税務会計業務のポイント 2024.05.22 (UPDATE:2024.10.24)
アクタス税理士法人
令和6年度税制改正では、交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費等の金額基準が、「1人当たり5,000円以下」から、「1人当たり10,000円以下」に引き上げられました。改正内容は、金額基準の引上げのみとなりますが、税務上、交際費等については、注意すべき事項がいくつかあります。今回は、交際費等の税制改正の内容とともに、税務上のポイントをお伝えします。
税務上の交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
令和6年4月1日以後に支出する飲食費等について、交際費等の範囲から除外される金額基準が「1人当たり10,000円以下」に引き上げられました。
飲食費等については、対象者や1人当たりの金額によって下記の通り取扱いが異なります。
法人が支出する交際費等の額のうち、法人の規模に応じて次の金額は損金の額に算入されません。
交際費等に隣接する経費として会議費等がありますが、その判断のポイントは以下の通りとなります。
A. 交際費等には会議費等の隣接経費があるため、それらの取引と区別ができるように「食事代」などの取引内容に加え、支出の目的(例:得意先A商事の接待として)を記載することが望ましいです。
A. 接待で提供した料理等の原材料、人件費、水道光熱費などの原価相当額を基に計算します。なお、原価相当額を算定することが困難な場合には、料理等の売価に対しその料理の原価率を乗じて計算することも合理的であると考えられます。
A. 自己負担にかかわらず、飲食店に支払った代金をその人数で割った金額が1人当たりの金額となります。例えば接待のための飲食費等で1人当たりの自己負担が1,000円、会社負担が10,000円であった場合には、1人当たりの金額は11,000円となり交際費等からは除かれません。
A. 飲食費等の10,000円の判断は、その取引先がインボイス発行事業者であるか否かにより異なります。接待飲食費として税込11,000円(税率10%)を支払った場合の判定方法は以下の通りとなります。
A. 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための飲食代の他、飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料なども含まれます。なお、接待時の送迎タクシー代については接待・供応のための費用ではあるものの、飲食そのものの費用ではないため飲食費等には含まれません。
A. 自社の商品名が記載されているため広告宣伝費とも考えられますが、商品を取引先に渡していることから、取引の目的が不特定多数の人に対しての宣伝ではなく、取引先との関係強化であると考えられるため交際費等として扱います。
A. 交際費等は「飲食等の行為があったとき」を基準に判断します。したがって、令和6年3月に接待等を行い、その支払が4月以降となった場合には「飲食等の行為があったとき」は3月となりますので、今回の改正の内容は適用されません。
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