公認会計士 中田清穂のIFRS徹底解説
中田 清穂(なかた せいほ)
今回は三つ目の「中小特例の取扱い」についてコメントします。
従来、資本金が1億円以下の中小法人には、いわゆる中小特例措置が受けられましたが、大企業(資本金5億円以上)の子法人は、この特例が受けられなくなります。
特例措置としての適用対象外となる項目は以下です。
これらは、連結決算手続きにおいても、貸倒引当金調整仕訳や税効果仕訳、さらには税率差異の注記情報などに影響があるので、注意しておかないと連結決算を間違える危険が高まります。
特に、きちんとした税務対応ができるのは、親会社と主要な子会社だけだというグループの場合には、主要な子会社でない子会社ほど、中小規模(資本金が1億円以下)である可能性が高いので、まずは個別会計レベルで適切な税務処理と税効果会計ができるようする必要があります。
その上で、連結手続をする際に必要な情報も、連結レポーティング・パッケージなどできちんと提出できるように、事前に指導しておくことが望まれます。
大企業(資本金5億円以上)の子法人に中小特例が適用できなくなるのは、平成22年4月1日以降開始事業年度からになります。
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。