公認会計士 中田清穂の会計放談 2021.01.13 (UPDATE:2021.01.13)
中田 清穂(なかた せいほ)
令和3年度の税制改正大綱が、2020年12月21日に閣議決定されました。
いろいろなサイトでその内容が解説されていますね。
特に電子帳簿保存法については、2015年9月に「大幅」な改正が行われて、その後数度にわたって改正が続けられてきました。
しかし、2021年度の税制改正では、「大幅」な改正というより、後述するように「抜本的」な改正であることが謳われています。
「大幅」ではなく「抜本的」と言える最大のポイントは、エビデンスを「紙による保存」ではなく「電子保存」をするために、税務署への承認申請手続きがいらなくなってしまったという点でしょう。
いくつかの要件を満たせば、どんな会社でも、きちんと電子保存をすれば、「紙」を捨てても良いことになるのです。
私のこのコラムでは、その要件などについて詳しい説明はしません。
ここでお話したいのは、この電子帳簿保存法の「抜本的改正」には、「クラウド会計ソフト」が絡んでいるということです。
2020年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」には、「クラウド会計ソフト」という言葉は出てきません。
しかし、「令和3年度税制改正の大綱の概要」という文書には、「クラウド会計ソフト」という言葉が、1か所だけ使われています。
その部分を以下に引用します。
納税環境整備 (中略) ○ 電子帳簿等保存制度の見直し等 ・経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直す。(後略) (下線は筆者) |
6ページ目: 昨今のクラウド会計ソフトの普及等も踏まえた適正な記帳の確保に向けた方策を検討していく。 13ページ目: クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直す。 20ページ目: 記帳水準の向上は、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる上でも重要である。近年、普及しつつあるクラウド会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整ってきていることも踏まえ、正規の簿記の普及を含め、個人事業者の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。 (下線は筆者) |
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。