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12月の人事労務お役立ち情報 |心理的負荷による精神障害の労災認定基準

12月の人事労務お役立ち情報 |心理的負荷による精神障害の労災認定基準

 アクタス社会保険労務士法人

人事労務のお役立ち情報

 2024年9月1日付で「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました。業務に起因する精神障害の、より適切な労災認定、審査の迅速化、請求の容易化を目的とした本改正のポイントについて解説いたします。

1.業務による「※心理的負荷評価表」の見直し

 心理的負荷評価表に以下の「具体的出来事」が追加されました。

  • 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスタマーハラスメント)
  • 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した

 心理的強度が「強」「中」「弱」となる具体例が拡充されました。

  • パワーハラスメント6類型すべての具体例等を明記
    ※心理的負荷評価表:実際に発生した業務上の出来事を、同表の「具体的出来事」に当てはめ、ストレスの強さを評価したもの

2.精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直し

業務外で既に発病していた精神障害について、悪化前おおむね6か月以内に、業務による「特別な出来事」(特に強い心理的負荷となる出来事)がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したと医学的に判断されるときは、悪化した部分について業務との因果関係(業務起因性)が認められます。

3.医学意見の収集方法を効率化

労災認定までの期間短縮のため、複数の専門医による意見収集から、専門医1名の意見のみで決定できる事案が増えました。

<厚生労働省>
心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました

改正電子帳簿保存法4つのポイント

今月の人事労務QA

従業員と連絡が取れず、給与が支払えない場合はどうしたらよいですか?

【相談内容】

従業員が入社後、数日だけ勤務して、連絡が取れなくなってしまいました。数日勤務した分の給与は発生していますが、振込先口座がわからないため、この場合は支払わなくても問題ないでしょうか。

【社会保険労務士のアドバイス】

労働基準法第24条において、賃金は、

  1. 通貨で
  2. 直接労働者に
  3. 全額を
  4. 毎月1回以上
  5. 一定の期日を定めて支払わなければならない

と規定されています。(賃金支払の五原則)
事業主にはこれに則って賃金を支払う義務があり、勤務がごく短期間であっても、労働者との連絡が取れない場合であっても、その義務が免除されることはありません。

ご相談のケースにおいては、労働者と連絡が取れず、振込先も分からないことから、まずは給与計算をした上で給与明細を会社で保管しておき、労働者と連絡が取れた際には、直ちに支払い可能な状態にしておきます。また、ご家族に連絡をしたり、住所を把握している場合には書面を送ったりと、可能な限りの対応をします。ご家族と連絡が取れている場合には、代わりにご家族に支払えば問題ないと思われるかもしれませんが、上記(2)直接払いの原則があるため、本人以外に支払うことはできません。

なお、賃金の支払いには時効の定めがあります。賃金請求権の消滅時効は、当分の間3年(退職金は5年)であるため、3年が経過した時点で労働者から支払い請求がない場合は、請求権の時効となり、賃金支払いの義務も消滅します。
 
また、遅滞なく賃金の支払いができるよう、振込先口座は入社時に速やかに確認すると良いでしょう。

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