公認会計士 中田清穂の会計放談 2018.06.01 (UPDATE:2020.10.02)
中田 清穂(なかた せいほ)
「会計」は「技術」の一つです。
開発、製造、販売など、さまざまな企業の活動を、複式簿記で記録して、財務諸表としてまとめる「技術」です。
何でも同じことですが、「技術」をうまく使うかどうかは、結果(品質・スピード・効率など)の良し悪しに影響を与えるということは、誰でも知っていることでしょう。
それでは経理部門のみなさんは、この「会計」という「技術」をうまく使っているでしょうか。
きちんとした調査をしたわけではないので実証データはありませんが、私が知る限り、上場企業の経理部門も含めて、「会計」をうまく使っている人たちはあまりいないように思います。
「使う」どころか「使わされている」人々が非常に多いと感じています。
以下の項目に心当たりはありませんか?
この3項目に一つでも当てはまる項目があれば、あなたは「会計」を「使っている」のではなく、「使わされている」のです。
「う~ん、耳が痛い」とか「このコラム、これ以上読みたくない」と感じる人も多いでしょう。
私はイジメているわけではありません。
ぜひ気づいて欲しいのです。
複雑な企業活動を、財務諸表にコンパクトにまとめる「技術」としての会計を、もっとうまく使って欲しいのです。
社長が財務諸表を見たときに、今自分の会社で何が起きているのかが、手に取るようにわかれば、何に注意して、どこを抑えて、どこを伸ばすのかなど、経営判断がもっと適切になるでしょう。
そうしたら、皆さんの会社はもっともっと良くなるはずです。
「使わされる会計」を経理部門がやり続ける限り、社長の目は曇り、判断がおかしくなり、会社がおかしくなるのです。
リース会計、減損会計、耐用年数、減価償却方法、開発費会計などなど、制度会計通りに財務諸表を作ったら、会社の実態とだんだん離れていく危険がいっぱいあります。
それなのに、現場の活動に目もくれず、単純にルール通りの会計処理をしようとしていては、アブナイのです。
「今社長がやっていること、チンプンカンプンでおかしいよね」なんて多くの社員が言っている会社は、社長が見ている財務諸表が、現場の実態をきちんと表現していないのかもしれませんね。
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。