公認会計士 中田清穂のインボイス制度と電子帳簿保存法の解説講座 2024.07.08 (UPDATE:2024.10.24)
中田 清穂(なかた せいほ)
請求書や領収書には、「適格請求書発行事業者登録番号(以下、T番号)」を明記しなければなりません。
T番号が記載されていない請求書や領収書は、適格請求書等(インボイス)として認められず、消費税の仕入税額控除ができません。
T番号は法人であれば、法人番号の頭に「T」をつけるだけの番号なので、どんな法人でも作れます。
しかし、仕入税額控除を認めてもらうためには、勝手に作った「T番号」ではなく、「正式なT番号」でなければなりません。
「正式なT番号」ではない番号を、請求書や領収書に記載したら、税務上の罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)を受ける可能性があります。
「正式なT番号」とは、税務署に適格請求書発行事業者の登録申請手続をして、税務署による審査を経て税務署で登録され、登録通知を受け、国税庁の「インボイス制度特設サイト」に掲載された番号です。
したがって、請求書や領収書を受け取ったら以下の確認が必要なのです。
最初の取引とは別に、同じ仕入先から購入した場合、同じ「T番号」が記載されたインボイスが送られてきます。
その場合、最初にインボイスをもらったときに国税庁の「インボイス制度特設サイト」に掲載されていることを確認しているから、2回目以降の確認は不要でしょうか。
厳密にいえば、2回目以降も必要です。
その理由は、以前登録されていた「T番号」であっても、登録されなくなっていることがあるからです。
これについては、以下のようなケースがあります。
とは言え、一度確認した「T番号」をその後もずっと毎回確認することは、精神的にも工数的にもツライものがあります。
2023年10月1日からインボイス制度がスタートして、最近になって、経理実務をされている方々と座談会をした際に、この辺りの実務をどうされているのか、質問をしました。
その際のお答えとしては、
インボイスをもらう度に、1件1件税務署の「インボイス制度特設サイト」に掲載されていることを確認するのは大変な手間です。
会計システムや文書管理システムの中には、システムに「T番号」を入力した際に、国税庁の適格請求書発行事業者公表システム(Web-API)と自動連携して、仕入先が適格請求書発行事業者であるかを確認できるシステムもあるので、皆さんがお使いのシステムに同様の機能があるのか、確認されることをお勧めします。
もし同様の機能があれば、それを利用することで、「T番号」確認作業はかなり楽になるでしょう。
もちろん、SuperStream-NX 統合会計では、国税庁の適格請求書発行事業者公表システム(Web-API)と連携することで、取引先が適格請求書発行事業者であるかの確認が可能です。
(出所:https://www.superstream.canon-its.co.jp/product/keiri/invoice)
中田 清穂(なかた せいほ)
1985年青山監査法人入所。8年間監査部門に在籍後、PWCにて 連結会計システムの開発・導入および経理業務改革コンサルティングに従事。1997年株式会社ディーバ設立。2005年同社退社後、有限会社ナレッジネットワークにて、実務目線のコンサルティング活動をスタートし、会計基準の実務的な理解を進めるセミナーを中心に活動。 IFRS解説に定評があり、セミナー講演実績多数。