トレンド情報 2024.02.21 (UPDATE:2025.07.16)
スーパーストリーム
ERPと基幹システムは、共に企業の業務を効率化するためのシステムですが、その目的や役割、導入メリットには大きな違いがあります。
ERPとは、企業の資源を最適に計画・管理するためのシステムです。ERPの導入により、業務の効率化、コスト削減、情報の正確性・透明性の向上、意思決定のスピードアップなどのメリットが期待できます。
一方、基幹システムとは、企業の基幹となる業務を支えるシステムです。基幹システムの導入により、業種や業態に応じた業務の最適化、競争力の強化、顧客満足度の向上などのメリットが期待できます。
ERPと基幹システムの違いを知ることで、自社に最適なシステムを選択することが可能です。
そこで今回は、ERPと基幹システムの目的や役割、導入メリットの違いをわかりやすく比較して解説します。これからERPや基幹システムの導入をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
ERPとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、企業が持つ資金や人材、設備、資材、情報など様々な資源を統合的に管理・配分し、業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法です。
一般的には、そのために導入・利用される業務横断型の業務ソフトウェアパッケージ(ERPパッケージ)のことも指します。
ERPの主な機能と役割は、以下の通りです。
機能名 |
役割・特徴 |
会計・財務管理 |
会社法や金融商品取引法などに基づく財務諸表の作成、経営状況の可視化、管理会計、予算管理、損益計算書・貸借対照表などの自動作成を担う。他業務とのデータ連携によりリアルタイムな財務把握が可能。 |
経費精算 |
備品購入や旅費交通費、従業員立替などの精算業務を効率化し、申請・承認・支払いまでのプロセスを一元管理。 |
販売管理 |
見積・受注・売上・請求・債権などの販売プロセス全体を管理し、販売状況の可視化や販売戦略の意思決定を支援。在庫や会計と連携し二重入力を防止。 |
生産管理 |
生産計画、材料調達、作業人員配置、仕掛品・製品の管理、品質管理など製造工程全体を統合管理。需要予測や納期管理もサポート。 |
在庫管理 |
入出庫・棚卸・在庫数量やロケーションの管理、在庫最適化、欠品・過剰在庫防止などをリアルタイムで実施。販売・生産と連携し全体最適化を図る。 |
購買管理 |
資材や原材料の発注・仕入・支払管理を一元化し、コスト削減や調達効率化を実現。在庫や生産と連動して購買計画を最適化。 |
人事・労務管理 |
従業員情報、採用、異動、評価、給与、勤怠、社会保険、年末調整など人事・労務全般をカバー。人材配置や育成、労働条件管理も含む。 |
資産管理 |
固定資産の台帳管理、減価償却計算、資産の移動・廃棄・棚卸などを効率化し、会計や税務とも連携。 |
債権・債務管理 |
売掛金・買掛金の管理、入金・支払処理、請求書・領収書の発行、消込作業など債権債務の一元管理。会計・販売・購買と連携。 |
システム管理機能 |
アクセス権限管理、セキュリティ、操作ログ、データバックアップ、他システム連携など運用管理を支援。 |
ERPはこれらの機能を統合し、部門横断的な業務効率化や情報の一元化、経営判断の迅速化、内部統制の強化を実現します。
ERPの種類は、システムをどこに構築するか、どのように作るかの違いで分類されるのが一般的です。
システムをどこに構築するかの違いでは、インターネット上にシステムを構築し、ユーザーがそこにアクセスするクラウド型と、自社のサーバー上にシステムを構築して利用するオンプレミス型があります。それぞれの違いを以下で比較します。
比較項目 |
クラウドERP |
オンプレミスERP |
導入コスト |
初期費用が低く、月額や年額のサブスクリプション型で利用可能 |
サーバーやハードウェア購入が必要で初期費用が高い |
運用コスト |
ベンダーが保守・運用を担うため、ITインフラ維持費が不要。継続的な利用料が発生 |
自社で保守・運用が必要。運用保守費は低めだが、要員や管理コストが発生 |
導入スピード |
サーバー準備不要で短期間導入が可能 |
インフラ準備や設定が必要なため導入に時間がかかる |
カスタマイズ性 |
標準機能中心でカスタマイズは制限される傾向 |
高度なカスタマイズが可能で自社要件に柔軟に対応 |
スケーラビリティ |
企業成長や利用拡大に合わせてリソースを柔軟に拡張できる |
拡張にはハードウェア追加や設定変更が必要 |
保守・アップデート |
ベンダーが自動で実施。常に最新機能・セキュリティが利用可能 |
自社で実施。タイミングや内容も自社判断だが、手間がかかる |
データ管理・制御性 |
データはクラウド上に保管。ベンダーがセキュリティ対策を実施 |
データは自社で管理。物理的なセキュリティも自社で担保 |
アクセス性 |
インターネット経由でどこからでもアクセス可能 |
社内ネットワーク内での利用が基本。リモートはVPN等が必要 |
クラウドERPは導入コストや運用負担を抑え、拡張性や保守性を重視する企業に適しています。一方、オンプレミスERPはカスタマイズ性や自社でのデータ管理を重視する企業に向いています。
どのように作るかの違いでは、必要であろう機能があらかじめパッケージングされたERPパッケージと、ゼロからすべてを作る受託開発型のフルスクラッチ型があります。
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以下では、ERPを導入する主なメリットを5つ挙げて解説します。
ERPは会計、販売、人事、生産など各部門のデータを統合データベースで一元管理します。これにより情報の分散や二重入力がなくなり、リアルタイムで全社の状況を把握できます。部署間の連携が円滑になり、作業の重複やミスも大幅に削減され、企業全体の業務効率が向上するのがメリットです。
ERPは集計や分析、入力業務など定型的な作業を自動化し、社員が本来注力すべきコア業務に集中できる環境をつくります。業務フローの標準化や自動化により、作業時間やコストを削減し、全社的な生産性向上を実現可能です。
ERPは全社の経営データをリアルタイムで可視化できるため、経営層は必要な情報を即座に取得し、迅速かつ的確な意思決定が可能です。市場や経営環境の変化にも柔軟に対応でき、企業の競争力強化に直結します。
ERPはワークフローやアクセス権限、操作ログ管理など内部統制機能を備えています。これにより不正やミスの防止、法令遵守の徹底が図れ、J-SOX法などのガバナンス要件にも対応できます。これは、企業の信頼性や透明性向上にも大きく貢献する、重要な要素です。
ERPは高度なセキュリティ機能により、全社の重要データを一括管理し、アクセス制御やデータ暗号化で情報漏洩リスクを低減します。個人情報や機密情報の保護も強化されるため、安心して業務を遂行できます。
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基幹システムとは、企業の経営に必要不可欠な業務をコンピュータで管理するシステムのことです。
基幹システムは、企業の業種や規模によって異なりますが、一般的に以下のような種類と機能があります。
基幹システムの種類 |
主な役割・機能 |
販売管理システム |
見積・受注・売上・請求・代金回収など「お金」と「モノ」の流れを一元管理し、販売状況の可視化や請求・回収業務を効率化。 |
購買管理システム |
発注・仕入・出荷・支払など、購買や仕入れに関する業務を管理し、コスト管理や在庫連携、仕入先との取引効率化を実現。 |
生産管理システム |
生産計画、材料調達、作業進捗、品質管理など製造プロセス全体を統合管理し、効率的な生産活動と納期遵守を支援。 |
在庫管理システム |
入出庫・棚卸・在庫数量やロケーションの管理をリアルタイムで行い、欠品や過剰在庫の防止、在庫最適化を実現。 |
財務・会計システム |
仕訳・決算・財務諸表作成・予算管理など、企業の財務状況を正確に把握し、経営判断の基盤を提供。 |
人事給与システム |
従業員情報、給与計算、賞与、社会保険、年末調整など人事・労務関連業務を一元管理し、法令遵守や最適なリソース配分を支援。 |
勤怠管理システム |
出退勤や労働時間、有給・代休の申請・承認など、従業員の勤務状況を正確に記録・集計し、給与計算や労務管理と連携。 |
基幹システムは企業の根幹業務を支え、業務効率化や経営の最適化に不可欠な存在です。
以下では、基幹システムを導入する主なメリットを3つ挙げて解説します。
基幹システムを導入することで、各種業務の自動化や作業手順の標準化が進みます。これにより手作業や重複作業が減り、人的ミスの抑制や作業精度の向上が期待できます。また、業務全体のスピードアップやコスト削減にもつながり、従業員は本来注力すべき業務に集中できるのも大きなメリットです。
基幹システムの導入で、作業方法や手順を統一・標準化できます。これにより業務のムラや無駄がなくなり、ノウハウの属人化も防止できます。最適な業務プロセスを全社で共有できるため、業務品質の均一化や全体のレベルアップを実現し、企業競争力の強化にも寄与するでしょう。
基幹システムは、各部門のデータや情報を一元的に管理できるため、リアルタイムで経営状況を把握できます。部署ごとのデータ集計や情報共有の手間が省け、経営判断の迅速化や正確な戦略立案が可能です。情報管理の効率化は、企業規模が大きいほど大きな効果を発揮します。
以下では、ERPと基幹システムの目的と役割(最適化の範囲の違い)を比較して解説します。
項目 | ERP | 基幹システム |
---|---|---|
定義 | 全社的資源計画(Enterprise Resource Planning)システムであり、企業全体の業務プロセスを統合管理するためのシステム | 特定の業務(生産管理、販売管理、在庫管理など)を支援する個別システム |
目的 | 企業全体の資源を効率的に管理し、業務の最適化と統合を図ること | 特定業務の効率化と管理を行うこと |
機能 | 財務会計、人事管理、在庫管理、販売管理、生産管理など多岐にわたる機能を持つ | 生産管理、販売管理、在庫管理など、特定の業務に焦点を当てた機能を持つ |
導入範囲 | 全社的に導入され、複数の部門や業務プロセスを統合管理する | 個別の部門や業務プロセスに導入される |
データの統合 | 全社的なデータ統合を実現し、リアルタイムでの情報共有が可能 | 部門ごとのデータ管理が中心で、統合性は低い |
導入コスト | 高額であり、導入に時間とコストがかかることが多い | 比較的低コストで導入が可能 |
メリット | 業務プロセスの統合、データの一元管理、意思決定の迅速化 | 特定業務の効率化、運用コストの削減、部門ごとの最適化 |
デメリット | 導入コストが高い、導入・運用に専門知識が必要 | データの分断化、全社的な統合が難しい |
ERPは、人やモノ、お金など経営に欠かせない企業資源の管理を効率化するために、すべての基幹業務を一つのシステムで統合し、企業全体のデータの一元管理と、リアルタイムで強力なデータ連携を目的に導入するシステムです。
ERPでは、統合されたデータベースをひとつのシステムで管理・共有できるため、部門間の情報の即時共有や密な連携が可能となり、全社的な業務の自動化・効率化・最適化が可能となります。
一方、基幹システムは、会計、人事、販売、生産など、企業の主要な業務を種類ごとに分けて、それぞれの業務の効率化を目的に導入するシステムです。
基幹システムは、各業務ごとに独立したシステムとして機能し、部門内の業務最適化を図ります。また、部門間のデータのやり取りや連携には、手作業やカスタムメイドのインターフェースが必要となる場合があります。
ERPは、全社的な業務最適化を目指すシステムです。一方、基幹システムは、部門ごとの業務最適化を目指すシステムです。
基幹システムがそれぞれが担当する情報の管理に特化しているのに対し、ERPは異なる業務データを統合し一元管理ができるため、情報資産の集約・活用や効果的な内部統制が可能となります。
このように、基幹システムは、それぞれが担当する情報の管理に特化しています。一方、ERPは、異なる業務データを統合し一元管理ができるため、情報資産の集約・活用や効果的な内部統制が可能です。
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ERPと基幹システムを選ぶ際は、次の3つのポイントに留意しましょう。
企業の規模とニーズは、ERPや基幹システムの選択において最も重要な要素の一つです。
大企業では、複数の部門や業務プロセスを統合するERPが適していることが多いです。一方、中小企業では、特定の業務を効率化するために基幹システムが効果的と言えるでしょう。
企業の成長段階や特定の業務ニーズに応じて、柔軟に対応できるシステムを選択することが重要です。
業界特有の要件もシステム選択において重要な要素です。例えば、製造業では生産管理や在庫管理が重要視される一方、サービス業では顧客管理やプロジェクト管理が重要です。
業界固有のニーズを満たすために、特定の業界に特化した機能を持つシステムを選択することが求められます。業界のニーズに対応できるシステムを導入することで、業務効率が大幅に向上します。
将来の成長と拡張性も考慮すべきポイントです。企業が成長し、業務が拡大するにつれて、システムも柔軟に対応できることが求められます。
ERPはスケーラビリティが高く、企業の成長に応じた機能拡張が容易です。一方、基幹システムは特定の業務に特化しているため、必要に応じて追加のシステムを導入することで、拡張性を持たせることが可能です。
将来のビジョンを見据えたシステム選択が重要となります。
上記のように、ERPと基幹システムはそれぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の業務の特性や目的に合わせて適切なシステムを選択することが重要です。
そこで以下では、Webインターフェースによって提供されるSuperStream-NXを導入した企業の事例をいくつか紹介します。
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※SuperStream-NXの業種・企業別の導入事例をこちらでご参照いただけます。ぜひ参考にしてください。
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ERPと基幹システムの選び方には、以下のようなポイントがあります。
上記を鑑みたうえで、Webインターフェースによって提供されるSuperStream-NXがおすすめです。SuperStream-NXは、キヤノンITソリューションズが提供する大手企業向けの統合基幹業務システムです。 SuperStream-NXの特徴には、以下のようなものがあります。
以上の理由から、SuperStream-NXをおすすめします。
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