な人材要件を検討します。

4.育成施策の実施

集団研修、OJT、メンター制度などを用いて、新卒社員から管理者まで最適な育成を行います。社員のスキルアップ研修や自己研鑽のためのサポートシステムも検討しましょう。

 

 

下記の資料では、累計10,345社以上が導入し、高度な技術力で快適な操作性を提供している経営基盤ソリューション(財務会計|人事給与)SuperStream-NXの製品資料を無料でダウンロードできます。ぜひご参照ください。

人事管理の4つの課題と対処法

上記のように人事管理・労務管理を行うことは事業を正常に運営するために必要不可欠です。しかし人事管理の課題は会社によって違うもの。 そこで、人事管理でよくある4つの課題とその対処法について解説します。

1.人材の確保と競争力の維持

人材確保と市場における競争力の維持は、企業の成長と存続に欠かせない項目です。そこで、人事管理における人材確保と市場における競争力を維持するために、次のような施策の実施が効果的です。

  • 優れた採用戦略の策定
  • 優れた福利厚生制度の提供
  • 従業員のエンゲージメントの向上
  • 継続的な人材開発とスキル向上
  • 良好な労使関係の構築

これらの方法を継続的に実践し、組織が魅力的な雇用主であることを示すことで、優れた人材の確保と競争力を維持できるでしょう。

2.多様性と包摂性(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進

多様性と包摂性(ダイバーシティ&インクルージョン)とは、多様な人材を受け入れ、その能力を発揮させる考え方を指します。 人事管理においてダイバーシティ&インクルージョンを推進するためには、以下の取り組みが効果的です。

  • 多様性を尊重する採用プロセスの実施
  • 多様な人材採用の促進
  • 組織文化や人事政策の見直し
  • リーダーシップの育成
  • 従業員データの収集と分析

上記のような施策を組織全体で取り組むことで、多様性と包摂性を推進し、組織のパフォーマンスや創造性を向上させることができます。 また、多様なバックグラウンドを持つ人々に、魅力的な職場環境を提供することが可能です。

3.DXの推進

人事管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためには、次のような施策が効果的です。

  •  デジタルツールの導入
  •  AIと機械学習の活用
  • データに基づいた人事管理
  • オンライントレーニングによる従業員のスキル開発
  • デジタルコミュニケーションの強化
  • DXへの意識啓発と研修の実施

上記のような取り組みを継続的に行うことで、人事管理のDXを推進し、業務の効率化や情報の透明性、従業員エクスペリエンスの向上などを実現できるでしょう。

4.働き方改革とワークライフバランスの推進

人事管理における働き方改革とワークライフバランスを推進するためには、主に次のような取り組みが挙げられます。

  • フレキシブルな働き方の促進
  • 労働時間の管理と効率化の実現
  • 休暇制度の充実
  • カウンセリングやサポートプログラムの提供
  • チームのコラボレーションと役割分担
  • 上司や管理職の意識改革とリーダーシップの育成

これらの取り組みを実践することで、従業員に柔軟な働き方を提供し、ワークライフバランスの向上、生産性の向上、従業員満足度の向上などの効果を期待できます。 ただし、これらの施策を成功させるためには、人事だけでなく、業務を遂行する現場スタッフとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。そこで、人事管理ツールを活用しながら、各部署と横断的な情報交換を促進することが大切です。

 

累計10,345社以上が導入し、高度な技術力で快適な操作性を提供しているSuperStream-NXは、”経理部・人事部ファースト”という思想を元に開発され、圧倒的な使いやすさを実現しています。製品の詳細はダウンロードPDFにてご覧いただけますので、ぜひ下記の資料をダウンロードしてご一読ください。

人事管理のまとめ

上記のように、人事管理は自社の人材を効果的に活用するための重要な役割を担い、組織全体のパフォーマンスと成果の向上に大きく貢献します。そのため、人事を担当する方は、人材の採用から退社に至るまでの管理業務を効率よくこなし、成果を出さなければなりません。

そこで本記事を参考にして、自社の業務に合う適切なクラウド人事管理ツールを活用し、業務の効率化と成果の最大化を実現しましょう。

SuperStream-NX人事給与ソリューションは、スキル情報をもとに従業員の今の姿(As Is)とあるべき姿(To Be)を明らかにするだけでなく、セルフサービス化によって従業員を人事業務へ参加させ、自立型社員の育成が可能な仕組みを提供します。

これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。

下記の資料では、「経営基盤ソリューション SuperStream-NX」の詳しい内容を解説しています。登録なしでご覧いただけますので、この機会にぜひご参照ください。

まずはオンラインでお気軽に資料請求してみてください。

また、自社に必要なシステムの種類や選び方がわからない場合は、いつでもキヤノンITソリューションズにご相談ください。貴社に適したソリューションを提供いたします。

国内1万社以上が導入する「SuperStream-NX」。下記の動画では、タレントマネジメントの強化、人事データの一元管理、法改正対応の3つのポイントを解説しています。ぜひご視聴ください。