トレンド情報 2024.10.18 (UPDATE:2025.04.14)
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2027年4月から強制適用される「新リース会計基準」の導入に伴い、仕訳や会計処理方法が大きく変わります。
従来の基準ではオフバランス処理が可能だったオペレーティングリース契約ですが、新基準ではオンバランス処理が求められます。
これにより、財務諸表への影響が避けられないため、適切な対応が必要です。
そこで今回は、新リース会計基準の導入で必要となる仕訳や会計処理方法について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
2027年4月から強制適用が開始される新リース会計基準は、リース取引に関する会計処理に大きな影響を与える可能性があります。
主な変更のポイントは以下の通りです。
オンバランス処理の必要性
従来のリース会計基準では、オペレーティング・リースとファイナンス・リースに区分され、オペレーティング・リースは貸借対照表に計上されませんでした。
しかし、新リース会計基準では、ほとんどのリース取引がオンバランス処理され、リース資産とリース負債が貸借対照表に計上されます。
新リース会計基準では、リース契約に基づく使用権資産(Right-of-Use Asset)とリース負債(Lease Liability)が認識されます。使用権資産はリース期間中にわたって償却され、リース負債は利息を含む形で返済されます。
新リース会計基準において、短期リース(リース期間が12ヶ月以下)や少額リース(低価値資産のリース)では、従来通りオフバランス処理が認められます。
リース資産をオンバランス処理することにより、企業の資産と負債が増加し、自己資本比率が低下する可能性があります。また、リース費用の認識方法が変更されるため、損益計算書にも影響を与えます。
なお、新リース会計基準が適用される企業は、主に上場企業や一定規模を超える非上場企業、さらに一部の特定の業種(不動産や輸送機器など)となる予定です。
新リース会計基準の国内における適用は、2024年9月の企業会計基準委員会(ASBJ)の議決により、2027年度から開始されることが決定しました。
関連記事:新リース会計基準の適用はいつから?対象企業への影響と対策を徹底解説
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IFRS第16号の導入背景と目的は、リース取引の透明性と一貫性を向上させることにあります。以下にその詳細を説明します。
従来のリース会計基準(IAS第17号)では、リース取引がオペレーティングリースとファイナンスリースに分類されますが、オペレーティングリースでは貸借対照表に計上されないため、企業の財務状況が正確に反映されないという問題がありました。
特に、オペレーティングリースに関する未払リース料が多額に上る場合には、財務諸表の利用者から問題があるとの声が大きくなっていました。
新リース会計基準を導入する目的は、次のようなものが挙げられます。
リース取引をオンバランス処理することで、企業の資産と負債をより正確に反映し、財務諸表の透明性を高めるのが目的です。
リース取引の会計処理を統一することで、企業間の比較可能性を向上させることを目指しています。
リース取引の法形式よりも経済的実質を重視し、リース契約が企業の財務状況に与える影響を正確に報告することを目的としています。
上記のように、IFRS第16号を導入する理由は、リース取引の会計処理を見直し、企業の財務情報の透明性と一貫性を向上させることにあります。
関連記事:新リース会計基準におけるIFRSの重要性とポイント、企業への影響を解説
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リース契約のオンバランス処理とは、リース取引に基づく資産と負債を貸借対照表に計上することを指します。具体的には、以下のような処理が行われます。
リース契約に基づく使用権資産(Right-of-Use Asset)が認識されます。これは、リース期間中に使用する権利を持つ資産として計上されます。
リース料の支払い義務をリース負債(Lease Liability)として認識します。これは、リース期間中に支払うリース料の現在価値を基に計算されます。
使用権資産はリース期間にわたって減価償却され、リース負債は利息費用として計上されます。これにより、リース期間中の費用がより正確に反映されます。
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リース契約でオンバランス処理を行うメリットには、次のようなものが挙げられます。
企業の資産と負債がより正確に反映され、財務状況の透明性が向上します。
企業間での財務諸表の比較が容易となり、投資家やその他のステークホルダーにとって有用な情報が提供されます。
オンバランス処理を適切に行うためには、リース契約に関する詳細な情報の管理と収集が必要です。例えば、リース料、リース期間、割引率などの情報を基に、使用権資産の取得価額やリース負債の残高を算定する必要があります。
上記のように、オンバランス処理は企業の財務報告に大きな影響を与えるため、適切な管理と計算が求められます。
IFRS第16号の導入に伴う、リース契約に関する具体的な仕訳方法は以下の通りです。
リース契約が開始された時点で、使用権資産とリース負債を認識します。
借方 |
貸方 |
||
使用権資産 |
¥XXX |
リース負債 |
¥XXX |
リース期間中、使用権資産は減価償却され、リース負債には利息が計上されます。
借方 |
貸方 |
||
減価償却費 |
¥XXX |
使用権資産 |
¥XXX |
借方 |
貸方 |
||
利息費用 |
¥XXX |
リース負債 |
¥XXX |
リース料の支払い時には、リース負債の減少を記録します。
借方 |
貸方 |
||
リース負債 |
¥XXX |
現金 |
¥XXX |
リース契約の条件が変更された場合、使用権資産とリース負債の再評価が必要です。
借方 |
貸方 |
||
使用権資産 |
¥XXX |
リース負債 |
¥XXX |
上記の仕訳は、リース契約の経済的実態を正確に反映するための重要な要素です。
関連記事:新リース会計基準を導入する際に必要となる仕訳や会計処理方法を解説
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リース会計基準の変更は、企業の財務諸表に大きな影響を与えます。以下に主な影響をまとめます。
新リース会計基準では、ほとんどのリース取引がオンバランス処理されることになります。これにより、リース資産とリース負債が貸借対照表に計上され、企業の総資産および総負債が増加します。
オンバランス処理の導入により、自己資本比率や負債比率などの財務指標が変動します。特に、リース負債の増加により自己資本比率が低下する可能性があるため、注意が必要です。
リース料の支払いが減価償却費と支払利息に分けられるため、営業利益や経常利益に影響を与えます。これにより、企業の収益性の評価が変わる可能性があります。
新リース会計基準では、リースに関する詳細な情報の開示が求められます。具体的には、使用権資産、リース負債、利息費用などの項目が財務諸表に表示される必要があります。
新しい会計基準に対応するために、企業は会計システムや業務プロセスの見直しが必要となります。これには、リース取引の識別方法や会計処理の変更が含まれます。
これらの変更により、財務諸表の透明性が向上し、投資家や金融機関などに対する説明責任が重くなると予測されます。
関連記事:新リース会計における資産除去債務の課題と対応実務、注意点を徹底解説
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IFRS第16号「リース」に対応するための実務上のポイントを以下で解説します。
リース契約がIFRS16号の適用対象となるかを判断することが最初のステップです。契約内容がリースの定義に該当するかどうかを確認し、リース期間やリース料の見積もりを行いましょう。
リース資産とリース負債を貸借対照表に計上する必要があります。これには、リース負債の初期測定、使用権資産の初期測定、およびその後の減価償却と利息費用の計上が含まれます。
次に、リース負債の現在価値を計算するために、使用する割引率を決定します。通常、借手の追加借入利率が使用されますが、これが不明な場合はリースの暗黙の利率を使用します。
リース期間やリース料の変更があった場合には、リース負債の再測定が必要です。これには、リース条件の変更やリース料の変動が含まれます。
財務諸表において、リースに関する詳細な情報を開示する必要があります。これには、リース負債の残高、使用権資産の減価償却費、リース料の支払いなどが含まれます。
新リース会計基準に対応するためには、会計システムや業務プロセスの見直しが必要です。これには、リース契約の管理や会計処理の自動化が含まれます。
上記のポイントを押さえることで、IFRS16号の適用に向けた準備が整います。
IFRS16号「リース」への対応において、企業が直面する主な課題とその解決策を以下にまとめます。
企業はすべてのリース契約を網羅的に把握する必要がありますが、契約の種類や数が多い場合には非常に困難です。
そこで契約内容を一覧表にまとめ、リース契約、賃貸借契約、レンタル契約などを包括的に管理します。特に、子会社を含むグループ全体での把握が重要です。
リース期間やリース料の見積もりが不確実な場合には、正確な会計処理が難しくなります。
そこで、過去の実績や将来の事業計画を基にリース期間やリース料を見積もり、必要に応じて契約内容を再評価します。
リース契約では、リース負債の現在価値を計算するための、適切な割引率を決定することが難しいのが現実です。
そこで、借手の追加借入利率を基に割引率を設定し、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要です。
リース契約の管理や会計処理を手動で行うことは非効率であり、エラーのリスクも高くなります。
そこで、専用の会計システムを導入し、リース契約の管理や会計処理を自動化するのが効果的です。これにより、効率性と正確性が向上します。
新リース会計基準に基づく詳細な開示要件を満たすためには、多くの情報を収集し、適切に開示する必要があります。
そこで、開示要件に対応するための内部プロセスを整備し、必要な情報を適時に収集・開示できる体制を構築することが重要です。
これらの課題に対する適切な対応策を講じることで、IFRS16号へのスムーズな移行が可能となります。
下記の資料では、多岐に渡る業務のなかで常にスピード感と質の両軸が求められている経理・財務部門の主な「11の課題」について、どのような対応が必要かを分かりやすく解説します。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。
以下では、IFRS16号に関するよくある質問とその回答を5つご紹介します。
A1.IFRS16号では、リース契約が「使用権資産」として認識されるかどうかを判断するために、契約に基づいて資産の使用を制御する権利が借手にあるかどうかを確認します。具体的には、借手が資産の使用方法を決定し、経済的便益を享受する権利を持っているかどうかを評価します。
A2.リース負債の割引率は、通常、借手の追加借入利率を使用します。これは、借手が同様の条件で資金を調達する際の利率です。もしこれが不明な場合は、リースの暗黙の利率を使用するのが一般的です。
A3.リース期間は、契約上のリース期間に加えて、延長オプションや解約オプションが行使される可能性を考慮して見積もります。企業は、リース期間の見積もりにおいて、過去の実績や将来の事業計画を基に判断します。
A4.使用権資産の減価償却は、リース期間または使用権資産の耐用年数のいずれか短い方に基づいて行います。減価償却方法は、リース資産の使用パターンに応じて直線法や定率法などが選択されます。
A5.IFRS16号では、リースに関する詳細な情報の開示が求められます。具体的には、リース負債の残高、使用権資産の減価償却費、リース料の支払い、リース契約の主要な条件などが含まれます。
「労働力不足の深刻化」「若年層社員が突然退職する傾向の増加」などから、新入社員に向けた効果的なオンボーディングが重要視されています。下記の資料では、効果的なオンボーディングの実践方法について、事例を交えながら解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。
上記のように、2027年度からは、日本国内の大手企業でも「新リース会計基準」が適用されます。これにより、従来はオフバランス処理が可能であったオペレーションリースなども、オンバランス処理が義務付けられることとなります。
リース会計を手作業で行うには、非常に複雑な処理が必要です。また、これまでに使用していた会計システムを継続して使用する場合でも、アップデートする際に大きな費用がかかるかもしれません。
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SuperStream-NXは、日本基準とIFRS基準の両方に対応しており、企業が異なる会計基準を採用している場合でも柔軟に対応できます。また、リース資産管理機能が充実しており、使用権資産やリース負債の計上、減価償却、利息費用の計算など、IFRS16号の要件を満たすための機能が揃っているのも魅力です。
さらに、SuperStream-NXは、アップデート費用の面でも優れています。保守契約を締結している場合、IFRS16号対応の機能追加やパッチ提供が無償で行われるため、追加費用を抑えることが可能です。また、最新バージョンへのアップデートもスムーズに行えるため、常に最新の会計基準に対応したシステムを維持できるでしょう。
上記のような理由から、SuperStream-NXはIFRS16号の導入において、コストパフォーマンスと機能性の両面で優れた選択肢としておすすめです。
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