トレンド情報 2023.10.16 (UPDATE:2025.04.15)
スーパーストリーム
決算賞与とは、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与です。決算賞与は通常の賞与とは異なり、夏と冬に決まって支給するのではなく、決算の際に業績がよければ支給しますが、悪ければ支給しないのが特徴です。さらには、一切支給しない会社も多くあります。
このように、決算賞与については、支給をする・しないの判断から支給する対象や支給額までのすべてを企業側の裁量で決定することができるため、不確定要素が多くなります。
そこで今回は、そんな不確定要素の多い決算賞与に関して、一般的なボーナスとの違いや支給時期、平均支給額、支給額の算出要件などについて解説します。
企業の経営者の方はもちろん、経理担当の方も、ぜひ参考にしてください。
決算賞与とは、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与のことです。一方、通常の賞与は「ボーナス」とも呼ばれ、決算賞与とは区別されるのが一般的です。
以下では、決算賞与と通常の賞与(以下ボーナス)との違いを比較します。
決算賞与 |
ボーナス |
|
支給基準と義務 |
支給義務はなく、企業の業績に応じて支給を判断する 一切支給しない企業も多い |
支給する義務はないものの、日本企業の慣習的に夏と冬の2回支給する企業が多い |
支給する時期 |
決算後1ヶ月以内 |
夏と冬が一般的 |
支給する対象者 |
正社員への支給が多く、稀にパートやアルバイトも対象となる |
正社員への支給が多く、稀にパートやアルバイトも対象となる |
支給額の基準 |
企業の業績を基準とするケースが多いため、年度ごとに異なる |
基本給の⚪️ヶ月分など、給与を基準とするケースが多い |
このように、決算賞与は企業の業績が良い場合に支給されるケースが多いのに対し、ボーナスは企業の業績に関係なく慣習的に支給される企業が多いのが特徴です。
ただし、ボーナスの場合も、企業の業績によって会社都合で支給額を調整できます。
また、支給時期に関しては、決算賞与が決算後の1ヶ月以内であるのに対し、ボーナスは夏と冬の2回に分けて支給されるケースがほとんどです。
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決算賞与は、企業の当該年度の業績に応じて支給される臨時の賞与で、税務上「損金」として経費計上できます。
また、決算賞与は「給与」の一種とみなされるため、一般的な給与と同様に、税金や社会保険料を差し引いて支給します。
賞与の手取り額は、支給額に対しておおよそ8割程度です。そのため、決算賞与の手取り概算額は、以下の計算式で算出できます。
以下では、決算賞与にかかる税金と社会保険料の具体的な計算方法を解説します。
決算賞与に課税される税金は「所得税」です。
所得税は、決算賞与の金額から控除される社会保険料等の金額を差し引いた金額に対して課されます。
賞与にかかる所得税の計算方法を、以下で解説します。
① (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6=①
② ①の金額を「給与所得の源泉徴収税額表」にあてはめて税額を求める=②
③ ②✖️6=賞与にかかる所得税額
※なお、上記の各源泉徴収税額表は令和5年分ですので、常に最新の情報をご活用ください。
決算賞与から差し引かれる社会保険料には、次の3種類があります。
それぞれの計算方法は以下の通りです。
賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️ 健康保険料率✖️1/2
賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️厚生年金保険料率(0.183)✖️1/2
賞与額(1,000円未満は切り捨て)✖️雇用保険料率(0.003)
上記3つの社会保険料①②③の合計が、賞与から差し引かれる社会保険料となります。
上記の決算賞与にかかる税金と社会保険料を計算することで、決算賞与の正確な手取り額を計算できます。
決算賞与の手取り額の計算式は、次のとおりです。
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企業が決算賞与を出すメリットには、以下のようなものがあります。
決算賞与は、業績が好調で利益が増大した際に、従業員にその利益を賞与として還元するために支給します。これにより、従業員が会社に対して感謝の気持ちや誇りを持ち、長期的な視点で働く意欲を高めることに繋がるでしょう。
決算賞与は、一定以上の利益が出た場合に支給するものです。これにより、会社は利益額を小さくして法人税の負担を下げることができます。また、決算賞与は損金に算入できるため、企業の節税効果も期待できます。
決算賞与は、従業員に対して高い評価と報酬を与えるため、優秀な人材を採用しやすくなる効果に期待できます。決算賞与を毎年のように支給することで、その企業が「従業員を大切に扱う会社」とみなされ、応募人材が増える可能性が高まるからです。
また、決算賞与を支給することで従業員が自分の能力や貢献度を客観的に評価されていると感じ、会社に対する忠誠心や満足度も高まるでしょう。
決算賞与を支給することで、従業員だけでなく、企業のステークホルダーからの評価が高まる可能性があります。上記のように、決算賞与の支給によって従業員のモチベーションが向上したり、優秀な人材が集まりやすくなったりすることで、株価などの企業価値が向上する可能性が高まるでしょう。
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企業が決算賞与を出すデメリットには、以下のようなものがあります。
内部留保とは、将来の事業展開や投資などに充てられる企業の財産ですが、決算賞与を出すことで内部留保が減少します。この内部留保が減ると、事業の安定性や成長性に悪い影響を及ぼす可能性があります。
そこで、決算賞与を出す際は企業資産を十分に分析し、事業に支障のない範囲で支給することが大切です。
決算賞与は、従業員の労働時間や生産性に応じて支給される給与の一種であるため、人件費が増加します。また、決算賞与によって企業資金を放出するため、キャッシュフローも悪化するでしょう。
このように、決算賞与の支給により、会社の収益性や財務務状況に悪い影響を及ぼす可能性があります。そのため、決算賞与を出す際は、企業の将来的な展望を踏まえて慎重に計画することが重要です。
決算賞与の支給が慣習化している企業では、業績の悪化などによって支給されなくなった場合に、従業員のモチベーションが下がる可能性があります。
そこで、決算賞与が出るのが当たり前という社風を定着させるのではなく、あくまでも業績に応じた報酬であることを従業員に認識させることが大切です。
企業が決算賞与を出す際の注意点として、以下のポイントを詳しく解説します。
決算賞与は、会社の業績に応じて支給する臨時ボーナスであるため、法律で支給が定められているわけではありません。しかし、決算賞与を支給する際は、支給対象となる従業員全員に支給時期や支給額、支給方法を明確に書面で通知するのがおすすめです。
決算賞与の詳細を書面で通知し、記録を残すことで、会社と従業員の間で不要なトラブルを防ぐことができます。
決算賞与は、一般的に3月や年末といった「企業の決算月」に支給します。決算賞与の支給時期は法令で「決算後1ヶ月以内」と定められているため、決算の前に予算に組み込んだうえで費用を算出することが重要です。
決算賞与を支給する場合は、決算日までに、対象となる従業員に対して書面で「いつ・いくら」支給するのかを通知しましょう。
決算賞与は会社側が従業員の給与振り込み口座に振り込むのが一般的です。銀行振り込みにすることで、企業が決算賞与の支給を証明できるだけでなく、取引銀行やステークホルダーからの信用度が高まる可能性があります。また、税務調査の際に振込記録があることで、振込日時と金額を容易に確認できるのもメリットです。
どうしても現金で手渡しする必要がある場合は、必ず全従業員から領収書をもらいましょう。
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上記のように、決算賞与は、会社の業績に応じて支給する臨時ボーナスであり、法律で支給が定められているわけではありません。ただ、決算賞与を支給することで、従業員のモチベーションの向上や優秀な人材を獲得できる可能性が高まるため、業績の良い企業にとって小さなリスクで企業価値を高められる可能性があります。
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これらの理由から、「SuperStream-NX」は非常に優れた選択肢となります。
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