トレンド情報 2025.02.22 (UPDATE:2025.04.15)
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2025年度の税制改正大綱は、日本経済の持続的成長と財政健全化の両立を目指す重要な指針です。
本改正では、企業の競争力強化や投資促進、デジタル化対応など、多岐にわたる分野での変更が予定されており、これらの改正が企業の税務戦略や経営方針に大きな影響を与える可能性があります。
本記事では、改正の主要ポイントを解説するとともに、大手企業が特に注意すべき事項を詳細に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
まずはじめに、2025年度の税制改正大綱の概要を解説します。
2025年度税制改正大綱は、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を促進し、さらに発展させることを主な目的としています。
この改正は以下の背景を踏まえたものです。
これらの課題に対応するため、個人所得課税の見直し、企業の投資促進、国際課税ルールの導入などが盛り込まれているのが特徴です。
今回の税制改正の主なポイントは、次のとおりです。
これらの改正は、企業の成長支援、個人の生活支援、国際競争力の強化を図りつつ、財政健全化にも配慮した内容となっています。
なお、さらに詳しい内容については、財務省「令和7年度税制改正の大綱」をご参照ください。
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以下の改正は、中小企業の成長支援、地域経済の活性化、そして企業の社会貢献を促進することを目的としたものです。
企業は、これらの変更点を踏まえて、自社の経営戦略や税務計画を見直す必要があります。
中小企業者等の法人税軽減税率について、以下の見直しが行われます。
この改正により、大規模な中小企業と通算法人に対する税負担が増加します。
中小企業経営強化税制について、以下の拡充が行われます。
これらの変更により、中小企業の成長と競争力強化を支援する制度の効果的な運用が期待されます。
地域未来投資促進税制について、適用期限の延長と見直しが行われます。
具体的な内容は以下の通りです。
この改正により、地域経済の活性化と企業の地方進出を促進する取り組みが継続されます。
企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、以下のように継続されます。
企業は、この制度を活用して地方創生プロジェクトへの支援を継続できます。
※ただし、2025年3月末以降の制度の継続については、現時点では明確な情報がない状況(2027年度まで3年間延長される見通し)です。参考:ツギノジダイ
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新税制と制度は、資源循環の促進、防衛力強化のための財源確保、国際会計基準との整合性確保を目的としています。
企業では、これらの変更が自社の事業活動や財務状況に与える影響を慎重に検討し、適切な対応を取る必要があります。
高度な資源循環投資促進税制は、資源循環を促進し、脱炭素社会の実現を目指すものです。
具体的な内容は、次のとおりです。
対象 |
再資源化事業等高度化法の高度再資源化事業計画または高度分離・回収事業計画の認定を受けた法人 |
期間 |
同法施行日から2028年3月31日まで |
内容 |
再資源化事業等高度化設備の取得等に対し、取得価額の35%の特別償却が可能 |
限度額 |
取得価額の合計20億円まで |
対象設備 |
環境大臣が財務大臣と協議して指定する機械装置(2,000万円以上)や器具備品(200万円以上) |
この税制は、防衛費増額の財源確保を目的としています。
具体的な内容は、次のとおりです。
開始期間 |
2026年4月1日以降に開始する事業年度から |
税率 |
法人税額の4% |
控除 |
法人税額から500万円を控除 |
影響 |
法人税額が500万円以下(所得約2,400万円まで)の企業は課税対象外 |
新リース会計基準の導入に伴い、以下の措置が講じられます。
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以下の改正は、OECDを中心とした国際的な取り組みである「BEPSプロジェクト」の一環として実施されるものです。
日本企業は、これらの新しい国際課税ルールに適応するため、グローバルな税務戦略の見直しが必要となるでしょう。
国内ミニマム課税(QDMTT: Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)は、「国内最低課税額に対する法人税」として導入されます。この制度により、日本企業の税収が海外に流出することを防ぎ、国内での適切な課税を確保します。
具体的な内容は、次のとおりです。
目的 |
日本国内の企業グループの実効税率が15%未満の場合、その差額を課税することで、海外当局による追加課税を防ぐ |
対象 |
特定多国籍企業グループ等(グループ全体の売上高が7億5000万ユーロ以上) |
適用期間 |
2025年4月1日以後に開始する事業年度から |
軽課税所得ルール(UTPR: Undertaxed Profits Rule)は、「国際最低課税残余額に対する法人税」として導入されます。UTPRは、グループ全体で最低税率15%を確保するための補完的な仕組みとして機能します。
具体的な内容は、次のとおりです。
目的 |
グループ内の他国の企業が15%未満の税率で課税されている場合、その不足分を日本で課税する |
対象 |
特定多国籍企業グループ等の日本子会社 |
適用時期 |
2025年4月1日以後に開始する事業年度から |
多国籍企業への最低税率15%の適用は、国際的な合意に基づく取り組みです。
この制度により、大規模多国籍企業の公平な課税を実現し、各国の税収を確保することを目指します。
具体的な内容は、次のとおりです。
目的 |
法人税率の国際的な引き下げ競争に歯止めをかける |
対象 |
グループ全体の売上高が7億5000万ユーロ(約1200億円)以上の多国籍企業 |
実施方法 |
QDMTTとUTPRの導入により、国内外で最低15%の実効税率を確保 |
以下の改正は、個人の可処分所得の増加や資産形成の促進を目的としたものです。
企業では、従業員の給与計算や福利厚生制度の見直し、さらには人事戦略の再考が必要となる可能性があります。
基礎控除が48万円から58万円に引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられます。
なお、適用時期は、所得税が2025年分から、個人住民税が2026年度分からとなります。
これらが企業へ与える影響としては、従業員の手取り額が増加し、消費活動の活性化が期待されるでしょう。また、給与計算システムの更新が必要となり、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額にも影響を与える可能性があります。
19歳から22歳の子等を扶養する場合、新たな控除が設定されます。具体的には、子の給与収入が150万円まで満額控除(所得税63万円、住民税45万円)が適用される仕組みです。
なお、150万円を超えた場合でも、段階的に逓減(ていげん:徐々に減少)する仕組みが導入されます。
これにより、企業においては、次の対策が必要です。
従業員の扶養控除申告書の確認と処理が複雑化する可能性があります。また、大学生アルバイトの雇用管理に影響が出るでしょう。
ただし、従業員の家計支援につながるため、労働に対するモチベーションの向上に期待ができます。
新税制では、iDeCoの加入年齢が引き上げられ、拠出限度額も増額されます。これにより、従業員の老後資産形成支援の選択肢が広がります。
企業においては、企業型確定拠出年金との調整が必要となるでしょう。これは、福利厚生制度の見直しや拡充の機会とも言えるかもしれません。
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以下では、2025年の税制改正において、企業が注意すべきポイントと対応策について解説します。
企業では、下記の変更に対応するため、税理士や社会保険労務士と相談しながら、早めの準備と対策を講じることが重要です。
中小法人の軽減税率が見直されます。具体的には、所得金額800万円以下の法人税率が15%から17%に引き上げられ、所得金額10億円超の中小法人は軽減税率の対象外となります。
企業では、この変更による税負担の増加を試算し、必要に応じて利益計画や資金計画の見直しが必要です。
この対策としては、設備投資や研究開発費の増加など、税額控除を活用できる施策を検討することが重要です。
中小企業経営強化税制が拡充され、「100億円企業」を目指す中小企業に特定設備投資の優遇が拡充されることになりました。
企業がこれを活用するには、ROI(投資利益率)7%以上の計画を立案し、対象設備(機械装置、工具・器具備品、建物・附属設備)の投資を検討する必要があります。
また、地域未来投資促進税制も改正され、適用期間が3年間延長されます。設備投資要件が1億円以上に引き上げられるため、投資計画の見直しが必要です。
基礎控除が48万円から58万円に、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。
そこで企業では、給与計算システムを更新し、新しい控除額に対応しなければなりません。
さらに、19歳から22歳の子等を対象とした新たな控除制度(特定親族特別控除)が導入されるため、従業員の扶養状況を確認し、適切に控除を適用する準備が必要です。
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最後に、2025年の税制改正における今後の展望と中長期的な税制の方向性について、デジタル化への対応と持続可能な社会に向けた税制の在り方を解説します。
デジタル化の進展に伴い、税制もそれに対応する形で変化していくことが予想されます。具体的には、電子取引データに関する重加算税の適用対象の見直しが行われます。
これは、デジタル化が進む経済活動に合わせて、税務調査や申告手続きの効率化を図るものと考えられるでしょう。また、今後はブロックチェーン技術やAIを活用した税務管理システムの導入など、より高度なデジタル化対応が進められる可能性があります。
持続可能な社会の実現に向けて、税制も重要な役割を果たすと期待されています。
令和7年度税制改正大綱の基本方針は、「将来に夢や希望と安心を持てる、公正で活力ある社会を目指すための税制」の構築です。
具体的には、環境負荷の少ない鉄鋼・基礎化学品・航空燃料などの生産に対する税制優遇措置が導入されます。また、サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長や、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の延長なども行われる予定です。
これらの施策は、環境保護や高齢化社会への対応など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環と言えるでしょう。
今後は、さらに環境税の拡充や、社会保障制度の持続可能性を高めるための税制改革など、より包括的な施策が検討される可能性があります。また、国際的な協調の下で、グローバルな課題に対応するための税制の在り方も議論されていくことでしょう。
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