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ファイナンスリースとは?所有権移転と移転外取引の違いを徹底解説

作成者: スーパーストリーム|2024.11.16

リース契約には、大きく分けてファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があります。どちらを選ぶかで、企業の財務状況や税金への影響が大きく変わるため、十分な注意が必要です。

本記事では、ファイナンスリースの中でも、特に所有権が移転するケースと移転しないケースの違いを、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。

 

リース契約を検討している方や、会計処理について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

ファイナンスリースとは?

リース契約には、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があります。

ファイナンスリースは、契約期間中に資産の所有権を移転することを前提としており、契約終了時に資産が借主のものとなる場合が多いです。

一方、オペレーティングリースは、資産の所有権がリース会社に残り、契約終了時には資産を返却するのが一般的です。

関連記事:オペレーティングリースとは?仕訳方法やメリット・デメリットを解説

ファイナンスリースの定義

ファイナンスリースとは、借主が資産を長期間にわたって使用することを目的としたリース契約で、借主が資産のリスクと利益を実質的に負担するものです。

ファイナンスリースでは、借主がリース期間中に資産の所有権を持たず、リース満了後に所有権を取得するオプションがある場合が多いことも特徴です。

ファイナンスリースのリース料は、資産の購入価格と同等の金額をカバーするため、実質的には借入と同じような機能と言えるでしょう。

ファイナンスリースとオペレーティングリースの違い

項目

ファイナンスリース

オペレーティングリース

所有権の移転

リース期間終了後に所有権が借主に移転する場合が多い

所有権はリース会社に残り、リース期間終了後は資産を返却

会計処理

資産と負債をバランスシートに計上(オンバランス)

リース料を経費として計上(オフバランス)

リース料の設定

資産の購入価格をカバーするように設定され、実質的には借入と同様

資産の残存価値を考慮してリース料が設定されるため、比較的低廉

解約可能性

原則として契約期間中の解約は不可

借主の必要に応じて柔軟な契約期間設定が可能

リスクと利益の負担

借主が資産のリスク(減価償却や保険など)と利益を負担

リース会社が資産の残存価値リスクを負担

適用例

長期的な設備投資や高額な資産(例:工場設備、車両など)

短期的な利用や技術革新による陳腐化リスクが高い資産(例:IT機器、建設機械など)

税務上の扱い

借主が減価償却費を計上可能

リース料全額を経費として計上可能

上記のように、ファイナンスリースとオペレーティングリースの主な違いは、資産の所有権とリース期間です。

ファイナンスリースでは、借主が資産のリスクと利益を負担し、契約終了時に資産を取得するオプションがある場合が多いという特徴があります。一方、オペレーティングリースでは、資産の所有権はリース会社に残り、借主は契約終了時に資産を返却するのが一般的です。

また、ファイナンスリースは長期的な契約が一般的ですが、オペレーティングリースは短期間の契約が多いことも特徴といえるでしょう。

さらに、会計処理の面でも違いがあり、ファイナンスリースは資産と負債として計上されるのに対し、オペレーティングリースはリース料として費用計上されます。

関連記事:ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを比較して解説

 

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ファイナンスリースの種類|所有権移転と所有権移転外リースとは?

ファイナンスリースには大きく分けて、所有権移転リースと所有権移転外リースの2種類があります。以下で、それぞれの特徴を解説します。

所有権移転リースとは?

所有権移転リースとは、リース期間終了後に資産の所有権が借主に移転することを前提としたリース契約です。

契約期間中、借主は資産を使用し、リース料を支払いますが、最終的には資産の所有権を取得することになります。

このタイプのリースは、資産を購入する代わりにリースで取得することができるため、企業のキャッシュフローを改善する効果があります。

所有権移転外リースとは?

所有権移転外リースとは、リース期間終了後も資産の所有権がリース会社に残るリース契約です。

借主は資産を一定期間使用し、その期間中にリース料を支払いますが、リース終了後には資産をリース会社に返却します。

このタイプのリースは、資産の維持や管理に対する責任がリース会社に残るため、借主にとってリスクが少ないという利点があります。また、資産の使用期間が短い場合や、技術の進歩が速い業界で利用されることが多いです。

所有権移転と所有権移転外リースの違い

以下では、所有権移転リースと所有権移転外リースの主な違いを比較します。

比較項目

所有権移転リース

所有権移転外リース

所有権の移転

リース期間終了時に所有権が借主に自動的に移転

リース期間終了後も所有権はリース会社に残り、返却が必須

会計処理

資産及びリース債務を貸借対照表に計上(オンバランス)

中小企業・少額資産の場合を除き、原則オンバランス処理が適用

リスク負担

借主が減価償却・保険・維持管理の全責任を負う

リース会社が残存価値リスクを負担

解約可能性

契約期間中の解約不可(ノンキャンセラブル)

柔軟な契約期間設定が可能なケースあり

税務上の扱い

リース料総額を減価償却費として損金算入

消費税を物件引渡時に全額仕入控除可能

減価償却方法

通常の固定資産と同様の定額法・定率法

リース期間定額法(リース期間を償却期間)

資産管理

自社資産として固定資産台帳に登録が必要

リース会社が資産管理を実施(固定資産税申告不要)

契約例

特別仕様の生産設備/割安購入選択権付きリース

汎用性の高いIT機器/短期利用の車両

財務指標への影響

総資産・負債が増加しROA低下

オフバランス処理可能な場合、財務指標への影響が軽減

リース終了後の選択肢

自動的に所有権取得/再リース不要

返却・再リース・有償購入の選択が必要

上記のように、所有権移転リースは実質的な「分割購入」と同等で、リース料総額が資産価格+利息となります。一方、所有権移転外リースでは、リース期間中に支払った金額が減価償却限度額を超えると税務調整が必要です。

なお、2027年4月から大手企業やその関連会社に強制適用される新リース会計基準では、両者共に原則オンバランス処理が義務化されます。

関連記事:新リース会計基準の概要と改正のポイント、企業に必要な準備と対策を解説

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所有権移転リースの選び方と注意点

所有権移転リースは、リース期間終了後に資産の所有権を取得したい場合に適しています。

長期間にわたって使用する資産や、高額な初期投資を避けたい場合に選ぶと効果的です。また、リース料の支払い期間を通じて資産のコストを分散できるため、キャッシュフローの改善に役立ちます。

ただし、所有権移転リースを選ぶ際には、リース期間とリース料の総額をしっかりと確認することが重要です。

リース料には金利が含まれているため、最終的なコストが購入時より高くなることがあります。また、契約終了時に資産を購入するオプションが付いているかどうかも確認しましょう。

リース期間中の早期解約には違約金が発生する場合があるため、事前に契約条件を詳細に確認しておくことが大切です。

関連記事:ファイナンスリースの会計処理方法やメリット、具体事例を徹底解説

所有権移転外リースの選び方と注意点

所有権移転外リースは、短期間の使用を想定する資産や、技術の進歩が速い業界での利用に適しています。

リース期間終了後に資産を返却することができるため、資産の維持管理コストを抑えることができます。また、資産の更新が頻繁に必要な場合にも効果的です。

ただし、所有権移転外リースを選ぶ際には、リース期間と返却条件を詳細に確認することが重要です。

リース期間が短い場合でも、契約終了時に返却義務があるため、返却条件や状態を事前に把握しておく必要があります。

また、リース期間中のメンテナンスや修理についてもリース会社との契約内容を確認し、責任範囲を明確にしておくことが重要です。返却時に発生するコストや手続きにも注意を払いましょう。

 

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所有権移転リースのメリットとデメリット

以下では、所有権移転リースのメリットとデメリットを解説します。

所有権移転リースのメリット

所有権移転リースのメリットには、主に次の3つが挙げられます。

資産の所有権取得

所有権移転リースではリース終了後に資産の所有権が借主に移転するため、借主は資産を自社資産として管理でき、自由に使用や売却が可能となります。

資産の所有権を取得することで、企業の資産価値が向上し、将来的な投資や資産の活用に役立ちます。

税制上のメリット

所有権移転リースはリース料が経費として計上できるため、税負担が軽減される可能性があります。また、リース期間中に支払ったリース料は税務上の費用として認められることが多いため、税務上のメリットを享受できます。

これにより、企業のキャッシュフローの管理がしやすくなります。

計画的な資産の取得

所有権移転リースを利用することで、計画的に資産を取得できます。リースを活用することで、初期投資を抑えることができるため、資金繰りの改善や資産の更新が容易です。

リース期間を通じて一定額のリース料を支払うことで、資産の取得コストを分散し、財務計画を立てやすくなります。

所有権移転リースのデメリット

一方で、所有権移転リースには、次のようなデメリットがあります。

総費用の増加

所有権移転リースでは、リース期間中に支払うリース料に金利が含まれるため、総費用が直接購入するよりも高くなる可能性があります。リース期間が長いほど、支払い総額が増えるため、資金計画に影響を及ぼすことがあります。

資産価値の減少リスク

リース期間が終了して所有権を取得した資産の価値が、経年劣化や技術の進歩により減少するリスクがあります。特に、高価な設備や技術が急速に進化する業界では、資産の価値が大幅に低下することがあるため、慎重な判断が必要です。

契約条件の縛り

所有権移転リース契約は通常、期間中の早期解約が制約されることが多く、違約金が発生する場合があります。これにより、リース期間中に事業環境が変化しても、柔軟に対応することが難しいのがデメリットです。

所有権移転外リースのメリットとデメリット

以下では、所有権移転外リースのメリットとデメリットを解説します。

所有権移転外リースのメリット

まず、所有権移転外リースのメリットについて解説します。

資金の節約

所有権移転外リースは、高額な初期投資を避け、資産をリースすることで資金を節約できます。これにより、事業運転資金や他の重要な投資に資金を回すことができ、財務の柔軟性が向上します。

リース料は経費として計上できるため、税務上のメリットも享受できます。

最新技術の利用

所有権移転外リースでは、リース期間終了後に資産を返却するため、常に最新の技術や設備を利用することが可能です。特に技術革新が速い業界では、最新の設備を導入することで競争力を維持しやすくなります。

定期的なリース契約更新により、最新技術を継続的に活用できるのがメリットです。

柔軟性の高さ

所有権移転外リースは、使用期間終了後に資産を返却することができるため、事業の変化に応じた柔軟な資産運用が可能です。リース契約を見直すことで、事業ニーズや経済状況に応じた適切な資産管理が実現します。

また、資産の維持管理はリース会社に任せることができるため、運用コストの削減にも期待ができるでしょう。

所有権移転外リースのデメリット

一方、所有権移転外リースには、次のようなデメリットがあります。

総費用の増加

所有権移転外リースでは、リース料に金利や手数料が含まれるため、長期的には総費用が高くなる可能性があります。リース期間が長くなるほど、支払い総額が増加することがあり、購入よりも費用がかさむ点に注意が必要です。

所有権が得られない

リース期間終了後も資産の所有権はリース会社に残るため、借主は資産を自由に使用したり売却したりすることができません。そのため、資産管理や将来的な資産活用に制約が生じることがあります。

契約条件の制約

リース契約には特定の使用条件や制約が含まれることが多く、借主の自由な運用が制限されることがあります。また、契約期間中の解約には違約金が発生する場合があり、柔軟な対応が難しいのがデメリットです。

 

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ファイナンスリースの所有権移転と移転外取引の違いのまとめ

このように、企業がファイナンスリース契約を結ぶ場合には、まず所有権移転と移転外取引を理解することが重要です。そして、リース契約を締結した後は、適切な会計処理を行いましょう。

ただし、締結するリース契約の種類によって仕分け方法が異なるため、会計基準に基づいた処理が必要です。

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