人事労務お役立ち情報 2021.07.07 (UPDATE:2024.11.25)
アクタス社会保険労務士法人
育児休業給付金等の手続の際、通帳等の写しが原則不要になります
押印・署名の省略など社会保険手続の簡素化が急速に進む中、さらに、育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金の手続の際、通帳等の写しが原則不要になります。
現状、最初の支給申請にあたり、申請書記載内容の確認書類として払渡希望金融機関確認書類(通帳やキャッシュカードの写し等)の提出が必要です。
しかし、令和3年8月1日から原則これが不要になります。
対象となる申請書は以下の通りです。
1.高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続支給申請書
2.育児休業給付金受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
3.介護休業給付金支給申請書
ただし、手書きで申請書を作成する場合は、引き続き通帳等の写しが必要となりますのでご注意ください。
(厚生労働省「雇用継続給付等の申請を行う事業主等の皆さまへ」)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000783316.pdf
なお、上記1.の高年齢雇用継続給付は、令和7年度から新たに60歳となる労働者への同給付の給付率を10%に縮小することが決まっています。
(厚生労働省「高年齢雇用継続給付の見直し」)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000744250.pdf
また、上記2.および3.においても、関連して育児休業等の取り扱いが改正されておりますのでご注意ください。
(厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要」)https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000788616.pdf
今回、通帳等の写しが不要となることで、電子申請による手続きが従来の紙手続きに比べますます効率的であるといえます。
電子申請による手続きは「場所、時間を問わず申請可能」「ペーパーレス化」など様々なメリットがあります。
行政による手続きの電子化および電子化による効率化を急速に進めている感があり、紙による手続きを実施されている事業所においては、電子化を進めるメリットは非常に高いといえるのではいでしょうか。
従業員の身だしなみの規制に関する注意点
従業員の服装や髪型など、身だしなみについて、会社はどこまで制限可能なのでしょうか?
従業員がどのような服装や髪型で就労するかは、原則、従業員の自由な判断に委ねられています。ただし、事業の円滑な遂行を図り職場の規律維持のために必要な限度で規則を定めるなどして規制することは可能です。
例えば、郵便局長が郵便局職員に顔写真入りの胸章着用を義務付けることは利用者にとって安心感、信頼感を抱くことなどから事業運営上必要でかつ合理的なものであり可能とされています(東京郵政局・関東郵政局事件)。
一方で、乗務員勤務要領に「ひげを剃る」と定めたハイヤー会社で、口ひげを剃るように業務命令をしたことについて、従う必要がないと判断された裁判があります。
この裁判では「業務の性質上顧客に対して不快な感情や反発感を抱かせるような服装、身だしなみ、立ち振るまいが許されないのは当然である」としながらも、
「ひげを剃る」とは、不快感を伴う「無精ひげ」「異様、奇異なひげ」を指すと判断されました。ゆえに当該乗務員の口ひげは、それにはあたらず、会社の円滑かつ健全な企業経営が阻害される現実的な危険が生じていたと認めることは困難として、当該業務命令に従う必要はないとしています(イースタン・エアポートモータース事件)。
身だしなみについて制限する場合には、事業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内で認められることにご留意ください。
具体的には、会社の業種、従業員の職務の性質・内容上、従業員の身だしなみを制限する必要が高く、仮に制限をしなかった場合の業務への支障の有無・程度などを総合的に判断して、個別のケースごとに決せられることになります。
ゆえに服務規定(ドレスコード等)により、予め従業員に周知することはもとより、特に制限を求める場合においては、入社時においても確認を得て無用なトラブルを避けることが望ましいでしょう。
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。 アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング、アクタスITソリューションズと連携し、 中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム導入支援の各サービスを提供しています。
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