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第173回 所得税の還付申告について

第173回 所得税の還付申告について

 アクタス税理士法人

 所得税の「確定申告」は、通常2月16日から対応が開始されますが、所得税の「還付申告」は、年明けから提出ができるようになります。サラリーマンなどの給与所得者は、通常勤務先で年末調整されていますので、申告の必要はありませんが、医療費控除など年末調整では控除を受けられない項目があり、これらは自ら還付申告を行い納めすぎの税金の還付を受ける必要があります。今回は、確定申告によって還付できる方の例と、確定申告が便利にできるマイナポータルの連携について、ご紹介させて頂きます。

確定申告を行うと税金が戻ってくる方の例

特定の医薬品を服用している場合(セルフメディケーション税制)など医療費控除がある方

 医療費控除は、病院や薬局などで医療費を支払った方を対象にしており、支払った医療費から10万円または所得金額の5%のいずれか少ない額を控除した額が医療費控除の対象となります。病院等の領収書は自宅で5年間保存すれば提出は不要です。医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制は、一定の条件を満たす(QA1参照)場合、特定の医薬品(頭痛薬や胃腸薬・解熱剤などの処方箋の必要がない市販の医薬品(スイッチOTC医薬品)など)を購入して、1年間の購入対価の合計が1万2千円を超えた場合、その超える部分の金額(控除限度額は8万8千円)を総所得金額から控除することができます。

株式の配当がある方

 株式などの配当金は、一律に税率20.315%の税金が源泉徴収されています。確定申告で総合課税を選択し配当控除(配当所得の10%)を受けることで、源泉徴収された税額の一部還付を受けることができます。今年は課税所得が695万円以下(目安)の方が還付申告のメリットを受けられることになります。

証券会社等の特定口座で通算損失がある方

 上場株式等の売買で損失が発生した場合、その損失は発生した年に申告することで、同年の上場株式等の配当所得等から控除可能です。控除しきれなかった損失は、翌年以後3年間にわたり上場株式等の譲渡益及び上場株式等の配当等から控除することができます。なお、NISA内で生じた損失は控除対象外となります。

ふるさと納税などの寄付金を行っている方

 国、地方公共団体(ふるさと納税)、日本赤十字社、公益社団法人、認定NPO法人などに対する寄付金、政治献金、災害義援金などが対象となります。確定申告には、寄付金の受領証や証明書が必要になります。

住宅をローンで購入された方

 住宅ローンによりマイホームを購入・増改築した場合は、年末借入金残高の0.7%(最大35万円)を税額から控除できます。住宅ローン控除を適用する最初の年は確定申告が必要です。

確定申告のマイナポータル連携

 煩雑な年末調整手続きの簡便化効率化のため、令和2年10月から年末調整書類を電子で作成・申告を行うことが可能となりました。また、令和3年度分より、2年前に発行した給与の源泉徴収票等の法定調書が種類別に100枚以上ある企業は、法定調書の電子申告が義務化され、年末調整業務についても書類の電子データでの作成提出について税務署長の承認が不要となり、電子化に向かう環境整備がされました。
 法定調書の作成提出業務だけでなく、年末調整業務からの一連の業務を電子化するメリットは大きく、e-TAXの法人利用率が87.9%(令和3年度分)と年々電子化の流れが進んでいます。現時点では法定調書の電子データでの申告が義務化の対象ではない任意の企業でも、今後は年末調整を含めた電子化のより一層の推進が予測されます。

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マイナポータル連携とは

 所得税確定申告におけるマイナポータル連携とは、申告書作成に必要な生命保険料控除証明書等のデータをマイナポータル経由で取得する機能のことです。それにより国税庁が提供する確定申告書等作成コーナーで申告書を作成される場合は、取得したデータを申告書の該当項目へ自動入力することが可能です。

マイナポータル連携の対象となる各種控除証明等のデータの具体例

 マイナポータル連携の対象となる控除証明書等はそれぞれ次の通りです。年々対象となるデータは拡大しており、令和5年分より赤字のデータが新たに対象となりました

収入関係

給与所得の源泉徴収票・公的年金等の源泉徴収票・株式の特定口座

控除関係

医療費・ふるさと納税・生命保険・地震保険・社会保険(国民年金保険料、国民年金基金掛金)・iDeCo小規模企業共済掛金・住宅ローン控除関係

給与所得の源泉徴収票についての注意点

 「給与所得の源泉徴収票」の情報が自動入力の対象になるためには、勤務先が税務署にe-TAX又は認定クラウド等により源泉徴収票を提出している事など一定の要件があります。原則として、従業員は年間の給与等の支払金額が500万円を超える場合に源泉徴収票を税務署へ提出しますが、500万円以下でも任意での提出は可能です。そのため、源泉徴収票を税務署へ提出をしているか勤務先に確認する必要があります。なお、源泉徴収票の提出有無を税務署にお問い合わせいただいてもご回答いただけないのでご注意ください。

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Q&A

Q1. セルフメディケーション税制の対象医薬品の確認方法及び適用の要件はありますか。また通常の医療費控除と併用して適用することは可能でしょうか。

A.  セルフメディケーション税制の対象となる特定の医薬品には、商品パッケージに「セルフメディケーション税制対象」の識別マークが表示されています。また、レシート等で確認することも可能です。セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、健康に対する一定の取組を行っていることが必要です。一定の取組とは、勤務先で受ける健康診断、インフルエンザ予防接種などが含まれます。この制度の適用を受ける際には、医薬品のレシートと人間ドックを受けた際の診断結果表などの書類の保存が必要です。 また、医療費控除との併用はできず、どちらか一方を選択する必要があります。どちらがより大きく控除できるかはケースにより異なるため、シミュレーションを行って検討しましょう。

Q2. ふるさと納税を行いました。ワンストップ特例の申請を行っておりますが、何か留意点はありますか。

A. 寄付先が6自治体以上の場合は、たとえ寄付先の自治体へワンストップ特例申請書を提出していても、ワンストップ特例制度を利用することは出来ません。その場合、ふるさと納税による寄付金控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。また、寄付先が5自治体以下の場合でも、医療費控除などの他の控除の適用を受けるために確定申告を行う場合、ワンストップ特例制度が適用されません。確定申告をする際には、ふるさと納税の寄付金控除の適用を受けるよう申告書を作成しなければならないので注意が必要です。

Q3. 確定申告をして還付を受ける予定です。還付金はどのように還付されるのでしょうか。

A.  還付金の受け取りは、指定した金融機関の預貯金口座への振込みによる方法最寄りのゆうちょ銀行各店舗・郵便局にて受取る方法があります。指定する金融機関の口座へ振込を希望される場合は申告書に金融機関名、預金種別、口座番号(ゆうちょ銀行の場合は貯金記号番号欄に記号と番号)を記載の上、申告書の提出をする必要がございます。振込口座は申告するご本人の名義の口座のみに限り指定可能です。旧姓のままの名義では還付を受けることができないので、振込口座の名義には注意が必要です。

Q4. マイナポータルとはどのようなものでしょうか。利用するためには、どのような手続きが必要ですか。

A.   マイナポータルとは、政府が運営するオンラインサービスです。マイナンバーカードを利用することで転入転出届やパスポートの取得などの各種行政手続きが可能となります。マイナポータルの連携を利用するためには、マイナンバーカードマイナンバーカード読取対応のスマートフォン(又はICカードリーダライタ)をご準備の上、「マイナポータル」にアクセスして利用者登録を行います。その際、マイナンバーカードの受取時に設定した数字4桁のパスワードが必要です。登録後、控除証明書等を取得できるようになるには数日を要する場合がありますので、早めの準備が必要です。確定申告時には専用ページにて連携したい控除証明書等を選択し、それぞれ連携を行います。

Q5. マイナポータル連携を利用して確定申告書を作成する際、留意することはありますか。

A.  マイナポータル連携を利用して確定申告書を作成する際に注意すべき点について、まず年末調整で提出した控除証明書を確定申告書の作成時にもマイナポータル連携を行うことです。それをすることで所得控除が重複してしまうので、年末調整で提出した控除証明書のマイナポータル連携は利用しないようご注意ください。マイナポータル連携は一部のデータが対象で、対象外のデータもあります。例えば社会保険料控除のうち国民健康保険は連携対象外ですので控除漏れが生じて申告額を間違えてしまうケースがございます。また生命保険料控除で契約している保険会社がマイナポータル連携に対応していないこともあります。対応している保険会社は国税庁のホームページにてご確認する必要があります。

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