トレンド情報 2023.11.12 (UPDATE:2025.04.15)
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2023年10月から運用が始まった、消費税の新しい納付方法が「インボイス制度」です。この制度は、消費税の還付や脱税防止などのメリットがある一方で、事務負担の増加や納税時期の変更といったデメリットもあります。
特に、不動産業界では、賃貸や売買、仲介などの事業別にインボイス制度の影響が異なります。不動産会社がインボイス制度に対応するためには、インボイスの発行や受領方法についてのルールを確認し、インボイスの作成や管理に便利なシステムを活用して、罰則や違反事例に注意することが重要です。
そこで今回は、インボイス制度が不動産会社に与える影響と対策方法、メリットやデメリットを徹底解説します。不動産会社を運営する方や、不動産会社で経理を担当する方は、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度とは、消費税の納付方法を変更する制度のことです。
インボイス制度では、消費税を納める義務がある課税事業者がインボイス(適格請求書)の発行事業者となるために税務署に登録を行い、インボイスの発行者となります。
一方、インボイス受領者は、インボイス発行者から商品やサービスを購入した課税事業者で、インボイスを保存して仕入税額控除を受けられる事業者となります。
インボイスには、売り手と買い手の登録番号や取引内容、税率ごとの金額や消費税額などが記載されており、保存義務のある重要書類の1つです。
インボイス制度により、インボイス発行者は、インボイス受領者に対してインボイスを発行する義務が生じます。一方、インボイス受領者は、インボイス発行者から受け取ったインボイスを保存する義務があります。
そしてインボイス受領者は、インボイスに記載された消費税額を仕入税額控除として申告できる仕組みです。
インボイス制度の導入背景には、2019年10月の消費税率引き上げに伴い、標準税率10%と軽減税率8%の複数税率制度になったことが影響しています。
複数税率制度では、商品やサービスごとに適用される消費税率が異なるため、売り手と買い手の間で消費税額の計算や申告に誤りや不正が生じる可能性が高まりました。
そこでインボイス制度が導入されることになったのですが、その目的はインボイスに正確な消費税率や消費税額を記載することで、売り手と買い手が共通の情報を持ち、適正な課税や納税を行えるようにすることです。
また、インボイス制度では、電子化されたインボイスの活用を促進することで、業務の効率化やペーパーレス化によるコスト削減だけでなく、環境保護にも寄与すると期待されています。
上記のように、インボイス制度とは消費税の納付方法を変更する制度で、2023年10月から運用が開始されます。この制度では、課税事業者から課税事業者に物品や役務を提供する際に、インボイスを発行することが義務付けられます。
インボイスは、消費税の納税額を計算するための重要な書類であり、不動産取引においてもインボイスの取り扱いには注意が必要です。
インボイス制度のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
インボイスを受領した課税事業者は、その内容をもとに仕入税額控除を受けることができます。これにより、消費税の納付額が減少し、資金繰りが改善されます。
インボイスは、国税庁に電子的に提出されるため、消費税の申告や納付の状況が把握しやすくなります。また、インボイス発行者は適格請求書発行事業者として登録される必要があるため、消費税の不正な取引や回避行為の防止につながります。
インボイス制度は、欧州連合(EU)やアジア太平洋経済協力(APEC)などの多くの国や地域で採用されている制度です。日本もインボイス制度を導入することで、国際的な消費税制度の整合性や調和性が高まるでしょう。
一方で、インボイス制度のデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
インボイス発行者は、適格請求書発行事業者として登録申請をする必要があります。また、インボイスを発行する際には、消費税額や取引内容などの詳細な情報を記載する必要があります。
これらの手続きや記録は、事務作業やコストの増加につながるため、新たな対策が必要です。
現行制度では、消費税は売上時点で発生し、売上金額から仕入金額を差し引いた額を納付することになっています。しかし、インボイス制度では、消費税はインボイス発行時点で発生し、インボイス金額から仕入金額を差し引いた額を納付することになります。
これにより、売上時点と納付時点のタイムラグが生じる可能性があるため、キャッシュフローへの対策が必要です。
免税事業者である不動産オーナーがインボイスを発行できない場合、課税事業者であるテナントから値下げや取引停止を要求される可能性があります。また、インボイス発行者は、インボイスの内容に責任を負うことになります。
これにより、インボイスの発行や受領に関するトラブルが発生するリスクが高まるでしょう。
インボイス制度に適応するためには、不動産会社が課税事業者となってインボイスの登録・発行を行うことが必要です。インボイスの登録・発行を行うためには、税務署への申請や請求書の様式変更などの手続きが必要となります。また、インボイスの発行・受領には、適用税率や消費税額などの記載と保存が必要です。
インボイス制度では、免税事業者からの仕入れは仕入税額控除の対象外となるため、消費税分の負担が増えてしまう可能性があります。そのため、免税事業者との取引では、消費税相当額分の値引きなどの価格交渉を行うことが重要です。
このインボイス制度においては、不動産業にも影響が出る可能性があります。それは、事業用物件やサブリース契約などの場合で、これらにはインボイスの発行が必要となるケースがあるため注意が必要です。また、物件の修繕工事では、修繕業者からインボイスを受領する必要があります。
以下では、インボイス制度が不動産会社に与える影響について、賃貸や売買、仲介などの事業別に解説します。
住宅用の賃料には消費税がかからないため、インボイス制度の影響はありません。しかし、店舗や事務所などの事業用の賃料には消費税がかかるため、インボイス制度に対応する必要があります。
インボイス制度に対応するためには、課税事業者として登録し、適格請求書を発行することが必要です。そうしなければ、テナントから家賃の減額や取引停止を求められる可能性があります。また、免税事業者から課税事業者になると、消費税分の収入が減少することにも注意が必要です。
不動産の売却収入には消費税がかかるため、インボイス制度に対応する必要があります。インボイス制度に対応するためには、課税事業者として登録し、適格請求書を発行することが必要です。そうしなければ、売主から仕入税額控除を受けられないことになります。
また、土地の売却収入は非課税ですが、土地と建物を一括して売却する場合は課税対象となるため、注意が必要です。
不動産の仲介手数料には消費税がかかるため、インボイス制度に対応する必要があります。インボイス制度に対応するためには、課税事業者として登録し、適格請求書を発行することが必要です。そうしなければ、仲介先から仕入税額控除を受けられないことになります。
また、仲介先が適格請求書発行事業者であることを確認する必要があります。
インボイス制度に対応するためには、まず自社が免税事業者か課税事業者かを判断し、必要であれば課税事業者への移行やインボイス発行事業者の登録を行う必要があります。
インボイス発行事業者の登録は、税務署に申請書を提出することで行えますが、申請から登録までに1〜2か月かかる場合があるので、早めに手続きが重要です。
インボイス発行事業者として登録されたら、自社が発行する請求書や納品書などにインボイスに必要な項目(適用税率や消費税額など)が記載されているか確認し、必要であれば様式を変更する必要があります。また、インボイス発行事業者として登録されたことや登録番号などを取引先に周知し、インボイスの発行や受領の方法やルールを確認する必要があります。
インボイス制度では、発行したインボイスや受領したインボイスを消費税の申告期限から7年間保存する義務があるため、注意が必要です。また、電子インボイスを利用する場合は、保存要件に対応した方法で保存する必要があります。そこで、電子インボイスの発行から保存までを自動化できる、クラウド会計システムの導入がおすすめです。
前述したように、インボイス制度に対応するために有効な会計ツールとしては、クラウド会計システムがおすすめです。
クラウド会計システムとは、インターネット上で会計処理を行えるシステムのことで、以下のようなメリットがあります。
クラウド会計システムを選ぶ際は、自社の規模やニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。
インボイス制度に違反すると、刑事罰やペナルティの対象となる可能性があります。
インボイス制度に違反する事例は、以下のようなものです。
インボイス制度に違反した場合の罰則には、以下のようなものがあります。
このように、インボイス制度が不動産会社に与える影響は少なくありません。インボイス制度は消費税の計算や納税に関する新しい制度で、消費税がかからない不動産取引には関係しないものの、事業用の物件や建物の売買や賃貸、修繕費用については大いに関係します。
また、インボイスの作成や発行だけでなく、消費税の計算や納税業務も煩雑化する可能性があるため、事前の準備が必要です。
そこで、インボイス制度に関する事務作業については、クラウド会計システムで管理するのがおすすめです。クラウド会計システムで管理することで、消費税の計算やインボイスの保存などが自動的に行えるだけでなく、さまざまな業務を効率化できます。
そこでおすすめしたいのが、キヤノンITソリューションズの「SuperStream-NX」です。
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