トレンド情報 2024.04.17 (UPDATE:2025.04.15)
スーパーストリーム
企業経営において、人件費率は重要な指標の一つです。なぜなら、適切な人件費率を把握し、管理することは、企業の収益性と持続可能性を左右するからです。
そこで、業種によって異なる人件費率の適正値を知り、それに基づいて戦略を立てることは、企業を経営する上で必須のスキルと言えるでしょう。
しかし、人件費率は、労働分配率としばしば混同されることがあります。これらの概念を正しく理解し、適切に活用することで、より効果的な人材管理と財務戦略が可能です。
そこで今回は、人件費率の重要性と業種別の適正値、計算方法や労働分配率との違いを詳しく解説します。企業の経営者の方はもちろん、労務管理を担当する方も、ぜひ参考にしてください。
人件費とは、従業員に支払う給料や各種費用の総称です。人件費で経営状況を判断するためには、その内訳を正確に把握することが重要です。具体的な人件費には、基本給、残業手当、賞与、社会保険料、退職金などが含まれます。
一方、人件費率とは、売上に対する人件費の割合を示すもので、企業の経営効率を測るために用いられる指標です。
人件費率は以下の式で計算されます。
人件費率が高い場合、売上に対して人件費が多くかかっていることを表しており、利益率が低下する可能性があります。逆に、人件費率が低すぎると、従業員の能力やモチベーションが低下し、サービスや品質が低下する可能性があると考えられます。
したがって、人件費率を適正に保つことは、企業経営において非常に重要です。
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前述したように、企業経営において、人件費率は非常に重要な指標です。なぜなら、人件費率が示すのは売上高に占める人件費の割合であり、これによって企業のコスト構造と効率性が評価されるからです。
以下では、人件費率が重要であるポイントを5つ紹介します。
人件費は企業の総コストの大きな部分を占めるため、人件費率を通じてコスト管理を行うことができます。適切な人件費率を維持することで、企業は利益を最大化し、競争力を保つことが可能です。
人件費率は予算計画においても重要です。将来の売上予測に基づいて、適切な人件費の予算を立てることができます。
人件費率は、経営判断のための基準となります。例えば、企業の人件費率が高すぎる場合には、人員削減や業務の効率化といった施策を検討する必要があるでしょう。
人件費率が適切であれば、従業員は公正な報酬を受け取っていると感じ、モチベーションの維持や向上につながります。
投資家は、人件費率を利益率や企業の健全性を判断するための指標として活用します。そこで、透明性が高く信頼性のある人件費率を公表することで、投資家との信頼関係の構築が可能です。
このように、人件費率は企業の財務健全性、効率性、および競争力を測るための重要な指標であり、経営戦略を立てる上で欠かせない要素です。適切な人件費率を維持することで、企業は長期的な目標達成を実現できるでしょう。
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業種別の人件費率の適正値は、業界や企業の規模によって異なりますが、一般的な目安として以下のような数値が参考となります。
人件費率の目安 |
業界の平均値 |
|
飲食業・サービス業 |
30%~60% |
37.0% |
IT業界(情報通信業) |
30%前後 |
30.7% |
製造業 |
10%~50% |
20.7% |
小売業 |
10%~30% |
13.3% |
卸売業 |
5%~20% |
7.0% |
なお、業界の平均数値は、令和3年度の中小企業庁の実態基本調査の数値に基づいています。
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人件費率が売上高に対する人件費の割合を示すのに対し、労働分配率は、企業の付加価値に対する人件費の割合を示すものです。つまり、企業が生み出した付加価値から従業員にどれだけ分配されているかを表すのが、労働分配率です。
労働分配率の計算式は、以下のようになります。
ここで言う付加価値とは、経常利益に人件費や賃借料、減価償却費、金融費用、租税公課を加えたものです。一方、人件費には給与や賞与、役員報酬、法定福利費、福利厚生費、退職金などが含まれます。
人件費率は売上を基にしているため、他の企業との比較がしやすいですが、労働分配率は付加価値を基にしているため、労働がもたらす価値をより正確に反映していると言えるでしょう。
適切な人件費率や労働分配率は、業界や企業規模によって異なりますが、一般的にはどちらの指標も高すぎると人件費の負担が大きすぎることを意味し、低すぎると従業員への還元が不十分である可能性があります。そこで、それぞれに適切なバランスを見つけることが重要です。
労働分配率の業種別の適正値は、令和4年に厚生労働省が発表した統計データに基づいています。
労働分配率の目安 |
業種別の平均値 |
|
製造業 |
50% |
64% |
IT業界(情報通信業) |
53% |
57% |
建設業 |
78% |
69% |
運輸業 |
80% |
85% |
小売業 |
50% |
70% |
卸売業 |
50% |
70% |
飲食・サービス業 |
75% |
75% |
医療・福祉業 |
50% |
84% |
なお、業界の平均値は令和3年度の業種別の労働分配率を目安としています。
上記の目安と平均値の誤差については、新型コロナウイルスや、各業種におけるIT化やDXの推進による影響が大きいと考えられるでしょう。そのため、労働分配率に関する指標は、今後さらに変化すると考えられますので、参考程度にご参照ください。
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人件費率を改善するためには、以下のような方法が考えられます。
それぞれ解説します。
売上を増やすことで、固定費である人件費の割合を相対的に下げることが可能です。
単価を上げる方法としては、価値提案を強化する、プレミアムサービスを提供する、ブランドイメージを向上させるなどが考えられるでしょう。
業務プロセスを見直し、無駄を省くことで、同じ人数でより多くの仕事をこなせるようになる可能性があります。
これには、リーンマネジメントの導入や、業務の標準化・自動化が含まれます。
原材料や外注費などの直接費を見直し、コスト削減を図ることで、人件費の割合を下げることが可能です。
これには、交渉による仕入れ価格の見直しや、代替材料の検討が有効です。
労働集約的な作業をツールやシステムに置き換えることで、人件費を削減できます。
例えば、会計ソフトの導入や、顧客管理システム(CRM)の利用が挙げられます。
コア業務以外の事務作業や専門的な業務を外部に委託することで、人件費を変動費化し、コストを削減することも可能です。
成果に基づく評価制度を導入することで、生産性の低い従業員の人件費を削減し、高いパフォーマンスを発揮する従業員にはインセンティブを与えることができます。
これにより、従業員の労働意識やモチベーションを向上させられる可能性があるでしょう。
人員削減は直接的な人件費削減につながりますが、モラルの低下や業務の遅延などのリスクも伴います。
そのため、リストラクチャリングや自然減を通じて、段階的に人員を調整することが望ましいでしょう。
上記のような方法を実施する際には、従業員のモチベーションや満足度を維持することも重要です。また、業種や企業の規模に応じて適切な方法を選択し、継続的な改善活動を行うことが求められます。
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このように、人件費率を管理することは、企業の収益性と持続可能性を左右する重要な要素です。また、適正な人件費率を保つことは、効率の良い事業運営を進めることの証明となるため、ステークホルダーからの信用獲得にも寄与します。
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