トレンド情報 2024.01.25 (UPDATE:2025.06.10)
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領収書は、経費の計上や税務の証拠として重要な書類です。これまで、紙の領収書の保存には保管場所や期間、整理方法などのさまざまな問題がありました。しかし、電子帳簿保存法の改正により、領収書の電子化が容易となります。
領収書のデータを電子化することで、領収書の管理が効率的になり、コストや手間を削減できるメリットがあります。ただし、領収のデータを電子化するには、いくつかの条件や方法があるため、注意が必要です。それは、領収書を適切に電子化しないと、税務上の不利益や罰則の対象になる可能性があるからです。
そこで今回は、2024年1月の電子帳簿保存法改正後の領収書を保存する際のルールと注意点を解説します。企業の経営者の方はもちろん、経理を担当する方も、ぜひ参考にしてください。
電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿や書類を電子データで保存するための法律です。この法律は1998年に施行されましたが、2024年1月に新たな改正案が施行されました。
電子帳簿保存法が改正される背景には、IT技術の発展と経理のデジタル化が望まれていることが挙げられます。
電子帳簿保存法の改正により、帳簿や領収書などの電子保存が原則義務化され、特に電子取引で受領したデータはデジタル形式での保存が必須となりました。2025年からは経過措置も終了し、紙保存の例外は大幅に制限されます。
保存要件として、タイムスタンプや改ざん防止措置、指定検索機能の確保が求められ、企業は業務フローやITシステムの見直しが不可欠です。これにより、業務効率化や法令遵守の徹底が一層求められるようになりました。
電子保存は、領収書をスキャンやPDF化して電子データとして保存し、タイムスタンプや検索機能などの要件を満たす必要があります。一方、紙保存は従来通り原本を物理的に保管しますが、電子取引の場合は紙保存が認められず、電子データのまま保存しなければなりません。
電子保存は検索性や業務効率、保管スペースの削減に優れる一方、システム対応や運用ルールの整備が求められます。
電子帳簿保存法での領収書は、取引内容や金額、日付、取引先などが記載された支出証憑書類の一つであり、紙・電子データいずれの形式も対象となります。電子取引で受領したPDFやメール添付の領収書、クラウドサービス経由のデータも全て保存義務の対象です。
保存方法は「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分に分かれ、それぞれ要件が異なります。
下記の資料では、電子帳簿保存法の改正で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。
上記のように、領収書の電子保存には、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分があります。それぞれの制度の概要と要件を以下で解説します。
電子帳簿等保存は、会計システムや文書管理システムなどで作成した帳簿や書類を、作成時から電子データのまま保存する方法です。例えば、パソコンで作成した仕訳帳や売上帳、電子発行した領収書などが該当します。
保存の際は、システムの仕様書や事務処理規定の整備、改ざん防止措置、検索機能の確保など一定の要件を満たさなければなりません。
保存は任意ですが、要件を満たせば青色申告特別控除の増額などのメリットがあります。
スキャナ保存は、紙で受領・発行した領収書や請求書などをスキャナやスマートフォンで画像データ化し、電子保存する方法です。
画像データには解像度やカラー要件、タイムスタンプ付与、訂正・削除履歴の確保などの要件があります。
スキャナ保存も任意ですが、要件を満たせば紙の原本を破棄でき、保管スペースや管理コストの削減、業務効率化が図れます。契約書や領収書などが主な対象です。
電子取引データ保存は、メールやクラウドサービスなどで電子的にやり取りした請求書や領収書などの取引データを、電子データのまま保存する方法です。
2022年改正以降、電子取引で受領したデータは紙保存が認められず、電子保存が義務化されています。保存には、タイムスタンプや改ざん防止措置、検索機能の確保など厳格な要件が求められます。
電子取引の保存は義務であり、違反時には罰則も設けられています。
次に、紙で受領した領収書の保存ルールを解説します。
紙で受領した領収書は、従来通り原本を紙で保存する方法と、スキャナやスマートフォンで電子化して「スキャナ保存」する方法の2つから選択可能です。
スキャナ保存は任意ですが、電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ付与や検索機能など)を満たす必要があります。
スキャナ保存を活用すれば、保管スペース削減やデータ管理の効率化が期待できます。
紙で受領した領収書の保存期間は、法人の場合は原則7年間(場合によっては10年間)です。
保存期間中は、税務調査に備えて整理・保管し、必要なときに迅速に提示できる状態にしておくことが求められます。
領収書は日付や金額、取引先ごとにファイリングし、湿気や日光を避けて保管するなど、劣化防止にも配慮が必要です。
紙の領収書は紛失や経年劣化のリスクがあるため、コピーやスキャンによるバックアップが有効です。
スキャナ保存を併用すれば、原本紛失時にも電子データで証憑性を担保できます。また、保管場所の環境管理や定期的な点検、重要書類は耐火金庫での保管なども、リスク低減に役立ちます。
次に、電子データで受領した領収書の保存ルールを解説します。
2024年1月1日以降、電子取引で受領した領収書などの電子データは、電子帳簿保存法に基づき、紙に出力して保存することが原則認められなくなりました。
全ての事業者が電子データのまま保存することが義務付けられており、違反時には罰則も設けられています。
電子データで保存する場合、「真実性の確保」と「可視性の確保」が求められます。
真実性の確保には、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴の確保、システムでの改ざん防止措置などが必要です。
可視性の確保では、日付や金額、取引先などの条件で検索できる機能の確保が必須となります。
電子データの保存・管理には、会計ソフトや文書管理システム、クラウドサービスの活用が効果的です。
これらのシステムは、保存要件を満たす機能(タイムスタンプ、自動バックアップ、検索性の確保など)を備えており、セキュリティ対策も万全です。
クラウドを利用すれば、災害時のデータ消失リスクも低減できます。
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以下では、スキャナ保存の実務と要件について解説します。
スキャナ保存を開始するには、まず紙で受領・発行した領収書や請求書をスキャナやスマートフォンで画像データ化します。2024年以降は事前の税務署承認は不要で、任意のタイミングで開始できます。
保存対象や運用ルールを社内で定め、対応ソフトやシステムの導入、タイムスタンプ付与や検索機能の運用体制を整備することが必要です。
スキャナ保存には、200dpi以上の解像度でスキャンし、赤・青・緑それぞれ256階調(約1677万色)以上のカラー画像で保存することが求められます。また、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴の確保、検索機能(取引日・金額・取引先などでの検索)が必要です。
重要書類と一般書類で要件が一部異なるため、注意が必要です。
スキャナ保存の要件をすべて満たした場合、紙の原本は破棄が認められます。
ただし、スキャン画像の真実性確保や検索性、タイムスタンプ付与などの法的要件を厳守することが前提です。
重要書類の場合は特に保存要件が厳格であるため、運用ルールの徹底が不可欠です。
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次に、領収書の保存期間と法的根拠について解説します。
法人の場合、領収書の保存期間は原則7年間と定められています。個人事業主は青色申告なら7年、白色申告の場合は5年が基本です。
ただし、法人・個人ともに繰越欠損金控除や災害損失金が発生した年度は、保存期間が10年に延長されるケースがあります。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、受領・発行した領収書や請求書を7年間保存することが義務付けられています。
これは法人・個人事業主ともに共通で、消費税の仕入税額控除を受けるためには、インボイス対応の領収書を正しく保存しておく必要があります。
保存期間は原則7年ですが、個人事業主で前々年分の事業所得や不動産所得が300万円以下の場合は5年に短縮されます。一方、法人や個人で青色申告の繰越欠損金控除や災害損失金が発生した場合は、10年間の保存が必要です。
また、会社法上は決算関係書類の保存期間が10年とされる場合もあります。
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領収書の電子保存には、電子帳簿保存法に基づいて、以下の4つの要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たすためには、電子帳簿保存法に対応したクラウド会計システムの導入がおすすめです。
また、電子保存した領収書は、紙の領収書と同様に、所得税法や法人税法に基づいて、7年間保存する必要があります。
電子帳簿保存法は、2022年1月1日から施行されましたが、電子取引における電子データ保存については、2023年12月31日までの猶予期間が設けられています。
この猶予期間は、2023年10月からの消費税のインボイス制度の導入を見据えて設定されています。
なお、猶予期間中でも、電子取引のデータを電子保存することは可能ですが、必須ではありません。ただし、猶予期間が終了した後は、電子取引のデータを電子保存することが義務となります。
電子保存したデータは、サイバー攻撃や内部のミスなどによる消失や漏洩のリスクがあります。
そのため、以下のようなセキュリティ対策を実施することが望ましいと言えるでしょう。
電子帳簿保存法では、電子保存したデータのバックアップは要件となっていませんが、データの消失や劣化を防ぐために、バックアップを保存することが推奨されています。
バックアップの方法としては、以下のような対策が挙げられます。
例えば、オフラインバックアップであればバックアップ媒体を遠隔地に輸送して保管する、また、オンラインバックアップであれば遠隔地にあるストレージにバックアップを実施するなどです。
例えば、毎日や毎週など、適切な頻度でバックアップを取るのがおすすめです。
例えば、バックアップデータの保存場所や方法、復元方法などを明確にしておくと良いでしょう。
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領収書の電子保存には、システムの導入がおすすめです。領収書の電子保存に適したシステムを選ぶ際は、電子帳簿保存法の真実性や可視性などの要件を満たしているかどうかを確認することが重要です。
また、自社の業務フローや規模に合わせて、必要な機能やコストを比較検討する必要があります。例えば、AI-OCRなどの効率化機能や、クラウド型やオンプレミス型などの運用形態などです。
さらに、システム導入後のサポートやアップデートの体制を確認することも重要です。今後の法改正などに対応できるかや、トラブルシューティングの対応速度などを確認しましょう。
電子帳簿保存法に対応したシステムのメリットは、以下のようなものがあります。
紙の書類を保管する必要がなくなり、印刷代や郵送代などのコストも削減できます。
真実性を確保する機能を備えたシステムを導入することで、コーポレートガバナンスを強化できます。
書類の電子化により、出社の必要性や頻度が少なくなり、テレワークやリモートワークにも対応可能です。
クラウド会計システムを導入する際の手順とポイントは、まず、システムを導入する前に解決したい課題を明確にしておくことです。現状の業務プロセスや課題を整理し、目的や目標を設定しましょう。
また、システムを導入する予算額ではなく、費用対効果を基準に考えることも重要です。システム導入には初期費用やランニングコストがかかりますが、長期的に見れば、ペーパーレス化によるコスト削減や業務効率の向上が期待できるでしょう。クラウド会計システムを導入することで、初期費用を安く抑えることができます。
導入するシステムが決まれば、適切なワークフローを構築します。システム導入後の業務フローや役割分担を事前に設計し、教育やトレーニングを行うことで、スムーズな移行を図ることが可能です。
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高度な機能と操作性を備え、コスト削減や保守・管理業務の負担軽減が可能です。さらに、高いセキュリティと可用性を提供し、ビジネスの成長に応じた柔軟な拡張性も魅力です。
AI-OCRを活用した業務の自動化と効率化も実現しており、手作業によるミスを減少させ、業務効率を大幅に向上させることが可能です。
これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。
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