公認会計士 中田清穂のインボイス制度と電子帳簿保存法の解説講座 2024.01.09 (UPDATE:2024.11.15)
中田 清穂(なかた せいほ)
以下NHKがインボイスの発行について説明しているサイトです。
(https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/jigyousho/invoice/)
これを見ると、「ふふ~ん、NHKはちゃんとインボイスを発行しているな。大丈夫だな」と思う方も多いでしょう。
しかし、最初の文章をよく読むと「事業者のみなさまに対して」という表現があります。
つまり、個人で契約している場合は対象にしていないことがわかります。
スタートアップのケースや、従業員が少なく、自宅を会社と兼用しているケースなどでは、個人で放送受信契約を結んで、その領収証などで、会社の経費にしていることもあるかと思います。
そういった場合には、インボイスが発行されない可能性があるということです。
上に示したサイトでは、「住居に接続した店舗を営む個人事業主など」は、NHKに電話するか、所定の申込用紙で、インボイスを発行してもらえるように依頼しなければなりません。
東京電力のサイトでは、法人も個人事業主も、東京電力の会員サイトでインボイスを発行することが明記されています。
法人は、Web会員サイト「ビジネスTEPCO」あるいは「Web検針票」です。 個人事業主は、Web会員サイト「くらしTEPCO web」あるいは「Web検針票」です。
(https://www.tepco.co.jp/ep/tax/invoice.html)
いずれにしても、サイトからダウンロードするしかないようです。
電子帳簿保存法の「電子取引」に該当しますから、電子帳簿保存法の要件に準拠して、電子的に保存する対応が必要になります。このサイトを見る限り、一部の例外ケースを除き、「紙」でのインボイス発行はされないようです。
東京ガスのサイトでは、以下の方法でインボイスを入手できるようです。
(https://support.tokyo-gas.co.jp/faq/show/12884)
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サイトからダウンロードする場合には、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当しますから、電子帳簿保存法の要件に準拠して、電子的に保存する対応が必要になります。
東京都水道局のサイトによると、定期検針時に現地で発行される「お知らせ票(検針票)」について、インボイス対応をしたとのことです。「お知らせ票(検針票)」にインボイス番号を記載することで、法人にも個人事業主にも対応できるので、最も親切な対応と言えるでしょう。
(https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/topic/230831-01.html)
また、上記サイトでは、「PDF及びCSVダウンロードできるようになる予定」との表現があります。サイトからダウンロードする場合には、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当しますから、電子帳簿保存法の要件に準拠して、電子的に保存する対応が必要になります。
なお、一部の情報では、インボイス対応をしていない地方自治体があるという情報があります。
したがって、皆さんの会社の各事業所で利用している水道について、各自治体の水道局がインボイス対応しているかどうか、調査・確認しておくことが望まれます。
電話料金については、電気通信事業者ごとに対応が異なるようです。
電気・ガス・水道、NTT、そして通信事業者など、「大きな組織だから当然インボイス対応をしているだろう」と思い込みがちですが、対応が会社や自治体によって同じではないので、決算処理に入る前に、きちんと調査して、対応を済ませておくことが望まれます。
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。