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【企業向け】社会保険の加入条件と未加入時の罰則|2024年10月の適用拡大の詳細も解説

【企業向け】社会保険の加入条件と未加入時の罰則|2024年10月の適用拡大の詳細も解説

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2024年10月より、社会保険の加入条件が変わり、適用範囲が拡大されます。これにより、多くの企業が新たなルールに適応する必要に迫られています。

社会保険への加入は、単に従業員の福利厚生を充実させるだけでなく、法的義務でもあるため重要です。また、未加入時の罰則が厳しく、企業の信用問題にも関わる重要な要素です。ただ、新しい制度の詳細や罰則の内容を正確に理解し、適切に対応することは難しく、多くの企業の課題となっています。

そこで今回は、社会保険の加入条件と未加入時の罰則や、2024年10月の適用拡大の詳細も徹底解説します。企業の経営者の方はもちろん、人事労務を担当する方も、ぜひ参考にしてください。

社会保険とは?加入条件の詳細も解説

社会保険とは、労働者の生活保障を目的とした公的な保険制度のことです。日本では、病気やけが、出産、失業、障害、老齢、死亡などのリスクに備えて、必要な保険給付を行うための制度として整備されています。具体的には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)の5つがあります。

社会保険の加入条件

社会保険の加入条件は、事業所や従業員の種類によって異なります。一般的に、常時雇用されている従業員や、週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者は、社会保険に加入する義務があります。また、2024年10月からは、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者も社会保険の加入対象となる予定です。

社会保険に未加入の企業への罰則とその内容

社会保険に未加入の企業に対しては、以下のような罰則規定が設けられているため、十分な注意が必要です。

懲役または罰金

社会保険の加入対象となっているにも関わらず未加入である事業所に対しては、健康保険法第208条に基づき、最大で6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があります。

なお、このような懲役や罰金は、特に悪質なケース(例えば虚偽の申告をしていたり、複数回にわたる加入指導に従わなかったりした場合)に適用されます。

過去2年間の保険料の追徴

社会保険への未加入が発覚した場合は、年金事務所などにより強制的に加入させられ、過去2年間に遡って未納分の社会保険料を徴収されるケースがあります。

社会保険料は給与だけでなく賞与からも徴収されるため、事業に大きな負担となる可能性があります。

従業員負担分の保険料も企業が支払う可能性

社会保険料は通常、会社と従業員が半分ずつ支払います。しかし、未加入が原因で遡って支払う場合は、既に退職した従業員の分は回収が困難なため、企業が全額を負担することになる可能性があります。

延滞金が発生する可能性

社会保険料を納付期日までに支払わない場合、延滞金が発生します。延滞金額は未納額に応じて計算され、未納額が大きければ大きいほどペナルティも大きくなるため、十分な注意が必要です。

ハローワークに求人を出せなくなる

社会保険への加入が義務付けられている事業所が未加入であった場合、ハローワークで求人を出すことができなくなります。

これらの罰則は、社会保険制度の適正な運用を確保し、従業員の福祉を守るために設けられているものです。企業はこれらの罰則を避けるためにも、社会保険の加入条件を正しく理解し、該当する場合は速やかに加入手続きを行う必要があります。

2024年10月から変わる社会保険の加入条件とは?

2024年10月から適用される社会保険の加入条件の変更点は以下の通りです。

加入対象となる企業の従業員数が51人以上となる

従業員数が51人以上の企業に適用されるようになります。これまでは101人以上の企業が対象でしたが、その範囲が拡大されます。

社会保険に加入する従業員の要件が変わる

社会保険に加入する従業員の要件も変更されます。具体的には、以下の条件をすべて満たす従業員が社会保険に加入することになります。

  • 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること。
  • 1ヶ月あたりの賃金が88,000円以上であること。
  • 2ヶ月を超える期間にわたって雇用される見込みであること。
  • 学生ではないこと(ただし、卒業後に働き続ける見込みがある場合は適用される)。

これらの変更は、社会保障の充実を図るため、より多くの従業員に社会保険制度への加入を促すのが目的です。特に、パートタイムやアルバイトの従業員にも影響があり、これまで社会保険の対象外だった人々が新たに加入することになるため、企業や従業員にとって重要な情報となります。

企業が把握すべき社会保険の適用拡大とその影響

社会保険の適用拡大は、企業にとって重要な変更点であり、その影響は以下のようにまとめられます。

適用対象が拡大される

2024年10月から、社会保険の適用対象が拡大され、従業員数が51人以上の企業も含まれるようになります。これにより、中小企業における短時間労働者も社会保険の加入対象となります。

社会保険料が増加する

社会保険の加入者が増えることで、企業はそれだけ多くの社会保険料を負担することになります。特に、新たに加入対象となる短時間労働者の分の保険料が増加するため、企業の経営に影響を与える可能性があります。

労働者の福祉が向上する

社会保険の適用拡大により、これまで保険の恩恵を受けられなかった短時間労働者が保険給付を受けられるようになります。これは労働者の福祉の向上に寄与しますが、同時に企業の負担増となります。

事前準備が必要となる

企業は適用拡大に備えて、対象となる短時間労働者の洗い出し、社内周知・説明会の開催、社会保険加入に必要な書類作成と届出などの準備を進める必要があります。

電子申請の利用も考慮する

社会保険の申請においては、電子申請の利用が推奨されており、時間やコストの削減につながります。企業は、電子申請システムの導入や利用方法についても理解を深める必要があります。

補助金・助成金の活用も可能

社会保険適用拡大に伴い、企業はキャリアアップ助成金などの補助金や助成金を活用することができます。これにより、社会保険料の負担を軽減することが可能です。

企業はこれらの変更点を正確に理解し、適切な対応を行うことが求められます。特に、社会保険の適用拡大は、企業の人事労務管理において大きな変更となるため、事前の準備と計画が不可欠です。また、社会保険労務士や専門家との連携を通じて、最新の情報を得ながら対応を進めることが重要です。

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社会保険加入のメリットと企業に求められる対応

次に、社会保険加入のメリットと企業に求められる対応について解説します。

社会保険に加入するメリット

社会保険に加入するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

老後にもらえる年金が増える

社会保険に加入していると、将来受け取れる年金額が増加します。

障害年金と遺族年金の支給額が増える

万が一の際にも、より手厚い保障を受けることができます。

ケガや病気、出産の際の給付が充実する

社会保険による給付金が、これらの生活リスクをカバーします。

保険料を会社と従業員で折半する

従業員は保険料の全額を自己負担する必要がなく、企業が半分を支払います。

企業に求められる対応

企業に求められる対応については、2024年10月から従業員数が51人以上の企業に社会保険の適用が拡大されることに伴い、以下のような対応が必要です。

特定適用事業所を確認すること

自社が特定適用事業所に該当するかどうかを確認しましょう。そして、対象であれば社会保険の加入義務が生じます。

対象となる従業員を確認すること

社会保険の適用要件に該当するパート・アルバイトを含む従業員を把握します。

社内で説明会を実施すること

社会保険の適用拡大について従業員に説明し、理解を深めてもらう必要があります。

被保険者資格取得届を提出すること

新たに社会保険の対象となる従業員について、資格取得届を提出します。

これらの対応は、社会保障の充実を図るための重要なステップであり、企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。社会保険の適用拡大により、より多くの労働者が手厚い保障を受けられるようになることが期待されています。

企業はこれらの制度変更に対して適切に対応することで、従業員の福利厚生を向上させ、企業の信頼性を高めることが可能です。

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社会保険を適切に管理するにはクラウドシステムがおすすめ

このように、社会保険に未加入の場合、事業主はさまざまなリスクに直面することになります。もし未加入が発覚した際には、法的な罰則が課せられる可能性があります。

そこで、社会保険未加入の罰則を避けるために、社会保険への加入が義務付けられている条件を確認し、必要であれば速やかに対処することが重要です。例えば、週の労働時間を20時間未満にし、月額賃金が8.8万円を超えないように調整することで、社会保険への加入が不要となる場合もあります。

社会保険の管理にはクラウドシステムの導入がおすすめ

社会保険の管理にクラウドシステムを導入することは、業務の効率化や、未加入のリスクを管理する上で有効です。クラウドシステムを利用することで、従業員の社会保険の加入状況をリアルタイムで把握し、必要な手続きを迅速に行うことが可能となります。また、クラウドシステムはインターネット経由でアクセスできるため、場所を選ばずに社会保険の管理が行える利点もあります。

クラウドシステムを選ぶ際は、自社のニーズに合った機能を備えているか、サポート体制が整っているかなど、複数のポイントを確認することが大切です。導入にあたっては、業務効率化やコスト削減、顧客管理の簡便化など、自社が抱える課題を洗い出し、システムの利用目的を明確にしておくことが重要です。

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