トレンド情報 2024.07.14 (UPDATE:2025.03.16)
スーパーストリーム
2024年10月からは、インボイス制度の電子化を推進するために、その適用範囲が拡大される予定です。しかし、データの保存年限や検索性など、電子帳簿保存法の規制に従うには多くの課題があります。
一方で、デジタルインボイスの導入により、一部の経理業務の自動化が可能となるため、経理DXを実現できる可能性があります。ただし、電子データのセキュリティ対策や社内ルール作りなど、新たな対応が必要不可欠です。
経理DXの恩恵を最大限に受けるには、インボイス制度と電子帳簿保存法の両面から課題を検討し、適切な対策を講じることが重要です。
そこで今回は、インボイス制度と電子帳簿保存法の課題を解決する方法と経理DXの進め方を解説します。経理業務の効率化をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度と電子帳簿保存法は、どちらも取引関係書類に関するルールですが、一部の点で矛盾が生じています。
以下にそれぞれの概要と関係性、矛盾点について解説します。
インボイス制度は消費税法に則り、適格請求書(インボイス)を用いて事業者が本来納めるべき消費税額を明らかにするための制度です。
インボイスは、売り手側が買い手側へ正確な適用税率や消費税額を伝える手段として用いられ、インボイスでやり取りをすると「仕入税額控除」が受けられます。
一方、電子帳簿保存法は、「税務関係の帳簿」や「決算関係書類」、「取引関係書類」を電子データで保存することを認めた法律です。
電子帳簿保存法では、電子取引のデータ保存を義務付けており、真実性と可視性の確保を求めています。
インボイス制度では、電子データで受け取った国税関係書類である適格請求書(インボイス)をプリントアウトした紙媒体で保存することが認められています。
しかし、電子帳簿保存法によれば、電子取引でやりとりした適格請求書は、電子データのまま保存する必要があります。
つまり、電子取引を行った適格請求書は、電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」にも則った方法で保存しなければなりません。
電子帳簿保存法に対応し、適格請求書も正しく処理するために、以下のポイントに注意しましょう。
上記のように、電子帳簿保存法とインボイス制度の適切な対応により、経理業務をスムーズに運営できるようにすることが重要です。
データを長期保存する際には、いくつかの課題と対策を考慮する必要があります。以下に、データの保存に関連する課題と具体的な対策を紹介します。
データ保存に関するリスクには、次の4つが挙げられます。
電子媒体(磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク)の寿命は20年程度、フラッシュメモリ(SSD、USBメモリなど)は10年程度、ハードディスクドライブは5〜10年程度と言われています。
再生装置を利用することが前提であり、再生環境が失われる可能性があります。
長期間経過後、閲覧や編集のためのソフトウェアが入手できなくなる可能性があります。
長期保存により改ざんの危険が高まり、データが失われる可能性があります。
上記のリスクへの対策として、次の7つが挙げられます。
電子媒体が劣化する前に、定期的に情報を新しい媒体に移行します。
電子文書を保存、表示、印刷するために必要な環境を全て保存します。
電子文書の表示や印刷に必要なハードウェア環境が入手できなくなった場合に、あらかじめ準備しておいたエミュレータを使用する方法です。
電子文書に電子署名を付与して文書の改ざんを防止します。
電子文書の存在証明と非改ざん証明を行うためにタイムスタンプを使用します。
暗号化してデータを保護します。
定期的なバックアップを行い、データの喪失リスクを低減します。
これらの対策を組み合わせて、データの長期保存を確実に行いましょう
電子データの検索性を向上させるためには、いくつかの工夫が必要です。そこで以下では、電子データの検索性を高めるための対策を3つ解説します。
マニュアルや文書の見出しやタイトルに、読み手が検索するキーワードを含めましょう。これにより、検索結果が適切に表示されやすくなります。
目次と実際の内容を一致させることで、読み手が探している情報を迅速に見つけられるようになります。
電子化やデータ入力の作業を外部のプロに委託することで、検索精度を向上させることができます。
電子インボイスのデジタル化は効率的で便利ですが、同時にセキュリティリスクにも注意が必要です。そこで以下では、いくつかの重要なポイントを解説します。
電子データはサイバー攻撃の標的となりやすいため、データの改ざんや情報漏洩のリスクがあります。
また、内部の人員による操作ミスや、悪意のある者による情報持ち出しも考慮すべきです。
サイバー攻撃によって情報が盗み取られる可能性があります。情報漏洩は企業に大きな損害をもたらすことがあるため、十分な注意が必要です。
データの暗号化やアクセス制御を実施し、不正アクセスを防止します。また、ネットワークのセキュリティを強化し、外部からの攻撃を防ぎましょう。さらに、データのバックアップと定期的な監査を行い、データの完全性を保つことも重要です。
経理DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためには、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とAI(人工知能)の活用が不可欠です。
RPAとAI活用による経理DXの実現には、以下の6つのステップを踏むのが効果的です。
まずは、経理業務の中で自動化可能な定型作業を特定します。ワークフローを詳細にマッピングし、自動化の候補を選定しましょう。
次に、定型業務を自動化するためにRPAツールを導入します。シナリオを設定し、ソフトウェアロボットが業務を実行できるようにしましょう。
RPAだけでは対応できない判断が必要な作業には、AIを組み合わせます。AIがデータを分析し、判断基準を作成してRPAに指示を出すことで、非定型業務の自動化も実現可能です。
RPAとAIの連携を評価し、効率化を図りましょう。定期的なレビューを通じてプロセスの改善点を見つけ出し、自動化の範囲を拡大します。
従業員に対して、RPAとAIツールの操作方法を教育しましょう。従業員が、自動化された環境での新しい業務フローに適応できるようにすることが大切です。
自動化システムのパフォーマンスを監視し、問題が発生した場合は迅速に対応しましょう。業務の変化に合わせて自動化プロセスを更新し、継続的な改善を行うことが重要です。
これらのステップを踏むことで、経理業務の効率化と精度の向上を実現し、企業のDXを推進することが可能となります。
経理システムの更新と社内ルールの整備は、企業の効率化とコンプライアンスの強化に不可欠です。特にクラウド会計システムの導入は、以下の理由から重要性が高まっています。
経理システムを更新する重要性については、次のようなものが挙げられます。
クラウド会計システムは初期投資を抑え、運用コストの削減が可能です。また、経理業務の自動化で作業時間を短縮することで、人件費の削減にも寄与します。
データがリアルタイムで更新されるため、経営者がいつどこにいても最新の財務状況を把握できます。
クラウド会計システムは、どこからでもアクセス可能であるため、テレワークや外出先からの業務遂行を支援します。
データがクラウド上で安全に管理されるため、災害時でもデータの損失リスクが低減されます。
社内ルールの整備は、以下の点で重要です。
経理業務における内部統制を強化し、不正防止と財務報告の信頼性を高めます。
業務フローや社内ルールを明確にすることで、従業員の混乱を防ぎ、業務の効率化を図ります。
電子帳簿保存法などの法令に対応しやすくなるため、法的リスクを回避できます。
このように、クラウド会計システムの導入と社内ルールの整備は、企業の持続可能な成長と競争力の向上に寄与します。これらを適切に実施することで、経理業務の透明性と効率性が大幅に向上し、経営の意思決定を迅速かつ正確に行うことが可能です。
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応には、クラウド会計ソフトが非常に有用です。以下では、その理由とおすすめのクラウドシステムについて解説します。
以下ではまず、クラウド会計ソフトのメリットを解説します。
クラウド会計ソフトを使用すると、電子帳簿の作成と保存が効率的に行えます。
取引ごとに消費税率や請求書のカテゴリーを分けて記録でき、集計作業の負担を軽減します。
消費税の確定申告にも対応しており、手間を削減します。
複数の税率の商品を取り扱う場合にも適しています。
キヤノンITソリューションズのクラウド会計システム「SuperStream-NX統合会計」は、インボイス制度と電子帳簿保存法に対応しており、その機能や使いやすさを活用したスムーズな経理業務を実現可能です。
高度な機能と操作性を備え、コスト削減や保守・管理業務の負担軽減が可能です。さらに、高いセキュリティと可用性を提供し、ビジネスの成長に応じた柔軟な拡張性も大きな強みとなるでしょう。
AI-OCRを活用した業務の自動化と効率化も実現しており、手作業によるミスを減少させ、業務効率を大幅に向上させることが可能です。
これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。
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