トレンド情報 2023.10.14 (UPDATE:2025.04.15)
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適格返還請求書とは、商品の返品や値引きなどに対応した際に発行する、税務上の証拠として重要な役割を果たす書類です。しかし、適格返還請求書の具体的な記載項目や保存期間などについて、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
適格返還請求書は、2023年10月から始まる「インボイス制度」や、2024年1月から施行される「電子帳簿保存法」などに関連する重要な書類の1つです。そのため、企業の経理を担当する方は、適格返還請求書の作成や保存に関する理解が必要です。
そこで今回は、適格返還請求書の基本的な知識から、具体的な記載項目、保存期間、そしてそれらが重要な理由について解説します。企業の経理を担当する方は、ぜひ参考にしてください。
適格返還請求書とは、適格請求書発行事業者が商品の返品や値引き時に発行する必要がある書類のことで、返還インボイスとも呼ばれる重要な書類の1つです。
具体的には、商品の返品や値引き、売上割引き、販売奨励金、事業分量配当金などが対象となります。
適格返還請求書は、売り手である適格請求書発行事業者が、買い手に対して何らかの理由で金銭を返金する、あるいはそれに類する行為を行った際に発行します。
適格返還請求書は、適格請求書発行事業者が売上の返品や値引きによる対価の返還を行う際に交付しなければならない書類です。
具体的には以下のようなケースが対象となります。
商品が返品された場合や、何らかの理由で商品の価格を値引きした場合。
特定の条件を満たした顧客に対して売上を割り引くプロモーションなどを行った場合。
販売員や代理店に対する販売奨励金などを出した場合。
事業者間での取引において、取引量に応じて後から配当金などがあった場合。
上記のようなケースでは、適格請求書発行事業者は適格返還請求書を交付しなければならないとされています。
ただし、3万円未満/回の公共交通機関の運賃、自動販売機・自動サービス機で販売した3万円未満の商品など、事業の性質上、発行が困難な取引は交付義務が免除されています。
また、買い手が仕入税額控除のために作成・保存した支払通知書が適格返還請求書としての要件を満たしている場合は、売り手が改めて適格返還請求書を交付する必要がありません。
適格返還請求書の交付が免除されるケースは、以下のような場合です。
税込価額が1万円未満の返品や値引きによる売上の返還を行った場合には、原則として適格返還請求書の交付義務が免除されます。
船舶、バス、鉄道の旅客の運送で、3万円未満の場合も適格返還請求書の交付義務が免除されます。
出荷者から委託を受けた者が卸売業務として行う生鮮食料品等の販売の場合、適格返還請求書の交付義務が免除されることがあります。
課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満の場合、インボイスが無くとも、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする事務負担軽減措置が設けられています。
適格返還請求書は、税務上の証拠として重要な役割を果たします。
適格返還請求書については、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する義務があります。また、買い手側が要件を満たす形で発行した支払通知書で代用可能です。ただし、支払通知書で代用する場合でも、適格返還請求書と同様に7年間の保管が必要です。
これらの文書は、税務調査時に税務署から提出を求められる可能性があるため、注意して保存する必要があります。
事業者ごとの適格返還請求書の詳しい保存期間については、以下を参考にしてください。
原則として、確定申告書の提出期限(決算日から2ヶ月後)の翌日から7年間
※ただし、課税所得額がマイナスとなる赤字決算の年については、適格返還請求書を10年間保存する必要があります。
確定申告期限の翌日から7年間
確定申告期限の翌日から5年間
適格返還請求書の保存方法については、インボイス制度や電子帳簿保存法も考慮しなければなりません。
適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)では、一定の事項を記載した帳簿および請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。これは電子帳簿保存法とも関連しており、適格請求書等の写し、又は適格請求書等に係る電磁的記録を保存する義務があります。
これと同じく、適格返還請求書についても、以下のような手順での保存が必要です。
適格返還請求書を作成する際には、いくつかの注意点があります。
まず、適格返還請求書は、売り手である適格請求書発行事業者が買い手に対して何らかの理由で金銭を返金する、あるいはそれに類する行為を行った際に発行する書類です。そのため、商品の返品や値引きなどが発生した場合には、必ず適格返還請求書を発行する必要があります。
また、適格返還請求書の保存期間は、課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日を起点に7年間となっています。この期間内に税務調査が行われた場合、適格返還請求書を提出する必要があるため、保存期間を守ることが重要です。
さらに、適格返還請求書は、買い手側が要件を満たす形で発行した支払通知書で代用できます。しかし、この場合でも支払通知書の保管が必要です。
これらの点に注意しながら、適格返還請求書を適切に管理しましょう。
適格返還請求書を作成する際には、以下の項目を記載する必要があります。
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これらの情報を含む書類が適格返還請求書となります。
具体的な発行例としては、商品が返品された場合や、何らかの理由で商品の価格を値引きした場合などです。ただし、具体的な書式や形式は法令で定められていないため、事業者が自由に設定可能です。
なお、買い手側が要件を満たす形で発行した支払通知書でも代用できます。
適格返還請求書の記載例を、国税庁の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」から抜粋して紹介します。
上記の適格返還請求書の記載事項については、下記を参照しながら作成しましょう。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日
(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません)
③ 売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ 売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率
これら全てが記載されていれば、適格返還請求書として有効です。ただし、具体的な書式や形式は法令で定められていないため、事業者が自由に設定することができます。
適格返還請求書は、下記のように適格請求書にまとめて記載し、交付することもできます。
上記のように、適格請求書と適格返還請求書を1つの書類で交付することも可能ですが、その場合は以下の点に注意しましょう。
以上の点を考慮して、適格請求書と適格返還請求書を1つの書類で交付することが可能です。
適格請求書と適格返還請求書を1つの書類で交付する際は、インボイス制度導入後に仕入税額控除を受けられるようにするために、正確かつ完全な情報を入力することが重要です。
出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」より
A:適格返還請求書は、商品の返品や値引きが発生した際に、適格請求書発行事業者が発行する必要がある書類です。これにより、取引の正確な税額を記録し、税務上の正確な処理を保証します。
A:商品の返品を受け入れた場合や、商品を値引きした場合など、売上に関する対価の一部または全部を返還する場合に必要です。
A:法人の場合、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。個人事業主の場合は、確定申告期限の翌日から7年間です。
A:はい、税込みで1万円未満の少額な対価返還に関しては、適格返還請求書の交付義務が免除されます。
A:適格返還請求書には、返品や値引きの日付、金額、影響を受ける税額など、取引の詳細を記載する必要があります。
2023年10月1日からのインボイス制度の開始により、企業の経理業務が煩雑化する可能性があります。また、2024年1月からの改正電子帳簿保存法への対応も必要となるため、適格返還請求書などはクラウド会計システムによって一元管理するのがおすすめです。
適格返還請求書に関する情報をクラウド会計システムで管理することで、書類の作成や保存などを自動化できるだけでなく、さまざまな業務を効率化できます。
そこで、適格返還請求書を含めたインボイス制度への対応には、クラウド型会計システム「SuperStream-NX」の導入がおすすめです。
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