トレンド情報 2023.10.21 (UPDATE:2025.03.15)
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社会保険料とは、社会保険にかかる保険料のことで、生活の安心と安定化を図るセーフティーネットとして幅広い世代の生活を支えています。ただし、この社会保険料は、従業員の給与に大きな影響を与えます。特に4月から6月までの標準報酬月額や残業代がどのように影響を及ぼすかを理解することは、企業の経営者や経理担当者の方々にとって重要です。
また、社会保険料の計算方法を理解し、適切な給与計算ができるようになることが大切です。
そこで本記事では、これらの要素が社会保険料にどのように影響を与えるか、またそれが従業員の手取り給与や企業の財務にどのように影響を与えるかについて詳しく解説します。
企業の経営者や経理担当の方は、ぜひ参考にしてください。
社会保険とは、国民の生活を保障することを目的とした公的な保険制度で、万が一の事故に備えるためのものです。社会保険料は、この社会保険にかかる保険料のことを指します。
社会保険には、具体的に次の5つの種類があります。
厚生年金保険は、サラリーマンなどの企業に勤める人が加入する公的年金です。
老後の生活を保障する「老齢年金」が有名です。
健康保険は、業務外のけがや病気などでの通院・入院、長期休業時の生活保障、出産費用、産休中の生活保障、死亡などを保障する医療保険です。
介護保険は、介護が必要になった人が少ない負担で介護サービスを受けられるよう、その費用を給付する保険です。
雇用保険は、失業者や育児休業・介護休業を取得した労働者に対する保険です。
労災保険は、仕事中や通勤中に発生した災害・事故が原因で、病気やけが、障害を負ったり死亡したりした際に、労働者やその家族の生活を保障する保険です。
これらの社会保険料は、被保険者に支給金を支払う際の財源として活用されています。
社会保険は、加入者一人ひとりが自分の収入に応じた社会保険料を納めることで、集められた財源から必要とする人が必要なときに利用するという仕組みです。困ったときはみんなで支えあうという相互扶助の考えに基づき、万一を想定した生活保障のために、社会保険料は原則として国民全員が納付します。
また、社会保険料は全員が一律に負担するものではなく、雇用の有無など条件によって異なります。具体的な計算方法や納付期限等は各種類ごとに異なるのが特徴です。
以下で解説する社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料を指します。健康保険料と厚生年金保険料は、基本的に企業が毎年支給する4月から6月の給与の金額によってその後1年間の保険料が決まるため注意が必要です。
この4月から6月の間の給与を「標準報酬月額」と呼び、残業代も含めた標準報酬月額の平均額を基に社会保険料が計算されます。
例えば、ある従業員が4月から6月にかけて多くの残業をした場合、その給与総額が増えるため、標準報酬月額は高くなります。これにより、その従業員が支払う社会保険料も増えることになるため注意が必要です。この標準報酬月額は、毎年一度「定時決定」と呼ばれる手続きを行い、その後1年間適用されます。
定時決定で新しく決められた標準報酬月額は原則としてその年の9月から翌年の8月まで適用されるため、4月から6月にかけて残業が多かった場合に9月以降の社会保険料が増えるという仕組みです。
以下の社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の3つを指します。これらは、基本的に「標準報酬月額」にそれぞれの保険料率を掛けることで計算できます。
※標準報酬月額の区分についての詳細は全国健康保険協会のHPをご参照ください。
以下は、各保険料の計算方法です。ぜひ参考にしてください。
健康保険料の計算方法は以下の通りです。
厚生年金保険料も健康保険料と同様に、標準報酬月額から保険料率を掛けることで算出できます。
介護保険料は次の計算式で求めます。
上記の計算式にあるように、社会保険料は事業主(企業)と従業員が共同で負担するものです。具体的には、事業主が毎月の給料および賞与から被保険者(従業員)負担分の保険料を差し引き、それと事業主自身の負担分を合わせて納付します。
なお、社会保険料の計算には「標準報酬月額」が使用されますが、この標準報酬月額は給与等の平均額をキリの良い数字に区分した等級表に当てはめたものです。
社会保険に加入して社会保険料が増えることで、以下のようなメリットがあると考えられます。
社会保険に加入して社会保険料が増えることで、将来受け取れる年金の額が増えます。
これは、社会保険(厚生年金保険)の仕組みが2階建て構造になっているためです。1階部分はすべての国民が加入する定額の国民年金(基礎年金)で、2階部分は会社員や公務員が加入する、在職中の報酬に比例する厚生年金となります。
そのため、社会保険に加入することで、国民年金だけでなく、報酬比例部分(2階部分)の年金も受け取ることができるのです。また、障害を負った場合に支給される障害年金も、国民年金の障害基礎年金に加えて障害厚生年金が受け取れるようになります。
社会保険に加入して社会保険料が増えることで、医療保険(健康保険)の給付が充実します。
例えば、病気やけがで長期間仕事を休まなければならないとき、社会保険に加入していれば休んでいる間に傷病手当金として1日あたりの給与額の3分の2相当を受け取ることができます。また、出産時も、出産手当金として産前42日から産後56日までは1日あたりの給与額の3分の2相当を受け取ることが可能です。
人によっては、社会保険に加入することで保険料が減る可能性があります。
これは、社会保険料を事業主と従業員が共同で負担するためで、国民健康保険や国民年金の保険料を全額自己負担している個人事業主の方などがあてはまるでしょう。
一方、社会保険に加入して社会保険料が増えることで、以下のようなデメリットも考えられます。
健康保険には高額療養費の制度があり、その月に支払う医療費が年齢および所得によって決められた自己負担額を超えた場合に、その超えた部分を還付してもらえます。
しかし、この自己負担額の算定にも標準報酬月額が関係しており、標準報酬月額が多くなると自己負担額も増えていく仕組みとなっています。
標準報酬月額は厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料の算定基準となっています。さらに40歳以上になると介護保険料の負担が発生します。
標準報酬月額が上がることによってこれらすべての保険料が上がるため、従業員の収入が増えたけれど手取り額が減るという事態につながります。また、保険料の負担が上がることで会社の負担も増えるため、企業のデメリットにもなるといえるでしょう。
以下では、社会保険料を適切に管理するためのポイントを解説します。
社会保険料は、従業員の給与と直接関連しています。したがって、これらの費用を計画的に管理することが重要です。年間の予算を立て、毎月の支払いを計画することで、予期しない費用を避けることができます。
社会保険料の支払いは、従業員の給与や勤務時間に基づいています。したがって、これらの情報を正確に記録し、更新することが重要です。これにより、過剰または不足な支払いを防ぐことができます。
社会保険料の管理には、労働法や税法など、さまざまな法律が関与しています。これらの法律を理解し、遵守することで、罰金や法的問題を避けることができます。
経済状況や法律の変更により、社会保険料の計算方法や率が変わることがあります。したがって、定期的に社会保険料の管理状況をレビューし、必要な調整を行うことが重要です。
社会保険料の管理は複雑であり、専門知識を必要とする場合があります。必要に応じて、会計士や労働法専門家などの専門家の助けを借りることも考慮しましょう。
上記のポイントを押さえることで、社会保険料を適切に管理し、企業の財務状況を安定させることが可能です。
A.社会保険料とは、公的な社会保険制度に加入すると支払わなければならない、保険料のことです。社会保険には、健康保険や介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などが含まれます。
A.社会保険では、それぞれの制度で企業と従業員の社会保険料の負担割合が大きく異なります。例えば、健康保険と厚生年金保険では、保険料は労使折半となります。
A.社会保険料控除とは、納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合に、その支払った金額について所得控除を受けることができる制度です。
A.社会保険料控除の対象となる社会保険料には、健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの、国民健康保険の保険料または国民健康保険税などが含まれます。
社会保険料控除の適用を受けるためには、確定申告書または年末調整の際に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出し、その際にその年に実際に支払った金額、または給与や公的年金等から差し引かれた金額を証する書類を、添付または提示する必要があります。
上記のように、社会保険料は従業員の給与と直接関連しており、企業の財務管理において重要な要素です。計画的な予算管理、正確な記録保持、法令遵守、定期的なレビュー、専門家の助けを借りることが、社会保険料を適切に管理するためのポイントです。
また、適切なクラウド給与システムは、これらの情報を効率的に管理し、正確な財務報告を提供するための重要なツールとなります。
クラウド給与システムには、社会保険料の計算や支払い、記録保持、法令遵守などをサポートする機能が含まれており、一部の給与システムでは社会保険料控除の申告を支援する機能も充実しています。
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