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ペーパーレス化が必要な理由から対応範囲、実現方法、成功のポイントまで総解説

ペーパーレス化が必要な理由から対応範囲、実現方法、成功のポイントまで総解説

 スーパーストリーム

さまざまな分野でペーパーレス化、つまり紙から電子データへの移行が進んでいます。オフィスにおいても、ペーパーレス化によって業務フローが大きく変わったところ、ペーパーレス化が進行しつつあるところ、まだ移行があまり行われていないところなどさまざまかと思います。

この記事では、改めてオフィスのペーパーレス化にスポットを当て、どのように捉え、どのように実現していけばよいのか解説します。ペーパーレス化を成功させるポイントに加え、失敗するパターンも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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■ペーパーレス化はなぜ必要なのか?

オフィスにおけるペーパーレス化とは、業務において「紙」の使用をなくして、「電子データ」に置き換えることです。ペーパーレス化の動きとしては、オフィス内に留まらず、環境問題や税制など社会全体が「紙」の使用から脱却しようとしていると言えます。

オフィスにおいてペーパーレス化が必要な理由には次のことが挙げられます。

<ペーパーレス化が必要な理由>

1 コスト削減 紙の書類を管理するための時間と費用を削減する。書類保管のための書庫や印刷、ファイリング費用の削減につながる。
2 ヒューマンエラー削減 手作業で紙を管理することによるミスや書類の紛失などのヒューマンエラーの軽減が可能になる。
3 処理・手続きの高速化 手書きや印刷・郵送などの作業が高速化される。
例)請求書の電子化
4 環境への配慮 紙を使用しないことにより、森林の伐採や廃棄物削減など環境への負荷を軽減できる。(CO2排出量削減)
5 セキュリティの向上 物理的な存在である紙は、紛失や盗難などのリスクがある。セキュリティ対策を施した電子データならリスクを回避できる。
6 法令からの要請 国税および地方税関係手続きの電子化対応をする必要がある。

ただし、紙を電子データに変えるにあたり、会社の手続きを一挙にペーパーレスに切り替えることは容易ではありません。

例えば、現実的な問題として、過去の膨大な紙資料を一度に電子化することは難しいと言えます。また、取引先が依然として紙書類を利用している場合、その転換まで強要することはできないので、自社の対応だけでは完全なペーパーレス化ができない場合もあるでしょう。

したがって、ペーパーレス化を進める場合は、対象となる書類ごとに電子データへ切り替えていくなど、ある程度長期的な計画のもとに実施することをおすすめします。

■どこまでペーパーレス化すればよいのか?

ペーパーレス化と言っても、会社の書類すべてを電子データにすることが目的ではありません。業務効率化、コスト削減、環境負荷の軽減、セキュリティ強化など、どこに重点を置くかによってペーパーレス化の目的は異なります。まずは、自社がペーパーレス化する目的を明らかにし、どこまでペーパーレス化するのかを検討してから計画を進めましょう。

会社によってペーパーレス化に割ける予算には限度があり、どこまでペーパーレス化が可能かはさまざまですが、以下の2つのステップを参考に「自社におけるペーパーレス化の目的」を考えてみてください。

1:現状の紙書類の使用状況を把握する(現状把握)

紙書類は、社内文書、契約書、領収書、名刺などさまざまであり、それぞれ必要性や重要度が異なるうえ、使用量もまちまちです。例えば、法的な証拠として必要な契約書や請求書などは、電子帳簿保存法などの法律に従う必要がありますし、日々発生する取引の明細は一定期間においてすぐに参照できるようにする必要があります。

2:機器やシステムの導入を具体的に考える(将来シミュレーション)

ペーパーレス化では、紙書類に代わる電子データを管理し、格納するための装置が必要となります。機器やシステムについて、コストや性能や使い勝手などを考慮して選択する必要があります。
例えば、スキャナや書類を管理するシステムだけでなく、書庫にあたるクラウドサービスやサーバーシステムが必要となります。また、電子データを閲覧するためには端末が必要です。

現状を正しく把握し、どの書類を電子データに切り替えるかの検討が完了したら、次にペーパーレス化実現のための実作業に移りましょう。

 

■ペーパーレス化を実現する方法

ペーパーレス化を実現するにあたって検討すべき事項を5つにまとめました。

<ペーパーレス化を実現するための検討事項と概要>

  検討事項 概要
1 取引先の要望を検討 顧客の要望を踏まえ、ペーパーレス化の優先順位を考える。
例えば、得意先が紙書類を望むのであれば、該当する書類のペーパーレス化は後にするなど。
2 ペーパーレス化が可能な業務の洗い出し 業務プロセス全体を見直し、どの部分を変えることができるかを検討する。
例えば、契約書の電子化や、請求書の電子化など、社内でペーパーレス化への移行がやりやすい業務から優先的に取り組むことが効果的。
3 法的要件を確認 国税や地方税の要請、電子帳簿保存法の要件を洗い出す。電子化対応が必要な部分は優先的にペーパーレス化を推進する。
4 業務フローの検討 スキャナ保存やデータ管理システムの利用によって業務フローがどのように変わるかシミュレーションする。(変更前後を比較する)
5 社員のトレーニング ペーパーレス化による新たな業務フローをこなすために、社員の教育やトレーニング方法を考える。システムや機器の利用方法などを指導し、社員のペーパーレス化への意識を高める必要がある。
特に、取引先の要望や社員のトレーニングには時間を要するかもしれませんが、ペーパーレス化は会社の一つの意思決定であり、一部の人だけで決められない重要な改革であることを社内で共有しましょう。

■ペーパーレス化を成功させるポイント

自社におけるペーパーレス化の目的が定まり、その目的を実現させるための方向性が決まったら、次に「進捗状況の見える化」と「社員の意識改革」に取り組むことをおすすめします。どちらも、全社を挙げてペーパーレス化を浸透させ、目的を果たすための重要なポイントです。

  • ペーパーレス化の進捗状況の見える化
    ペーパーレス化における具体的な目標を立てたら、進捗状況が見えるようにしておく、つまり、捗っているのか、遅れているのかを把握できるようにしておきましょう。短期間では対応できる範囲が限られるので、半期ごとや年度ごとにペーパーレス化の目標を達成したかどうかを検証します。部門の目標にしたり、個人単位での到達度を評価したりしてもよいと思います。

  • ペーパーレス化による社員の意識変革
    ペーパーレス化によって業務フローが変わると、社員同士のコミュニケーション方法も変わってきます。個々の社員がペーパーレス化の必要性を理解し、積極的に電子データを活用できるようにならなければ、ペーパーレス化は成功したと言えません。単に担当者に新たな業務フローのトレーニングを施すだけでなく、ボトムアップで担当者からの意見や提案を聞くという双方向性が求められます。

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■ペーパーレス化が失敗するパターン

ペーパーレス化を推進する中でうまく進まない原因には、いろいろ考えられます。
次のようなことが起こっていたら軌道修正をしましょう。

▼ペーパーレス化の目的や方針が明らかでない

ペーパーレス化の目的とその実現方法がずれていると、当然うまくいきません。ペーパーレス化の目的があまりに抽象的であったりすると、そもそもペーパーレス化の推進が難しいと言えます。これはどのプロジェクトでも言えることですが、目的はわかりやすいシンプルなものがよく、その実現方法は具体的なものであるのが望ましいです。

また、会社の上層部だけで目的を決めて、実現方法は各担当者に丸投げするような形もうまくいかない例です。ペーパーレス化は社内の大きな改革の一つと捉え、会社が一つになって取り組む意識が必要となります。

▼社員に対する教育やサポートが不十分

実際にペーパーレス化を推進するのは、個々の担当者です。社員のトレーニングが不十分だと、ペーパーレス化の主体者がひ弱なものになってしまい、計画通りに進みません。新たなシステムが使いこなせず、紙の書類に戻ってしまう場合はトレーニング不足が原因として考えられます。また、ペーパーレス化への不満がある社員には、どこに改善や工夫か必要なのか、時間をかけてでも解決する根気が必要です。

▼社員に対する教育やサポートが不十分

いかなる場合でもペーパーレス化を徹底できるかというと、状況によっては難しい場合もあります。無理にペーパーレス化を進めようとすると、逆に非効率になる恐れもでてきます。業態や顧客の都合によってはペーパーレス化できない部分が残ることを理解し、状況に応じて対応方法や管理方法を考えましょう。

■SuperStream-NXでペーパーレス化を推進

このように会社が一つになって取り組む必要のあるペーパーレス化の実現には、統合的なシステムの導入がおすすめです。

「SuperStream-NX」は、財務会計や人事給与のペーパーレス化を解決する統合的なソリューションとして、多くの企業のバックオフィス業務をサポートしています。例えば、経理部門においては、AI-OCRをはじめとした各種機能によってペーパーレス化を実現、さらには完全クラウド化対応によりテレワークの実現も可能です。

上述したように社内の書類を一挙にペーパーレス化するのは難しいため、まずは経理部門から順次進めていくなど、計画的に実施していきましょう。

「SuperStream-NX」がどのような機能を備えているか、そして、それらの機能を使ってどのような課題が解決できるかについて,以下のページで詳しく紹介しています。

経理部門の課題をSuperStream-NXで解決
https://www.superstream.co.jp/product/keiri/telework

■おわりに

紙の書類は、持ち運びに便利です。また、文章を深く考えながら読み込んだり、品質の高い文章になるまで作り込んだりするシーンでは、紙の良さを感じる場面も確かにあると思います。

ペーパーレス化とは、「紙」を否定するものではなく、「紙」で感じている不便や非効率をなくすためのものです。社員の意識改革の過程では、一時的に社員に負荷をかけることもありますが、現状の否定ではなく、最終的には今よりも仕事がやりやすくなるためであることを社員にわかってもらうことが大事です。

ペーパーレス化によって新たな業務体制を整えるだけでなく、「紙」の便利な面は使える状況にしておくのが好ましいかと思います。

■税理士コメント

会社における紙の文化を変えることは、つまるところ、紙に代わる新たなシステムに乗り換えることでもあります。政府が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、会社がデジタル技術を活用し、業務プロセスの変革を行うことを言いますが、ペーパーレス化は明らかにDXの一つです。

令和5年税制改正において、DX投資促進税制の適用が延長され、税額控除や特別償却が可能となっています。新たなシステム導入の際には、これらの優遇措置が適用できるかどうかも検討事項に入れておきましょう。

【税理士プロフィール】
税理士・CFP・認定経営革新等支援機関
岡 和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。
システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士やフィナンシャルプランナー資格を取得。
2019年より税理士事務所を開業し、税務や会計に関するライティング業務も開始。
図や表などを多用したわかりやすい執筆を心掛けています。

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SuperStream製品についてご覧になりたい方は以下よりご確認ください。
※会計ソリューション案内はこちらより

 

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