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会計システムとERPの違いを比較|ツール選びやリプレイス方法も解説

会計システムとERPの違いを比較|ツール選びやリプレイス方法も解説

 スーパーストリーム

企業の業務効率化に欠かせないのが、会計システムやERP(企業の資源を統合管理するシステム)です。両者は似て非なるものですが、その違いを正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、会計システムとERPの特徴や違いを詳しく解説し、企業規模や業種に応じた最適なツール選びのポイントを解説します。

さらに、既存システムからのリプレイス方法まで、大手企業で役立つ情報を網羅的に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

会計システムとERPの基本的な違い

まずはじめに、会計システムとERPの基本的な違いについて解説します。

会計システムの機能と特徴

会計システムは、主に財務会計、管理会計、債務・支払管理の機能を持つシステムです。

会計システムの主な機能と特徴は、以下の通りです。

1.財務会計機能

財務会計システムは、企業の会計情報や業績状況を一元的に管理し、取引先などの関係者に明示する書類を作成する機能を持ちます。

財務会計システムの役割は、企業の財務状況を正確に把握し、法的要件を満たす財務報告を効率的に作成することです。

財務会計機能の主な特徴は、次の通りです。

  • 伝票入力:日々の仕訳伝票からデータを入力し、各種帳簿に記帳します。
  • 帳簿作成:現金出納帳、総勘定元帳などを自動作成します。
  • 決算機能:損益計算書や貸借対照表などの決算書類を作成します。
  • 帳票出力:各種伝票や帳簿、集計・分析結果を見やすいフォーマットで出力します。

2.管理会計機能

管理会計システムは、企業の内部意思決定と業績評価のために用いられ、経営者や管理者が経営判断を行う際に必要な情報を提供します。

管理会計システムの役割は、企業の戦略立案や経営効率の向上に貢献し、将来志向の意思決定を支援することです。

管理会計機能の主な特徴は、次の通りです。

  • 予実管理:予算と実績を比較分析し、部門別や事業別の管理を行います。
  • 経営分析:財務諸表をもとに経営状態を分析し、視覚的にわかりやすく表示します。
  • 経費管理:従業員の経費を管理します。
  • シミュレーション:将来の経営状況を予測します。

3.債務・支払管理機能

債務・支払管理システムは、企業の債務状況を把握し、適切な支払管理を行うための機能を提供します。

債務・支払管理システムの役割は、企業の支払業務を効率化し、キャッシュフロー管理を改善することです。これは、財務の健全性の維持に貢献します。

債務・支払管理機能の主な特徴は、次の通りです。

  • 支払消込:支払済みの債務を処理します。
  • 支払分析:債務残高や支払情報を分析し、部門別の支払状況や債務の適正性を評価します。
  • 銀行振込データ(FBデータ)の自動作成:承認済みの支払いに対して自動的に振込データを作成します。
  • 会計ソフトへの仕訳連携:支払い処理と同時に会計システムへ仕訳を連携します。

これらの機能を統合した会計システムを導入することで、企業は財務管理の効率化、経営判断の質の向上、そして財務リスクの低減を実現できます。

ERPの機能と特徴

一方、ERPは、企業の全業務を統合的に管理するシステムのことです。

ERPの主な機能と特徴は、以下の通りです。

1.生産管理機能

生産管理機能は、製造業の生産活動を総合的に支援します。

生産管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 需要予測に基づく最適な生産計画の立案
  • 生産工程の進捗状況のリアルタイム可視化
  • 原材料や部品の所要量計画と在庫管理
  • 製造現場での作業指示発行から実績収集までの一元管理

2.会計管理機能

会計管理機能は、企業の財務状況を正確に把握し、経営判断を支援します。

会計管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 仕訳入力や伝票処理、決算処理などの会計業務の統合管理
  • リアルタイムでの財務状況の可視化
  • 経費申請や承認のワークフロー管理
  • 財務データのグラフ化による経営分析の効率化

3.人事・給与管理機能

人事・給与管理機能は、従業員情報を一元管理し、人事関連業務を効率化します。

人事・給与管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 社員情報の統合管理
  • 給与計算の自動化
  • 勤怠管理システムとの連携
  • 人材育成や評価制度の管理

4.販売管理機能

販売管理機能は、受注から出荷、請求までの販売プロセスを管理します。

販売管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 受注管理、在庫管理、請求・入金管理の統合
  • 顧客情報と購買履歴の一元管理
  • リアルタイムでの販売情報の更新
  • 販売実績の自動仕訳による会計連携

5.購買管理機能

購買管理機能は、原材料や部品の調達プロセスを最適化します。

購買管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 購買計画の立案と発注管理
  • 仕入先情報の管理と評価
  • 見積依頼から検収までの購買プロセス管理
  • 在庫状況と連携した適正在庫の維持

6.営業管理機能

営業管理機能は、営業活動の効率化と顧客関係管理を支援します。

営業管理機能の主な役割は、次の通りです。

  • 顧客情報と対応履歴の一元管理
  • 商談進捗状況の可視化
  • マーケティング活動の計画と実績管理
  • 販売予測と実績分析

これらの機能が統合されることで、ERPは企業全体の業務を効率化し、経営判断のスピードと質を向上させます。

会計システム刷新の勘所

会計システムとERPの主な違いを比較

以下では、会計システムとERPの主な違いを比較します。

項目

会計システム

ERP

主な目的

財務・会計業務の効率化

企業全体の業務統合と効率化

機能範囲

主に会計関連機能

会計、生産、人事、販売など全社的機能

データ統合

会計データのみ

全社的なデータ統合

導入コスト

比較的低い

高い

カスタマイズ性

限定的

高い(業種や企業規模に応じて可能)

導入期間

比較的短い

長い(全社的な導入のため)

適した企業規模

中小企業向け

中堅・大企業向け

上記の表から、会計システムは主に会計業務に特化した効率化を目的とするのに対し、ERPは企業全体の業務を統合的に管理することを目的としていることがわかります。

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企業に適したツール選びのポイント3つ

企業に適したツール選びのポイントは、主に次の3つが挙げられます。

  1. 企業規模による選択基準
  2. 業種特性を考慮した選定方法
  3. 将来の成長を見据えた選択

それぞれ解説します。

1.企業規模による選択基準

会計システムやERPを導入する際は、企業規模に応じたツール選びが重要です。

スタートアップや小規模企業では、無料プランや低価格プランから始めるのがおすすめです。中規模企業は、部門別に必要な機能を持つツールを選定し、業務効率化を図りましょう。

一方、大規模企業では、カスタマイズ可能な企業向けプランを検討し、組織全体の統合管理を目指すことが重要です。導入コストだけでなく、運用コストや将来的なアップグレード費用も考慮に入れ、長期的な視点でツールを選択することが大切です。

2.業種特性を考慮した選定方法

会計システムやERPの導入では、業種ごとの特性に合わせたツールを選ぶのが効果的です。そこで、まずは自社の業務内容や課題を明確にし、それらに対応する機能を持つツールを探しましょう。その際に、同業他社の導入事例を参考にするのも有効です。特に、自社の規模や課題に近い企業の選定例を調査することで、より適切な判断ができます。

また、業界特有の規制やコンプライアンス要件に対応しているかも重要なポイントです。さらに、業界固有のデータ分析や予測機能を持つツールを選ぶことで、競争力の向上につながります。

3.将来の成長を見据えた選択

会計システムやERPを導入する際は、企業の将来的な成長を見据えたツール選びが重要となります。現在の課題解決だけでなく、事業拡大や新規事業展開に対応できる拡張性を持つツールを選びましょう。

AIや機械学習などの先進技術を活用したツールは、将来的な業務効率化や意思決定支援に役立ちます。また、他のシステムとの連携や統合が容易なツールを選ぶことで、将来的なシステム環境の変化にも柔軟に対応できます。

定期的なアップデートやサポート体制の充実したツールを選ぶことも、長期的な活用に欠かすことのできない重要な要素です。

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既存のシステムからERPにリプレイスするメリット4つ

既存のシステムからERPにリプレイスするメリットには、次の4つが挙げられます。

1.DXへの対応

最新のテクノロジーやソリューションを導入しやすくなり、企業のデジタルトランスフォーメーション戦略を実行するための基盤を整えられます。

具体的には、クラウド技術、AI、IoT、ビッグデータ分析などの先進技術を活用することで、業務プロセスの革新や新たなビジネスモデルの創出が可能です。

2.情報管理の一元化

部門ごとに別々のシステムを使用していた従来の方法と比べ、ERPに更新することで、企業の経営効率が大幅に向上します。なぜなら、データの共有、検索時間の短縮、リアルタイム更新、データの整合性が実現し、セキュリティ管理も強化されるからです。

これにより、迅速な意思決定と業務効率化が可能となります。

3.業務プロセスの自動化と効率化

ERPの導入により、反復的作業の自動化によるヒューマンエラーの削減、ワークフロー最適化による業務プロセスの効率化、データ入力の自動化による作業時間の短縮を実現できます。

また、在庫管理や経理業務などの自動化も可能となるため、適正在庫の維持や請求書発行、支払処理の効率化にもつながるでしょう。

4.セキュリティリスクの低減

ERPへのシステム更新により、最新のセキュリティ対策を整備しやすくなります。クラウド活用やリモートワーク環境を念頭に置いた最新のビジネス環境に適応したセキュリティ対策も取りやすくなるため、企業の情報資産を効果的に保護することが可能です。

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既存のシステムからERPにリプレイスする方法

次に、ERPを既存のシステムからリプレイスする方法について、以下の3つの観点から解説します。

1.リプレイスの必要性と時期を見極める

リプレイスの必要性は、以下の兆候が現れた際に検討すべきです。

  • システムの老朽化やブラックボックス化
  • 高額な保守サポート費用
  • 効率的なデータ分析ができない
  • グローバル企業への対応が困難

リプレイスの時期については、一般的に5年程度が目安とされていますが、これは税務上の観点によるものです。実際には、システムの性質や使用状況、企業のビジネス環境によって大きく左右されます。

2.段階的なリプレイスのステップを考慮する

段階的なリプレイスは、リスクを最小限に抑えつつ移行を進める方法です。

主なステップは以下の5つです。

1.移行計画の立案

リプレイスの目的や実現項目を明確にし、長期的な視点に基づいた導入計画を立てることが重要です。

まずは、タスクの洗い出しを行い、優先順位をつけて分類しましょう。次に、スケジュールや必要なリソース、リスク管理策を含む詳細な計画書を作成し、関係者間で共有します。

2.システム選定

導入目的や自社の求める条件に合わせて、適切なERPシステムを選定しましょう。

業務フローの見直しを行い、新システムに合わせた業務設計を行います。無駄な業務の削減や標準化、効率化を図りつつ、必要な業務が漏れなく移行できるように、慎重な確認が必要です。

3.データ移行の準備

次に、移行するデータと移行しないデータを決定し、優先順位をつけます。移行先ERPの仕様を確認し、データ形式やファイル形式を把握しましょう。そして、マスタデータの整理を行い、使用するマスタの選択、名寄せ、コード体系の変換などを実施します。

4.テスト運用

テスト運用では、パイロット部門で先行して移行を実施し、問題点を洗い出します。実際の業務フローに沿ってテストを行い、データの整合性やシステムの動作を確認することが重要です。発見された問題点は修正し、本格展開に向けて準備を整えましょう。

5.段階的な展開

最後に、拠点単位や業務単位で順次移行を進めます。各段階で発生した問題点や改善点を次の段階に反映させ、徐々に完成度を高めていきます。

また、これと並行して従業員トレーニングを行い、新システムの操作方法や新しい業務プロセスの理解を促進することが重要です。

3.データ移行と従業員トレーニングの重要性

データ移行は、リプレイスの成否を左右する重要な要素です。

特に以下の点に注意が必要ですので、ぜひ参考にしてください。

データの移行方法を確認する

データ移行の方法には、一括移行、段階的移行、並行運用などがあります。

一括移行は現行システムを停止して一度にデータを移行し、段階的移行は部分的に少しずつ移行を行います。並行運用は一定期間、両システムを併用する方法です。プロジェクトの規模や業務への影響を考慮し、最適な方法を選択することが重要です。

マスタデータを整理する

マスタデータの整理は移行前の重要なステップです。

使用するマスタの選択、重複データの削除(名寄せ)、コード体系の変換などを行いましょう。また、不要なデータの取り扱いも決定します。

マスタデータの一元管理化を目指し、分散している情報をまとめることで、新システムでの効率的な運用が可能となります。

テンプレートを活用する

ERPベンダーが提供する移行テンプレートを活用することで、導入プロセスを効率化できます。

テンプレートには業種や業務プロセスに最適化されたパラメータ設定や機能が含まれており、導入にかかる時間や費用を削減可能です。また、テンプレートの活用により、他社の成功事例も確認できるメリットがあります。

 

従業員トレーニングについては、新しいシステムの操作方法だけでなく、新しい業務プロセスや運用ルールについても十分な教育が必要です。これにより、スムーズな移行と新システムの効果的な活用が可能となります。

リプレイスを成功させるためには、システム導入後もサポートしてくれるベンダーを選ぶことも重要です。長期的な視点で、企業の成長に合わせたシステムの進化を支援してくれるパートナーを選定することが、持続的な業務改善につながります。

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