診療科目別の配賦処理や公益法人会計への対応を実現
SuperStream-NXへの移行でクラウド化を加速

■事業内容 : その他
総合大雄会病院、大雄会第一病院、大雄会クリニック、老人保健施設アウン、大雄会ルーセントクリニック 等の運営
導入の背景
システムの保守切れを迎えたことで刷新を計画
1924年の岩田医院開設以来、1966年の医療法人化を経て2012年には社会医療法人の認定を取得、現在は総合大雄会病院や大雄会第一病院、大雄会クリニックなど複数の病院等を運営している社会医療法人大雄会。同法人が運営する病院全体では、病床数454床に加え、新たに増床を計画しており、急性期医療を担う病院として救急医療と高度専門医療を提供しながら、紹介外来機能の充実によって地域医療連携の推進にも積極的に取り組んでいる。「救命救急センターによる緊急かつ重症度の高い患者への診療をはじめ、健診センターで行う病気の早期発見を図るための予防医療、大雄会医科学研究所による遺伝子検査、ミャンマーでの日本人医師による診療など、さまざまな医療支援を通じて患者の期待に応える幅広い医療サービスを提供しています」と語るのは、法人本部 財務部長 加納 浩樹氏だ。なお、最新医療を積極的に取り入れるという進取の精神は、1929年に全国初となる国産第1号のレントゲン装置の導入を皮切りに、現在まで大雄会のDNAとして脈々と受け継がれている。
そんな同法人では、長年財務会計システムを運用してきたが、そのシステムが保守切れを迎えるにあたり、新たな基盤構築のためのプロジェクトをスタートさせた。
導入前の課題
データ保全への対応と仕訳処理の効率化が大きな課題に
新たな環境への刷新を計画したのは、財務会計システムが動いているサーバの保守が切れる2年半ほど前、次期システムについてシステム部門と相談したことがきっかけだったと同部 財務課 課長補佐横堀 光仙氏は当時を振り返る。「まず考えたのは、データのバックアップを含めたデータ保全の環境をどう整備していくのかということでした」。実は、東日本大震災の影響もあり、災害時の対策については同法人内でもさまざまな議論が進められていたという。「災害拠点病院としての機能は充実していますが、基幹システムのデータ保全という観点で見ると、手付かずの部分があったのです」と横堀氏。大規模な災害が発生した場合でも、データ消失といった状況は絶対に避けなければならない。
そこで有力な選択肢となっていたのがクラウド環境だ。
また、2007年には名古屋駅前に大雄会ルーセントクリニックを開設するなど、新たな施設設置が続く中で事業も拡大、それに伴って預金情報などのデータ量が急速に増加していたという。「入力する仕訳件数が増加し、その業務負担が大きな課題になっていました。Excelなどを用いてマスタ登録をし、自身で取り込むという選択肢も検討しましたが、少数での運用には不向きな面も。何か自動化できるような仕組みを検討したいと考えたのです」と横堀氏。他にも、入力の際には別途入力用の現金出納帳のフォーマットを作成し、それを財務会計システムに転記するなど、二重入力が運用上発生していた部分もあり、できる限り入力の負担が減らせるような仕組みづくりが求められていた。
システム選定と導入
公益法人会計への対応と自動仕訳、クラウド対応がポイントに
そこで検討したのが、スーパーストリームが提供するSuperStream-NXだった。同法人では長年SuperStreamを利用してきたため、その運用を大きく変えることなくデータ保全できる環境を検討することになったという。「オフコンからの切り替え時からSuperStreamを利用しており、これまでまったく不便を感じることなく活用してきました。現場に使いやすいものを選んだ結果、SuperStream以外の製品を評価する必要はありませんでした」と加納氏。管理会計の部分で診療科別の原価計算を行っており、共通科目の配賦などかなり複雑な設計が行われている。また、医事会計システムといった大規模な基幹システムとも連携していることから、既存環境を生かした状態での更改が求められていた。
機能としては、社会医療法人としての公益法人会計に対応するべく、収益事業と非収益事業をシステム内で分けて管理できることが求められた。また、従来使ってきた固定資産パッケージが区分経理に対応できず、ここ数年はExcelで管理していた。 この状況を解消すべく、新たな固定資産システムでは部門分けや管理項目が備わっている製品が必要になる。
さらに、預金データの自動取り込み機能を個別に実装する点や、データ保全としてのクラウド活用にも注目。「病院は、比較的多くの人が自由に出入りする場所であり、セキュリティ的なリスクも考慮しなければなりません。その意味でも、クラウド環境を選択すべきだと考えたのです」と横堀氏。
結果として、SuperStreamパートナーであるNECソリューションイノベータが提供するプライベートクラウド上で展開するSuperStream-NXを、同社の新たな財務会計基盤として採用することになった。
導入効果
業務効率化によってより高度な労働に時間を充てる
現在は、SuperStream-NX 統合会計を中心に財務会計基盤を構築しており、部門別集計の機能を活用して収益事業と非収益事業を分けて集計することで公益法人会計に対応。また、従来手作業で行ってきた固定資産に関する公益法人会計でも、SuperStream-NXの固定資産管理を新たに導入し、別表作成機能を活用することで業務の効率化を実現している。外部システムとの連携については、医事会計システムとのCSV連携はアドオン開発が行われ、給与計算については外部に委託する運用だ。
管理会計として行っている診療科目別の原価計算については、共通費用や施設別費用などを診療科目ごとに配賦しており、そのパターンは200種類を超えている。「施設ごとに部門が多岐にわたっており、どうしても配賦が複雑になってしまいます。それでも、そんな配賦処理が可能なのもSuperStream-NXならでは」と横堀氏は評価する。なお、データ移行自体はNECソリューションイノベータの高い技術力と品質があって、スムーズに移行することができた。
今回アドオンにて対応したものとして、インターネットバンキングとの連携による自動仕訳処理がある。仕訳に必要なマスタを5000件あまり登録、整備することで、現在は80%ほどの高い確率で自動仕訳が行われている状況だ。「支払先や入金元、取引区分などある程度の規則性をマスタとして登録しています。すべて手作業で入力していた以前と比べて、工数も大きく削減できています」と横堀氏は評価する。この作業工数を削減したことにより、空いた時間を仕訳の評価や予算実績の評価といった、より高度な労働に時間を充てることができるようになったことは大きいという。
実際に伝票の承認作業に携わる同課 財務G 係長心得 伊東 義氏は、WebアプリケーションとなったSuperStream-NXだけに、複数画面を展開しながら作業できるようになるなど使い勝手の面を評価する。「過去の仕訳を参考にしながら承認作業するなど、とても便利になっています。仕訳入力した時点で内容がわかるようになり、未承認伝票の状況まで早めに数字がわかるのはとてもありがたい」と伊東氏。また、重要な証票についてはスキャニングを行ったうえで仕訳伝票に紐づけて管理できるようになっており、監査時にも役立つという。「スキャンしておけば監査時に証憑を探す手間がなくなりますし、固定資産は見積書や計算書などをスキャンしておけば、わかりやすくなります」(伊東氏)。将来的には電子帳簿保存法への対応も視野に検討できると期待を寄せている。
今回はクラウドを採用しているが、基幹システムとしてクラウドを利用したのは今回が初めての試みだ。「メンテナンスフリーで基盤が運用できるのはとてもありがたい。マシンの更新対応も不要で、Webブラウザさえあれば素早くアクセスできる手軽さも助かっています」と横堀氏は評価する。
今後の展望
自動仕訳精度を高めながら、ペーパーレス・キャッシュレスを加速
今後については、入金処理における自動仕訳の精度をさらに高めていきながら、さらなるペーパーレス化、キャッシュレス化を推進していきたいと横堀氏は語る。「例えば現金の取り扱いが多い経費精算などであっても、今でも紙ベースで行われています。SuperStream-NXには経費精算のシステムもあるため、ぜひ利用を検討しながら合理 化を図っていきたい」。
また、厚生労働省や日本病院会など各種団体からデータの提出を求められる場面があり、その都度先方が求めるデータを手作業にて抽出している。 この作業についても帳票を事前に用意しておいて作業負担を減らしたいと伊東氏。同時に、資本回転率や営業収益率など金融機関との交渉の場面で必要な情報もある。「この手の帳票も手作業しており、できれば帳票が柔軟に出力できるような形にしていきたい」と加納氏に今後について語っていただいた。
お客様情報
会社名 | 社会医療法人大雄会 |
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本社 | 愛知県一宮市桜1丁目9番9号 |
URL | http://www.daiyukai.or.jp/ |
従業員数 | 1372名 |
事業内容 |
総合大雄会病院、大雄会第一病院、大雄会クリニック、老人保健施設アウン、 |
※本導入事例に記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
スーパーストリーム株式会社 導入事例インタビュー『社会医療法人大雄会様』
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