会計・人事を変える。もっとやさしく、もっと便利に、もっと楽しく

決算賞与とは?ボーナスと違う?支給時期や平均額、算出要件などを解説

決算賞与とは?ボーナスと違う?支給時期や平均額、算出要件などを解説

 スーパーストリーム

決算賞与とは、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与です。決算賞与は通常の賞与とは異なり、夏と冬に決まって支給するのではなく、決算の際に業績がよければ支給しますが、悪ければ支給しないのが特徴です。さらには、一切支給しない会社も多くあります。

このように、決算賞与については、支給をする・しないの判断から支給する対象や支給額までのすべてを企業側の裁量で決定することができるため、不確定要素が多くなります。

そこで今回は、そんな不確定要素の多い決算賞与に関して、一般的なボーナスとの違いや支給時期、平均支給額、支給額の算出要件などについて解説します。

企業の経営者の方はもちろん、経理担当の方も、ぜひ参考にしてください。

決算賞与とは?通常の賞与(ボーナス)との違い

決算賞与とは、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与のことです。一方、通常の賞与は「ボーナス」とも呼ばれ、決算賞与とは区別されるのが一般的です。

以下では、決算賞与と通常の賞与(以下ボーナス)との違いを比較します。

 

決算賞与

ボーナス

支給基準と義務

支給義務はなく、企業の業績に応じて支給を判断する

一切支給しない企業も多い

支給する義務はないものの、日本企業の慣習的に夏と冬の2回支給する企業が多い

支給する時期

決算後1ヶ月以内

夏と冬が一般的

支給する対象者

正社員への支給が多く、稀にパートやアルバイトも対象となる

正社員への支給が多く、稀にパートやアルバイトも対象となる

支給額の基準

企業の業績を基準とするケースが多いため、年度ごとに異なる

基本給の⚪️ヶ月分など、給与を基準とするケースが多い

このように、決算賞与は企業の業績が良い場合に支給されるケースが多いのに対し、ボーナスは企業の業績に関係なく慣習的に支給される企業が多いのが特徴です。

ただし、ボーナスの場合も、企業の業績によって会社都合で支給額を調整できます。

また、支給時期に関しては、決算賞与が決算後の1ヶ月以内であるのに対し、ボーナスは夏と冬の2回に分けて支給されるケースがほとんどです。

決算賞与を導入する背景と目的

決算賞与が導入される背景と目的は、主に二つあります。

一つめの目的は、企業が業績好調な年度に得た利益を従業員へ還元し、日頃の努力や貢献に報いることです。これにより「成果が正当に評価される」という実感が生まれ、従業員のモチベーションや組織の結束力が向上します。

二つめの目的は、税務上の損金算入要件を満たせば、決算賞与を経費として計上できるため、法人税などの税負担を軽減するための節税が目的です。

 

下記の資料では、「経理部・人事部ファースト」の思想に基づいて開発された、圧倒的な使いやすさを実現している「SuperStream-NX Cloud」について解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。新規CTA

決算賞与の支給時期や対象者、金額の決め方を解説

次に、決算賞与の支給時期や対象者、金額の決め方を解説します。

決算賞与の支給時期と法的ルール

決算賞与の支給時期は、法人税法施行令により「事業年度終了の日の翌日から1か月以内」と定められています。

例えば3月決算の企業なら4月末日まで、12月決算なら1月末日までに支給しなければなりません。この期間内に支給すれば、決算賞与を当期の損金(経費)として計上でき、節税効果が期待できます。

支給額は決算日までに対象従業員へ個別に通知し、通知した金額を期間内に支払うことが損金算入の要件となります。

支給対象となる従業員の範囲

決算賞与の支給対象は、原則として正社員を含む従業員全員ですが、企業によってはパートやアルバイトも対象とすることも可能です。

多くの企業では、賞与支給月の前月末日に在籍している従業員を対象とし、勤務態度や在籍期間など社内規程に基づいて支給範囲を定めます。なお、役員への決算賞与は原則として損金算入できません。

支給対象者への通知は書面で明確に行い、トラブル防止のため記録を残すことが推奨されます。

決算賞与の平均額と計算方法

決算賞与の平均額は企業規模や業績によって大きく異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が多いです。

計算方法は、会社の業績や利益額をもとに予算を組み、従業員ごとの貢献度や人事評価、基本給などを加味して配分するのが一般的です。

支給額の決定にあたっては、就業規則や賞与規程に基づき、全従業員へ公平かつ透明性のある基準で算出し、通知することが重要となります。

決算賞与の算出要件と損金算入のポイント

次に、決算賞与の算出要件と損金算入のポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

決算賞与の損金算入要件

決算賞与を当期の損金に算入するには、下記の3要件をすべて満たす必要があります。いずれかを欠くと当期損金算入は認められないため、十分注意しましょう。

  1. 決算日までに支給対象全員へ支給額を個別通知する
  2. 通知した全員に対し決算日翌日から1か月以内に通知通りの金額を支給する
  3. 当期に損金経理する

税務上の注意点と手続き

決算賞与を損金算入する際は、通知内容や支給日、経理処理の正確な記録が不可欠です。

通知額と実際の支給額が異なる場合や、通知した全員に支給しなかった場合、また支給が決算日翌日から1か月を超えた場合は、損金算入が認められません。

社会保険料の損金算入時期も異なるため、あわせて注意が必要です。

決算賞与の通知・支給スケジュール

決算日までに支給対象者へ個別に通知を行い、決算日の翌日から1か月以内に通知通りの金額を全員に支給する必要があります。例えば3月決算なら4月末までが支給期限です。

通知・支給の記録や経理処理も事業年度内に完了させることが、損金算入の前提条件となります。

 

近年は、「労働力不足の深刻化」「若年層社員が突然退職する傾向の増加」「内定辞退」などが課題視されています。下記の資料では、「従業員に選ばれる企業」になるための人事データの活用術を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

選ばれる企業の人事データ活用術

決算賞与にかかる税金や社会保険料について

決算賞与は、企業の当該年度の業績に応じて支給される臨時の賞与で、税務上「損金」として経費計上できます。

また、決算賞与は「給与」の一種とみなされるため、一般的な給与と同様に、税金や社会保険料を差し引いて支給します。

賞与の手取り額は、支給額に対しておおよそ8割程度です。そのため、決算賞与の手取り概算額は、以下の計算式で算出できます。

  • 決算賞与の額面✖️80%=決算賞与の概算手取り額

以下では、決算賞与にかかる税金と社会保険料の具体的な計算方法を解説します。

決算賞与にかかる税金

決算賞与に課税される税金は「所得税」です。

所得税は、決算賞与の金額から控除される社会保険料等の金額を差し引いた金額に対して課されます。

賞与にかかる所得税の計算方法を、以下で解説します。

【通常の計算式】

  1. 前月の給与-社会保険料等=①
  2.  「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に①の金額と扶養親族の人数をあてはめて税率を求める=②
  3. (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)✖️②=賞与にかかる所得税額

【賞与額が前月の給与金額の10倍を超える場合の計算式】

  1. (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6=①
  2. ①+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)=②
  3. ②の金額を「給与所得の源泉徴収税額表」にあてはめて税額を求める=③
  4. ③-(前月の給与に対する源泉徴収税額)=④
  5. ④✖️6=賞与にかかる所得税額

【前月に給与の支払がない場合の計算式】

① (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6=①

② ①の金額を「給与所得の源泉徴収税額表」にあてはめて税額を求める=②

③ ②✖️6=賞与にかかる所得税額

※なお、上記の各源泉徴収税額表は令和5年分ですので、常に最新の情報をご活用ください。

決算賞与から差し引かれる社会保険料

決算賞与から差し引かれる社会保険料には、次の3種類があります。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

それぞれの計算方法は以下の通りです。

賞与から差し引かれる社会保険料

①健康保険料の計算式

賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️ 健康保険料率✖️1/2

②厚生年金保険料の計算式

賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️厚生年金保険料率(0.183)✖️1/2

③雇用保険料

賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️雇用保険料率(0.003)

上記3つの社会保険料①②③の合計が、賞与から差し引かれる社会保険料となります。

決算賞与の正確な手取り額の計算式

上記の決算賞与にかかる税金と社会保険料を計算することで、決算賞与の正確な手取り額を計算できます。

決算賞与の手取り額の計算式は、次のとおりです。

  • 決算賞与の額面額-(所得税+社会保険料)=決算賞与の手取り額

 

下記の資料では、多岐に渡る業務のなかで常にスピード感と質の両軸が求められている経理・財務部門の主な「11の課題」について、どのような対応が必要かを分かりやすく解説します。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。

新規CTA

企業が決算賞与を出すメリット

企業が決算賞与を出すメリットには、以下のようなものがあります。

従業員のモチベーションが向上する

決算賞与は、業績が好調で利益が増大した際に、従業員にその利益を賞与として還元するために支給します。これにより、従業員が会社に対して感謝の気持ちや誇りを持ち、長期的な視点で働く意欲を高めることに繋がるでしょう。

節税効果に期待できる

決算賞与は、一定以上の利益が出た場合に支給するものです。これにより、会社は利益額を小さくして法人税の負担を下げることができます。また、決算賞与は損金に算入できるため、企業の節税効果も期待できます。

優秀な人材を採用しやすくなる

決算賞与は、従業員に対して高い評価と報酬を与えるため、優秀な人材を採用しやすくなる効果に期待できます。決算賞与を毎年のように支給することで、その企業が「従業員を大切に扱う会社」とみなされ、応募人材が増える可能性が高まるからです。

また、決算賞与を支給することで従業員が自分の能力や貢献度を客観的に評価されていると感じ、会社に対する忠誠心や満足度も高まるでしょう。

企業価値が高まる可能性がある

決算賞与を支給することで、従業員だけでなく、企業のステークホルダーからの評価が高まる可能性があります。上記のように、決算賞与の支給によって従業員のモチベーションが向上したり、優秀な人材が集まりやすくなったりすることで、株価などの企業価値が向上する可能性が高まるでしょう。

 

「労働力不足の深刻化」「若年層社員が突然退職する傾向の増加」などから、新入社員に向けた効果的なオンボーディングが重要視されています。下記の資料では、効果的なオンボーディングの実践方法について、事例を交えながら解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。

新規CTA

企業が決算賞与を出すデメリット

企業が決算賞与を出すデメリットには、以下のようなものがあります。

内部留保が減る

内部留保とは、将来の事業展開や投資などに充てられる企業の財産ですが、決算賞与を出すことで内部留保が減少します。この内部留保が減ると、事業の安定性や成長性に悪い影響を及ぼす可能性があります。

そこで、決算賞与を出す際は企業資産を十分に分析し、事業に支障のない範囲で支給することが大切です。

人件費の増加やキャッシュフローが悪化する可能性がある

決算賞与は、従業員の労働時間や生産性に応じて支給される給与の一種であるため、人件費が増加します。また、決算賞与によって企業資金を放出するため、キャッシュフローも悪化するでしょう。

このように、決算賞与の支給により、会社の収益性や財務務状況に悪い影響を及ぼす可能性があります。そのため、決算賞与を出す際は、企業の将来的な展望を踏まえて慎重に計画することが重要です。

決算賞与が出ない場合に従業員のモチベーションが下がる可能性がある

決算賞与の支給が慣習化している企業では、業績の悪化などによって支給されなくなった場合に、従業員のモチベーションが下がる可能性があります。

そこで、決算賞与が出るのが当たり前という社風を定着させるのではなく、あくまでも業績に応じた報酬であることを従業員に認識させることが大切です。

企業が決算賞与を出す際の注意点

企業が決算賞与を出す際の注意点として、以下のポイントを詳しく解説します。

決算賞与の支給通知は書面ですること

決算賞与は、会社の業績に応じて支給する臨時ボーナスであるため、法律で支給が定められているわけではありません。しかし、決算賞与を支給する際は、支給対象となる従業員全員に支給時期や支給額、支給方法を明確に書面で通知するのがおすすめです。

決算賞与の詳細を書面で通知し、記録を残すことで、会社と従業員の間で不要なトラブルを防ぐことができます。

決算賞与は決算前に支給すること

決算賞与は、一般的に3月や年末といった「企業の決算月」に支給します。決算賞与の支給時期は法令で「決算後1ヶ月以内」と定められているため、決算の前に予算に組み込んだうえで費用を算出することが重要です。

決算賞与を支給する場合は、決算日までに、対象となる従業員に対して書面で「いつ・いくら」支給するのかを通知しましょう。

決算賞与の支給は銀行振り込みにすること

決算賞与は会社側が従業員の給与振り込み口座に振り込むのが一般的です。銀行振り込みにすることで、企業が決算賞与の支給を証明できるだけでなく、取引銀行やステークホルダーからの信用度が高まる可能性があります。また、税務調査の際に振込記録があることで、振込日時と金額を容易に確認できるのもメリットです。

どうしても現金で手渡しする必要がある場合は、必ず全従業員から領収書をもらいましょう。

 

下記の資料では、現代の人事業務に求められる「戦略人事」を詳しく解説。戦略人事を実現するための2ステップと、ステップ毎に障壁となる人事部門の「7つ」の課題と対応策を分かりやすく解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。

ホワイトペーパー「戦略人事を実現するために必要な土台の作り方」

決算賞与制度を導入する際の注意点

最後に、決算賞与制度を導入する際の注意点を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

社会保険料や税金の取り扱い

決算賞与も通常の賞与と同様に、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料や所得税の対象となります。支給額が大きい場合には、会社負担の社会保険料や源泉所得税が増加し、キャッシュフローに影響するため、十分注意しましょう。

また、決算賞与を多額に支給しすぎると、法人税や消費税など納税資金が不足するリスクもあるため、納税スケジュールと合わせて無理のない金額設定が重要です。

毎年支給への期待値をコントロールする

決算賞与は業績に応じて臨時的に支給されるものであり、毎年必ず支給されるものではありません。しかし、一度支給すると従業員が「毎年もらえる」と期待し、支給がない年のモチベーション低下や不満につながることがあります。

そこで、あらかじめ「業績連動型である」ことや「必ずしも毎年支給されるものではない」ことを明確に伝え、期待値を適切にコントロールすることが大切です。

支給条件・基準の明文化と社内周知

決算賞与の支給条件や計算基準は、就業規則や賞与規程などで明文化し、全従業員に周知することが重要です。曖昧な運用は従業員間の不公平感やトラブルの原因になります。

支給対象者や金額決定の基準、通知方法、支給時期などを明確に定め、書面や社内システムで周知徹底することで、透明性と納得感のある制度運用が実現できます。

 

下記の資料では、累計10,345社以上が導入し、高度な技術力で快適な操作性を提供している経営基盤ソリューション(財務会計|人事給与)SuperStream-NXの製品資料を無料でダウンロードできます。ぜひご参照ください。プロダクトガイド資料ダウンロード

決算賞与のまとめ

上記のように、決算賞与は、会社の業績に応じて支給する臨時ボーナスであり、法律で支給が定められているわけではありません。ただ、決算賞与を支給することで、従業員のモチベーションの向上や優秀な人材を獲得できる可能性が高まるため、業績の良い企業にとって小さなリスクで企業価値を高められる可能性があります。

そこでスーパーストリームの財務会計システムを導入し、自社の財務状況を正確に把握するのがおすすめです。

キヤノンITソリューションズの「SuperStream-NX」人事給与ソリューションは、スキル情報をもとに従業員の今の姿(As Is)とあるべき姿(To Be)を明らかにするだけでなく、セルフサービス化によって従業員を人事業務へ参加させ、自立型社員の育成が可能な仕組みを提供します。

これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。

下記の資料では、「経営基盤ソリューション SuperStream-NX」の詳しい内容を解説しています。登録なしでご覧いただけますので、この機会にぜひご参照ください。

https://www.superstream.canon-its.co.jp/ss_account_lp

まずはオンラインでお気軽に資料請求してみてください。

また、自社に必要なシステムの種類や選び方がわからない場合は、いつでもキヤノンITソリューションズにご相談ください。貴社に適したソリューションを提供いたします。

国内1万社以上が導入する「SuperStream-NX」。下記の動画では、タレントマネジメントの強化、人事データの一元管理、法改正対応の3つのポイントを解説しています。ぜひご視聴ください。

 

新規CTA

関連記事