トレンド情報 2024.01.11 (UPDATE:2025.03.15)
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電子帳簿保存法とは、会計帳簿やその添付書類を電子的に保存することを認めた法律です。この法律の改正目的は、電子帳簿の保存方法や管理方法に関する基準を明確化し、税務調査の円滑化や紙媒体の削減などを図ることです。
2024年1月1日に施行される予定の改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存において「真実性」という要件が重要となります。なぜなら、真実性は電子帳簿が元の紙媒体と同じ内容であることや、電子帳簿が改ざんされていないことを意味しているため、真実性が確保されなければ税務調査官が電子帳簿の信頼性を疑うことになるからです。
そこで今回は、改正電子帳簿保存法における真実性の確保に必要なシステムと要件を解説します。経理や財務会計に関わる方は、ぜひ参考にしてください。
改正電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿や書類を電子データで保存することを法律で定めた「電子帳簿保存法」の改正版です。
この法律の目的は、経理のデジタル化を促進し、紙の帳簿・書類の保管や管理の負担を軽減することにあります。また、改正電子帳簿保存法の施行により、適切かつ公平な課税が可能となり、より公正な市場競争に寄与すると考えられます。
※改正電子帳簿保存法における詳しい内容は、国税庁ホームページや経済産業省中小企業庁ホームページをご参照ください。
改正電子帳簿保存法の対象企業は、すべての企業や個人事業主です。ただし、電子取引を行っていない場合は、電子データでの保存義務はありません。
改正電子帳簿保存法の対象書類は「国税関係帳簿」「国税関係書類」「電子取引に関する情報」の3種類です。具体的には、次のような帳簿・書類が対象となります。
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、固定資産台帳など
貸借対照表、損益計算書、棚卸表、見積書、契約書、請求書、領収書など
Web請求書、メールデータ、EDI取引、クラウド取引などの情報
上記の帳簿や書類は、作成方法や受領方式によって保存方法が異なります。改正電子帳簿保存法では、保存方法を次の3つの区分に分けています。
電子帳簿等保存とは、コンピューターなどで作成した国税関係帳簿や国税関係書類を電子データで保存することです。電子帳簿等保存では、一定の要件を満たせば「優良な電子帳簿」として認められ、過少申告加算税の軽減措置を受けることができます。
スキャナ保存とは、紙で作成・受領した国税関係書類を、スキャナやスマートフォンで読み取って画像データで保存することです。
電子取引とは、電子的に授受した取引情報を電子データで保存することです。電子取引に関する帳簿や書類に関しては、2022年の法改正により、原則として義務化されています。
電子帳簿保存法では、対象外となる書類もあります。電子帳簿保存法の対象外となる書類は、次のようなものです。
仕訳帳や総勘定元帳などの手書きで作成した国税関係帳簿は、書面で保存しなければなりません。
電子取引による書類であっても、電子データが残っていないものは保存ができません。例えば、FAXで送られた書類を紙で受け取った場合や、メールで送られた書類を印刷して紙で保管した場合などです。
このような書類に関しては、電子帳簿保存法の対象外となります。
改正電子帳簿保存法における真実性要件の変更点は、主に以下の2つです。
この2つの変更点について、それぞれ解説します。
これまでは、電子取引データを紙で保存することが認められていました。しかし、この規定は2023年12月31日までに限り許されるという措置となっています。
2024年1月1日の改正電子帳簿保存法の施行からはこの規定が廃止され、電子取引データを紙で保存することは原則禁止されます。これは、電子化やペーパーレス化の目的に反すると考えられたためです。
ただし、やむを得ない場合には税務署長の承認を受けて紙で保存することができるとされており、この措置が恒久的に適用される可能性があります。この点においての疑問等があった場合には、所轄の税務署に相談・確認することをおすすめします。
これまでは、電子取引データを電子保存する場合には、認定タイムスタンプや公的機関の発行するタイムスタンプ等を付与する必要がありました。
しかし、今回の改正によりこの要件が緩和され、タイムスタンプを付与しなくても他の方法でデータの真実性を担保する措置を行えば良いことになりました。例えば、訂正・削除の記録や禁止を行う、事務処理規程を整備・運用するなどがあります。
改正電子帳簿保存法では、電子的な取引データの真実性を確保するために、以下の4つのシステムのいずれかを選択して利用することが求められています。
これらのシステムには、それぞれメリットやデメリットがあるため、以下で詳しく解説します。
このシステムは、取引データを電子的にやりとりする際に、タイムスタンプを付与してデータの作成日時や内容の変更を証明するものです。タイムスタンプは、公的な機関や信頼できる第三者機関が発行するものでなければなりません。
このシステムのメリットは、データの真実性を高いレベルで担保できること、データの保存期間が5年から3年に短縮されること、紙の帳簿や領収書を保管する必要がなくなることなどです。
一方、デメリットとしては、タイムスタンプの発行には費用がかかること、タイムスタンプを付与したデータを受け取った相手も同じシステムを導入していなければならないこと、データの形式や管理方法に一定のルールがあることなどが挙げられます。
このシステムは、取引データを電子的にやりとりする際にタイムスタンプを付与することが必須ではなく、後からでも付与できるものです。
ただし、タイムスタンプを付与しない場合は、取引データを受け取った日から7営業日以内に紙の帳簿や領収書に転記するか、電子的な帳簿保存システムに移行する必要があります。
また、取引データを送った日から2ヶ月以内にタイムスタンプを付与する場合は、その旨を相手に通知する必要があります。
このシステムのメリットは、タイムスタンプの発行費用やシステム導入費用を節約できること、取引データの形式や管理方法に柔軟性があることなどです。一方、デメリットとしては、データの真実性を証明するためには紙の帳簿や領収書が必要になること、データの保存期間が5年間と長いこと、後からタイムスタンプを付与する場合は相手に通知する手間がかかることなどが挙げられます。
このシステムは、取引データを電子的にやりとりする際に、訂正削除の防止に関する事務処理規程を作成し、それに基づいてデータの管理を行うものです。事務処理規程は、訂正削除の基準や方法、記録や報告の仕方などを明確に定める必要があります。
このシステムのメリットは、タイムスタンプの発行費用やシステム導入費用がかからないこと、取引データの形式や管理方法に自由度があることなどです。一方、デメリットとしては、データの真実性を証明するためには事務処理規程の遵守や記録の整備が必要になること、データの保存期間が5年間と長いこと、訂正削除の防止に関する事務処理規程の作成や改定に手間がかかることなどが挙げられます。
このシステムは、取引データを電子的にやりとりする際にクラウドサービスやブロックチェーンなどの技術を利用して、データの訂正削除を行った場合にその記録が残るか、そもそも訂正削除ができないようにするものです。これらの技術は、データの真実性を高いレベルで保証することができます。
このシステムのメリットは、データの真実性を高いレベルで担保できること、データの保存期間が5年から3年に短縮されること、紙の帳簿や領収書を保管する必要がなくなること、クラウドサービスやブロックチェーンなどの技術は今後さらに発展する可能性が高いことなどです。
一方、デメリットとしては、クラウドサービスやブロックチェーンなどの技術はまだ普及していないこと、システム導入費用や運用費用が高い可能性があること、データの形式や管理方法に一定のルールがあることなどが挙げられます。
改正電子帳簿保存法では、電子的な取引データの真実性を確保するために、以下の3つのポイントが重要です。
これは、電子的な取引データが紙媒体と同じように読み取れることを意味します。
例えば、領収書や請求書などのデータは、紙媒体と同じ項目や金額が表示されなければなりません。また、データはPDFや画像などの形式で保存されることが望ましいとされています。
これは、電子的な取引データが作成された時点や内容が変更された時点を明確に示すことを意味します。
例えば、タイムスタンプやハッシュ値などの技術を利用して、データの作成日時や内容の変更を証明できることが必要です。また、データは公的な機関や信頼できる第三者機関によって発行されたものであることが望ましいとされています。
これは、電子的な取引データが適切に分類や整理されていることを意味します。
例えば、データは取引先や期間ごとにフォルダやファイル名で区別する必要があります。また、データはバックアップや保管場所の確保などの対策を行うことが望ましいとされています。
上記で解説したように、真実性の確保に必要なシステムや要件によって、保存した帳簿の真実性要件を満たすことができます。
真実性要件を守ることは、以下の2つの理由から重要です。
真実性要件を守ることで、電子的な取引データが紙媒体と同じように税務調査に供することが可能です。
税務調査官は、電子的な取引データを読み取りやすく、改ざんされていないことが確認できることから、データの信頼性や正確性を判断しやすくなります。また、電子的な取引データは紙媒体よりも検索や整理が容易であることから、税務調査の効率や速度も向上します。
真実性要件を守ることで、電子的な取引データは自社や取引先に対しても高い品質や信頼性を持つことができます。例えば、タイムスタンプやハッシュ値などの技術を利用することで、データの作成日時や内容の変更を追跡や検証することできます。
また、クラウドサービスやブロックチェーンなどの技術を利用することで、データの訂正削除を行った場合にその記録を残したり、そもそも訂正削除ができないようにしたりすることも可能です。これらの技術は、データの真実性を高いレベルで保証することができます。
以上のように、改正電子帳簿保存法における真実性要件は、税務調査やビジネス上の観点からも非常に重要です。
このように、電子帳簿保存法とは、税法上保存等が必要な帳簿や国税関係書類を電子データで保存することに関する法律で、経理のデジタル化を図ることができる制度です。
電子帳簿保存法は令和5年度税制改正により一部改正され、令和6年1月1日以降に施行されます。
改正後の電子帳簿保存法では、書面での保存ができなくなるため、真実性や可視性を確保することが重要です。
真実性の確保とは、電子データが正確かつ完全に記録され、改ざんや紛失が防止されることを意味します。この真実性の確保の要件には、電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け、訂正・削除履歴の保持、帳簿間の相互関連性、日付・金額・相手方による検索機能などがあります。
真実性の確保の要件を満たすことで、電子帳簿等保存制度の利用者は、税務調査や監査などで電子データの信頼性を証明することができます。また「優良な電子帳簿」に係る過少申告加算税の軽減措置を受けることも可能です。
そこで、改正電子帳簿保存法に必要な要件を満たすための、信頼できるクラウド会計システムの導入をおすすめします。自社に合ったクラウド会計システムを導入することで、真実性を含めた「優良な電子帳簿」の作成と管理が可能です。
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