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11月の人事労務お役立ち情報 |厚生労働省から「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表されました

11月の人事労務お役立ち情報 |厚生労働省から「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表されました

 アクタス社会保険労務士法人

人事労務のお役立ち情報

 配偶者の扶養に入っているパートの方が一定収入を超えると社会保険への加入が必要になり、これを避けるための就業調整を「年収の壁」と称します。政府はこれが人手不足の一因と見なし、「年収の壁・支援強化パッケージ」という施策を発表しました。

1.具体的な「年収の壁」とは

  1. 106万円の壁(被用者加入保険)
    短時間労働者は年収約106万円(月額8.8万円)で社会保険に加入し、保険料を負担しなくてはなりません。
  2. 130万円の壁(被扶養者認定基準)
    年収130万円を超えると配偶者の健康保険・厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で国民年金・国民健康保険に加入しなければならなくなります。
  3. 配偶者手当
    収入が一定額を超え扶養からはずれると、配偶者の手当が支給されなくなることがあります。

2.「年収の壁・支援強化パッケージ」の概要

  1. 「106万円の壁」の対策
    「キャリアアップ助成金」のコースが新設され、短時間労働者が手取り減少を気にせず働けるよう、手取りを増やす取り組みを行う事業主に対し労働者一人あたり最大50万円が助成されます。また年収106万円を超えた方に対し本人負担の社会保険料相当を補填する「社会保険適用促進手当」を支給することで、最大2年間手取り減少を防止できる仕組みを導入します。この手当は社会保険料算定の基礎となる報酬額に含まないものとなります。
  2. 「130万円の壁」への対応
    労働時間延長等に伴い一時的に収入が変動し、年収が130万円以上となる場合には、「事業主の証明」を添付することで、原則連続2回まで被扶養者として認定が可能になります。
  3. 「配偶者手当」への対応
    令和6年春の賃金見直しに向けた労使の話し合いの中で、配偶者手当の見直しが進むよう「見直し手順のフローチャート」が公表予定です。

 

 年収の壁による人手不足は、多くの企業が直面し得る問題です。新しい施策を活用して、気持ちよく働ける環境を整えていきましょう。この制度の詳細は、厚生労働省ホームページをご確認ください。

 

<厚生労働省>
 年収の壁・支援強化パッケージ
 「年収の壁」への対応策

改正電子帳簿保存法4つのポイント

今月の人事労務QA

休憩時間に実施するランチミーティングは労働時間にあたりますか?

【相談内容】

社内コミュニケーション活性化の為、週に1回程度、昼の休憩時間にランチミーティングを実施しようとしたところ、従業員から「ランチミーティングは労働時間にあたるのでは?」と質問がありました。
指摘の通り、昼休憩の時間にミーティングを行うことは労働時間にあたるのでしょうか。

【社会保険労務士のアドバイス】

 労働基準法上の労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされています。

例えば、ランチミーティングと称して業務上の会議を行う場合や、業務上の会議ではなくとも会社の指示により参加を義務付けられているような場合は労働時間に該当すると言えます。
また、任意参加としていても、参加をしないことで評価が下がる等の就業上の不利益を生じる場合には、実質的な義務があるとされ労働時間とみなされる可能性があります。一方でコミュニケーションを図るための任意で参加できるランチ会を開催するものであれば、労働時間とされることはないでしょう。

ご相談のランチミーティングについては、その開催の目的などを踏まえて実施方法を検討しましょう。「労働時間」に該当する可能性が高い場合には、別途休憩時間を設ける等の措置をとり適切な労働時間管理を行いましょう。



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