税務会計業務のポイント 2021.06.09 (UPDATE:2021.06.09)
アクタス税理士法人
企業版ふるさと納税は、正式名称を「地方創生応援税制」といい、国が認定した地方公共団体の地方創生事業(「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」)に対して企業が寄附を行った場合に、法人税等から税額控除する制度です。
平成28年度税制改正により創設され、その後令和2年度の税制改正で、従来は寄附額の最大約6割であった税額軽減が、約9割に増加し、企業のメリットが大きく改善しました。
寄附先となる認定団体数は、令和3年4月1日現在で、改正前の428団体から1,141団体に増加しています。
また、制度開始時である平成28年度と令和元年度の比較で、寄附件数は年517件から年1,327件に増加し、寄附金額も年747百万円から年3,380百万円と増加しています。
今回は、利用促進に期待が集まっているこの企業版ふるさと納税制度についてご紹介いたします。
法人税及び地方税の申告書に別表の添付が必要となります。
別表に加えて、法人税では、「企業版ふるさと納税の対象となる寄附金に該当することを証する書類」の保存が必要です。
さらに地方税においては、前述の「証する書類」の写しを、申告するすべての地方自治体に対して提出する必要があるため、注意が必要です。
Q1.どのような法人でも税額控除を受けることはできるのでしょうか?
A1.青色申告法人が対象とされており、寄附をするにあたって企業自身が特別な認定を受けるような必要はありません。
ただし、税額控除額には、その年の各税額に対する上限割合が決まっているため、所得が少ないと税額控除を満額受けられない可能性があります。
Q2.個人が行うふるさと納税のように返礼品は受け取れるのでしょうか?
A2.寄附を行うことの代償として経済的な利益を受けることは禁止されています。したがって、個人が行うふるさと納税にあるような返礼品は、企業版ふるさと納税にはありません。
その他、「寄附の見返りとして補助金を受け取る」、「有利な利率で貸付をしてもらう」、「入札や許認可で便宜を図ってもらうこと」なども禁止されています。
Q3.地方公共団体への寄附であればどこでも対象になるのでしょうか?
A3.国が認定した地方公共団体の地方創生事業であれば原則対象になりますが、本社が所在する地方公共団体への寄附については、税額控除を受けることはできません。
また、地方創生の趣旨から、自らの税収だけで財政運営できる東京都や23特別区、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、戸田市、和光市、市川市、浦安市、川崎市、鎌倉市など26市町などの自治体(令和2年度時点)はこの制度の寄附先としては対象外となります。
Q4.社長の出身地の自治体に寄附をしても企業版ふるさと納税の対象になるのでしょうか?
A4.法人が行う寄附のため、特に対象外にはなりません。
ただし、個人的な寄附であると認められると、法人を介して社長個人が寄附したと認められてしまうので注意が必要です。そのため法人として寄附をしたということをより明確にするため、取締役会などの機関決定を経て行うなどの手続きを経ておいた方がよいでしょう。
Q5.企業版ふるさと納税の対象となる寄附先はどのように探したらよいでしょうか。
A5.企業版ふるさと納税ポータルサイト(https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html)や民間事業者が運営するサイト(企業版ふるさとチョイスhttps://www.furusato-tax.jp/enterprise、ふるさとコネクトhttps://furu-con.jp他)より、応援したい地域や事業を検索することが可能です。
対象事業の選定後は各自治体の窓口に連絡を取り、必要書類の提出等を行う必要があります。
なお、民間事業者が運営するサイトの一部では、寄附金額を選択して決済手続きをするだけで、サイト運営者が各自治体への連絡や手続きを代行してくれるサービスもあります。
手続き完了後に受領する寄附金の受領証は、「企業版ふるさと納税の対象となる寄附金に該当することを証する書類」として、申告時に提出が必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
アクタス税理士法人
東京と大阪を中心に計4拠点をもつアクタスグループの一員。 アクタス社会保険労務士法人、アクタスHRコンサルティング、アクタスITソリューションズと連携し、 中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、税務会計、人事労務、システム導入支援の各サービスを提供しています。