日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

7月の人事労務お役立ち情報 |マイナンバー改正法案の成立 健康保険証を廃止しカード一本化へ

7月の人事労務お役立ち情報 |マイナンバー改正法案の成立 健康保険証を廃止しカード一本化へ

 アクタス社会保険労務士法人

人事労務のお役立ち情報

マイナンバー改正法案の成立 健康保険証を廃止しカード一本化へ

 2023年6月2日に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(改正マイナンバー法)が可決・成立しました。

 これにより2024年の秋を目途に、現行の健康保険証は廃止となります。今回は、「マイナンバーカードの保険証利用」と「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」について取り上げます。

マイナンバーカードの保険証利用

 マイナンバーカードの保険証利用は、2021年10月より運用がスタートしています。マイナンバーカードに保険証の利用登録を行ったものを「マイナ保険証」といい、2023年6月4日時点での「マイナ保険証」の登録件数は約6,334万件となり、マイナンバーカードの保有者のうち約69.3%が保険証の利用登録を完了しています。(出典:デジタル庁「政策データダッシュボード(ベータ版)」)

 「マイナ保険証」を持参すれば健康保険証がなくとも医療機関・薬局を利用できますが、現時点では全ての医療機関、薬局で使用できるわけではなく、オンライン資格確認が導入されている医療機関・薬局に限られています。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化

 政府は2024年秋を目途に、マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、紙やプラスチックカードの健康保険証を廃止することを決定しました。
 これにより、「マイナ保険証の使用」は事実上、義務化となりますが、一方でマイナンバーカードを持たない人、持っていても保険証の利用登録を行っていない人、紛失した人が保険診療を受けられるように、健康保険組合などの保険者が申請に基づき保険証の代わりとなる1年間有効の「資格確認書」を無料で発行する予定となっています。また、発行済みの従来の健康保険証は、廃止後の最長1年間を有効とする経過措置も設けられる予定です。

マイナ保険証のメリット

 マイナ保険証は次のような活用ができます。

1.データ基づく診療・薬の処方が受けられる
初めての医療機関でも、これまでの診療データを確認しながら診療・治療を受けることができます。

2.転職などをしても健康保険証として使える
新しい医療保険者への手続きが済んでいれば、マイナンバーカードでそのまま受診することができます。

3.高額療養費の手続き省略
マイナ保険証を利用できる医療機関では「限度額適用認定証」は不要となり、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。

4.確定申告の医療費控除手続きの自動化
従来の領収書を保存する必要がなく、マイナポータルとe-Taxを紐づけることで、医療費通知情報が自動で入力され、医療費控除の申告が簡便に行えるようになります。

 マイナ保険証については、別人の情報をひも付けるなどトラブルが相次いでいますが、人事・労務担当者はそのメリットを理解し、健康保険証廃止に向け、マイナンバーカードの取得やマイナ保険証への切替、「資格確認書」の発行などについて、社員へのアナウンスが必要となります。

 また、会社が行う健康保険の資格取得手続きは従来通り必要となりますので、資格取得手続きの様式や運用変更など、保険者からの情報を注視し、早めに対応を講じるようにしましょう。

<厚生労働省>
マイナンバーカードの健康保険証利用について

<デジタル庁>
マイナンバー法等の一部改正法案の概要

今月の人事労務QA

テレワーク中の移動時間は労働時間になりますか?

【相談内容】

 当社ではコロナ禍を機にテレワークを導入しましたが、最近は会社へ出勤する機会も増えており、1日のうちでテレワークと会社への出勤を組み合わせるケースが出てきました。この場合の自宅と会社間の移動時間は、労働時間になるのでしょうか?

【社労士のアドバイス】

 就業場所の移動時間をどう取り扱うかは、「労働者による自由利用が保障されているかどうか」によって判断されます。

 例えば午前中は自宅でテレワークし、午後からオフィスに出勤する場合など、勤務時間の一部をテレワークとした場合は、就業場所の移動が発生します。こうした場合の移動時間について業務から完全に開放され、労働者による自由利用が保障されている場合は、その移動時間は休憩時間として取り扱って差し支えありません。

 一方で、自由利用が保障されていない場合は、その移動時間は労働時間に該当します。例えば、テレワーク中の労働者に対し、会社が具体的業務のために急きょオフィスへの出勤を求め、その移動時間中も業務から完全に解放されておらず労働者による自由利用が保障されていない場合、その移動時間も労働時間として扱うこととなります。

 テレワークの導入・浸透により働き方の多様化が進みましたが、今回のケースに限らず、会社としての具体的なガイドラインを示すことが望まれます。すでにガイドラインを示している場合であっても、就業実態との乖離はないか、適切な運用がなされているかを定期的に見直せるとよいでしょう。

<厚生労働省>
テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン


ホワイトペーパー「戦略人事を実現するために必要な土台の作り方」

関連記事