税務会計業務のポイント 2023.05.15 (UPDATE:2024.11.20)
アクタス税理士法人
新年度が始まり、多くの企業で新入社員の入社や人事異動による新たな配属が行われる時期になりました。企業では研修実施による費用の負担や、転勤による社宅家賃の提供など、従業員への経済的利益の供与に関わる税務的な取り扱いを考えておく必要があります。そこで今回は、従業員の「現物給与」に関する税務上のポイントについて整理しました。
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2% ②12円×(その建物の総床面積(㎡)÷3.3㎡) ③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22% |
【具体例】社宅の賃貸料相当額が月額10,000円と計算された場合
・従業員負担額が月額3,000円の場合・・・賃貸料相当額10,000-3,000=7,000円を給与して課税する
・従業員負担額が月額5,000円の場合・・・賃貸料相当額の50%以上を負担しているため給与課税不要
会社の負担する在宅勤務時に発生する費用や物品支給の給与課税の要否はそれぞれ次のとおりです。
内容 | 給与課税の有無 |
在宅勤務手当として金銭を支給 | 毎月定額を渡切りで支給する場合、給与課税される |
在宅用のパソコン、机、空気清浄機等を貸与 | 貸与として所有権が会社にある場合、給与課税不要 |
在宅勤務をレンタルオフィスで行った場合 | 領収書を会社に提出することで給与課税不要 |
従業員が負担した通信費等を精算 | 業務に使用した部分の金額の支給は給与課税不要 |
従業員に仕事に関係のある技術や知識を習得させるために研修や講習等を受講させ、その費用等を会社が直接負担した場合、以下の要件を満たしたものであれば給与課税は不要となります。
食事の購入価額 | 従業員負担額 | 負担割合 | 会社負担額 | 給与課税される額 |
5,000円/月 | 2,500円/月 | 〇(50%) | 〇(2,500円/月) | 給与課税不要 |
5,000円/月 | 2,000円/月 | ×(40%) | 〇(3,000円/月) | 3,000円/月(=5,000-2,000) |
8,000円/月 | 4,000円/月 | 〇(50%) | ×(4,000円/月) | 4,000円/月(=8,000-4,000) |
旅行の目的、規模、内容等を総合的に勘案し、また経済的利益の供与が少額の現物給与については強いて課税しないという少額不追及の趣旨を逸脱していない社員旅行については課税しないこととされています。
具体的には、旅行代金として従業員に供与する経済的利益の額が少額で、かつ、下記の要件を満たす慰安旅行については、原則として給与課税は不要となります。
A.社宅の水道光熱費は従業員が負担すべき費用であり、原則給与課税が必要です。
ただし、社員寮など会社が負担する水道光熱費の金額が居住のために通常必要とされる範囲内のもので、かつ、従業員ごとの使用部分に相当する金額が明らかでない場合、給与課税は不要です。
A.対象となる従業員の勤務形態を「原則出社」「原則在宅勤務」に分類し、それぞれ給与課税の取り扱いが異なります。「原則出社」の従業員の場合、在宅勤務を行わない従業員と同様に通常の非課税限度額までの通勤手当は非課税となります。「原則在宅勤務」の従業員の場合、出社の都度、実費で精算する交通費は給与課税が不要となります。
A.通信費のうち業務に使用した部分について、通信費の料金体系や業務での使用時間等を考慮し合理的に算定する必要があります。簡便的な方法として次の算式により計算した金額も認められます。
A.在宅勤務に関連する事務用品の貸与は、会社所有のパソコン等の貸与を前提としており、所有権は会社にありますので、原則として使用後は会社に返還する必要があります。
A.通常の勤務時間外で残業や宿日直勤務を行う従業員に対し現物で食事を提供した場合、無料で食事を提供したとしても原則給与課税はしなくてもよいとされています。
A.参加者が50%に満たなかった場合にも、旅行の目的や規模、内容等を総合的に勘案し、社会通念上一般に行われるレクリエーション旅行と認められる場合には、給与課税は不要です。ただし、不参加者に対して別途金銭等を支給した場合には給与課税の対象となります。
アクタス税理士法人
東京と大阪を中心に計4拠点をもつアクタスグループの一員。 アクタス社会保険労務士法人、アクタスHRコンサルティング、アクタスITソリューションズと連携し、 中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、税務会計、人事労務、システム導入支援の各サービスを提供しています。