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10月の人事労務お役立ち情報 |裁量労働制に係る新しい手続きについて

10月の人事労務お役立ち情報 |裁量労働制に係る新しい手続きについて

 アクタス社会保険労務士法人

人事労務のお役立ち情報

 裁量労働制に係る省令・告示が改正され、2024年4月1日から施行されます。この改正に伴い、裁量労働制の導入および継続にあたり、実務にも大きな影響を与えることが見込まれます。今回は、比較的導入が進んでいる専門業務型裁量労働制(以下、専門型)の改正に焦点を当て概要および会社に求められる対応について解説いたします。

労使協定に下記事項の追加が必要となります

  • 制度の適用に当たって労働者本人の同意を得ること
  • 制度の適用に同意をしなかった場合に不利益取り扱いをしないこと
  • 同意の撤回の手続きを定めること
  • 同意及び同意の撤回について労働者ごとの記録を保存すること

対象業務に、いわゆるM&Aアドバイザリー業務が追加され、現行の19業務から20業務に拡大されます

 この改正により、これまで労使協定と就業規則のみで適用できた専門型も労働者ごとに同意を得るプロセスが必要となります。同意者と非同意者が混在するような場合には、それぞれ賃金計算方法が異なるなど、管理も複雑化することが予想されます。

 なお、施行日以降に新たにまたは継続して裁量労働制を導入するためには、つぎの時期までに労働基準監督署に協定届の届け出を行う必要があります。

新たに導入する事業場 :裁量労働制を導入、適用するまで
継続して導入する事業場:2024年3月末まで
 このほか、企画業務型裁量労働制についても改正があります。裁量労働制を導入している、又は導入を考えている方は、早めに今後の措置を検討することをお勧めします。

 

<厚生労働省>
 リーフレット「裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」

今月の人事労務QA

振替休日を取得していれば割増賃金は発生しない?

【相談内容】

弊社では、所定労働時間は1日8時間、休日は土曜日と日曜日と就業規則で定めています。
従業員が日曜日に出勤するため、翌週の木曜日に振替休日を取得することになりました。
振替休日を取得させれば割増賃金の支払は必要ないでしょうか?

【社会保険労務士のアドバイス】

 振替休日は、予め休日と定められている日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とすることをいいます。これにより、もともと休日であった日は、労働日に振り替えられるため休日労働とならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
ただし、休日を労働日に振り替えたことにより1週40時間の法定労働時間を超える場合には、その超えた法定外労働時間に対して25%以上の割増賃金の支払いが必要です。

 今回のケースでは、休日労働に対する割増賃金は不要ですが、日曜日を週の起算日とすると、週をまたいで休日を労働日と振り替えているため、週40時間を超えた法定外労働時間に対する割増賃金の支払いが必要です。
1週目:1日8時間×週5日+日曜日8時間=実労働48時間→40時間を超えた8時間が法定外労働時間となり25%の割増賃金の対象2週目:1日8時間×週4日(振替休日の木曜日を除く)=実労働32時間

 また、振り替えた労働日が1日8時間の法定労働時間を超えた場合や、深夜労働が発生した場合にも、それぞれ割増賃金の支払いが必要です。
振替休日の取得のためには、就業規則に休日を振り替えることができる旨を規定し、振り替えるべき日を事前に特定する必要があります。その他、休日に労働させ事後的に労働日に休みを与える「代休」との違いや、振替休日と1週1休(4週4休)との関係性など、気にすべき点が多い制度です。適切な運用ができるか心配な方は、専門家に相談してみるのもよいでしょう。



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