公認会計士 中田清穂の会計放談 2018.12.01 (UPDATE:2020.10.02)
中田 清穂(なかた せいほ)
前回の私のコラムでは、「東ロボくん」の話を取り上げました。
そこで、AI(人工知能)と経理業務の関係、特に、「AIに負けない経理人」になるための考え方についてお話しました。
AIと並んで関心が高まっているのが、RPA(ロボティクス)です。
最近のニュースや情報誌の記事では、RPAはAIと並んで、取り上げられる機会が激増しているテーマです。
私もこの一年間で、講演依頼をいただくTOP3の中に、RPAが入っています。
皆さんは、RPAについて、どのような感想をお持ちでしょうか。
などなど・・・。
不明なことも多く不安がぬぐえず、とても近寄り難いと感じている方も多いと思います。
「不安」は、「不明」から起きることが多いでしょう。
「わからない」から「不安」になるのです。
深い霧の中では、どの方向に進めばよいかわからないので、「不安」になります。
つまり、深い霧の中は、「見えない」から不安になるのです。
「不明」を解消すれば「不安」は減るでしょう。
「不明」を解消する有効な手段は「情報収集」です。
しかも「信頼できる正確な情報」の収集です。
「信頼できる正確な情報」があれば、「わからない」ことは相当程度なくなって、「不安」も相当軽くなるでしょう。
先の例の、「深い霧の中」でも、今のスマホの地図と位置検索機能があれば、かなり自信をもって進むことができるようになるでしょう。
今のスマホの機能は、相当「信頼できる正確な情報」です。
だから「安心」できるのです。
一番気を付けなければならないのは「わからないから前に進まない、何も変えない」ということです。
今まで良かったことでも、今後は良くないかもしれません。
今までこのやり方で良かったから、今後も大丈夫だろう、というのは大変危険です。
なぜなら、世の中は変化しているからです。
全く変化していない世界では、何も変える必要はないでしょう。
しかし経理業務にしても、会計基準が変わる、税制が変わる、自社のビジネスを取り巻く環境も変わる、そして、業務を支えるテクノロジーも変わっているのです。
そしてその変化は、とてつもないスケールとスピードで変わっているのです。
例えば、売上高にしても、返品やボリュームディスカウントを見越して「見積った金額」で計上することが、会計基準でも法人税制でも原則になるなど、これまで思いもよらなかった変化が起きています。
「生き残ったのは、『強いもの』ではなく、『変化に対応したもの』だった」というのは、ダーウィンの有名な言葉ですが、まさしく、「変化」を無視すると生き残れないのです。
この数年、私はRPAを調査・研究してきました。
情報を収集し、実際に経理業務に活かしている企業に出向いて作成・使用事例を、自分の目で確かめてきました。
その中で、大変強い関心がもたれながらも、導入がなかなか進まない経理業務へのRPAについて、「信頼できるような正確な情報」を提供していきたいと考えています。
この考えを、スーパーストリーム社の方々に理解していただきました。
次回、年が明けてから、このコラムでRPAに関する情報や事例を「毎月、1年間にわたって」提供できるようになりました。
具体的には、以下のような項目について、場合によっては、一つの項目を数回に分けて、ご紹介していこうと考えています。
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。