トレンド情報 2023.09.22 (UPDATE:2025.03.15)
スーパーストリーム
2023年10月から施行予定のインボイス制度では、商取引の売り手側が一定の条件を満たす適格請求書(インボイス)を発行することで、正確な消費税計算と納税を促します。
ただし、企業が取引を行う際は、免税事業者と課税事業者を区別しておくことが重要です。
免税事業者とは、消費税の納付を免除されている事業者のことで、主に課税売上高が1,000万円以下の事業者を指します。
免税事業者は仕入税額控除が認められる適格請求書を交付できないため、取引先となる企業は、その分の消費税を多く納税することになります。インボイス制度の施行から6年間の経過措置が認められているものの、課税事業者が免税事業者と取引する際は注意が必要です。
そこで今回は、インボイス制度における免税事業者と課税事業者との違いや、企業への影響を解説します。
まだインボイス制度への対応や準備が整っていない方は、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度とは、企業間取引における消費税の計算や納税を行う際に、課税事業者が発行する請求書(インボイス)に記載された消費税額のみを控除できる制度のことです。
インボイスを発行できる事業者は、必要な手続きを経て「インボイス登録」を行った事業者のみとなるため、取引先(仕入れ先や委託先など)を選ぶ際は確認が必要となります。
もしインボイス登録がされていない事業者と取引を行った場合には、仕入税額控除を受けることができない可能性があるため、取引先を選ぶ際にはこれまで以上に十分な注意が必要です。
インボイス登録の有無を確認する際は、取引先の登録通知書で確認する方法や、国税庁の検索サイトなどからも確認可能です。また、取引先が法人の場合には「T➕13桁の法人番号」がインボイス登録番号となるため、国税庁の法人番号公表サイトから法人番号を取得して確認することもできます。
インボイス制度の具体的な仕組みは次の通りです。
売り手側が取引相手に対して、取引内容や消費税額が記載された請求書(インボイス)を発行します。次に、買い手側が請求書に記載された消費税額をもとに消費税の税額計算を行い、申告と納税を行います。
また、取引を行う前に、売り手側がインボイス登録を行っているかどうかを確認することが重要です。
インボイス制度の導入目的は、商業取引における消費税額と消費税率を正確に把握し、適正な納税を促すことにあります。
2019年の10月から消費税の軽減税率が導入されたことにより、現在は仕入税額が8%と10%の物が混在しています。そこで正しい消費税の納税額を算出するために、商品ごとの価格と税率が明記された書類の保存を義務付けるのがインボイス制度の目的の1つです。
また、インボイス制度では請求書などの書類を保存しなければならないため、脱税や納税ミスを防ぐこともできます。
インボイス制度を導入する背景には、働き方の多様化によるフリーランス人材の増加や、それに伴う免税事業者の増加が考えられます。
フリーランスや副業人材など、実際に事業を展開していながら売上や収入を申告せずに納税を逃れている人が増えているため、インボイス制度の導入によって確実に税収を確保し、全ての事業者が公平な競争環境の中でビジネスを展開できるようになるでしょう。
免税事業者や課税事業者とは、消費税の納税義務があるかどうかの違いで区別されるのが一般的です。
免税事業者とは、消費税の納税義務が免除されている事業者のことです。一方、消費税の申告と納税義務がある事業者は課税事業者と呼びます。
これまでは、課税事業者が免税事業者に対して支払った消費税に関しても、確定申告の際に消費税控除を受けることができました。しかし、インボイス制度の開始後は、免税事業者に支払った消費税の税額控除を受けることができなくなるため注意が必要です。
インボイス制度が始まる2023年10月1日以降は、インボイス制度に登録していない免税事業者との取引がある企業の、消費税負担が急激に増える可能性があります。
そこで、このような課税事業者の負担を軽減するために、国税庁がインボイス制度の開始後6年間の仕入税額控除の経過措置を設けました。
仕入税額控除の経過措置により、免税事業者からの請求書でも、課税事業者は一定割合の仕入税額控除を受けることが可能です。
2割特例の対象となる事業者は、免税事業者と取引のある課税事業者です。
免税事業者は主に課税売上高が1,000万円に満たない事業者のことを指しますが、インボイス制度の開始後は、インボイス登録を行っていない課税事業者でも2割特例に沿った処置が必要となります。
下記の図にあるように、インボイス制度における経過措置は制度開始後6年の間、免税事業者などからの課税仕入れについても仕入課税相当額の一定割合を仕入税額として控除できる制度です。
なお、最初の3年間は8割を控除できますが、残りの3年間は5割しか控除できなくなる点に注意が必要です。
出典:適格請求書等保存方式の概要 国税庁より
インボイス制度が開始されることにより、免税事業者に業務を発注する企業への影響が懸念されています。そこで以下では、課税事業者への主な影響(デメリット)を解説します。
課税事業者が免税事業者と取引を行う際に、インボイス制度の経過措置(2割特例)が適用されたとしても、課税業者との取引で生じる正規の消費税控除よりも控除される金額が小さくなります。
そのため、取引先を選ぶ際は、もともと課税対象の事業者を選ぶ方が節税に繋がる可能性が高いと言えるでしょう。
インボイス制度の経過措置(2割特例)の導入により、通常取引と2割特例を使い分ける必要があるため、税金の計算や請求書の作成などが複雑になる可能性があります。
税金の計算を間違えるとペナルティの対象となる可能性が生じるため、より慎重な経理業務への対応が求められます。
課税事業者が免税事業者との取引で注意すべきポイントとしては、主に次の4点があげられます。
上記のように、インボイス制度の開始後は、免税事業者との取引を行うことで消費税の納税額が増えることになります。仮に2割控除を受けたとしても、課税事業者との取引よりも負担が増えることに変わりはありません。
そこで「免税事業者との取引をできるだけ避ける」ことも手段の1つと言えるでしょう。そこで、もし取引内容や料金が同じであれば、課税事業を選ぶことをおすすめします。
現在免税事業者と取引中の課税事業者である場合には、取引先にインボイス登録を行ってもらい、課税事業者に転換してもらうのも良い方法です。
今後は課税事業者となる方が確実に事業を運営しやすくなると考えられるため、交渉してみることをおすすめします。
取引先の免税事業者が課税事業者への転換を拒否した場合には、取引額の減額を求めてみる方法もあります。
その際には、2割特例を踏まえたうえで、消費税額分の値引きをベースに交渉すると良いでしょう。ただし次に紹介するように、法律に抵触しない範囲で交渉する必要があります。
免税事業者に取引価格の減額を求める際に、買い手側が無理な要件を押し付けようとした場合には、独占禁止法や下請法の違反に問われる可能性があります。
そのため無理な交渉は行わず、どうしても取引が不可能と判断した場合には、取引先を変えるなどの対処を行うことが重要です。
以下では、インボイス制度への対応にクラウド会計システムの導入をおすすめする理由を5つ紹介します。
クラウド会計システムを導入することで、煩雑な消費税申告書の作成や計算を自動化できます。
クラウド会計システムを活用して日々の伝票入力を済ませておけば、決算期に必要な申告書の作成や消費税計算を自動化できるため、そのまま電子申告する際にも役立ちます。
クラウド会計システムの導入により、軽減税率への対応など、複雑かつ煩雑になりがちな作業を大幅に効率化できるでしょう。
クラウド会計システムを導入することで、消費税を申告する際の書類の正確性が増し、書類や計算した消費税額の信頼性が向上します。
また、デジタルデータを紙に出力する必要がなくそのまま電子申告に活用できるため、不要な工数と経費を削減できるといったメリットがあります。
クラウド会計システムを導入すれば、リモートワークが難しいと言われていた経理業務のリモートワークも可能です。
万一の災害や感染症の拡大など、会社に出勤ができないような緊急事態が起きても、インターネット環境とアクセス権さえあれば、いつどこからでも作業できます。
クラウド会計システムを導入することで、さまざまな法令や税制の改正にも容易に対応できます。
法令や税制の改正があれば、施行されるタイミングに合わせてシステムが自動的にアップロードされるため、経理担当者が業務をスムーズに遂行できるでしょう。
クラウド会計システムを導入することで、税務署の立ち入り調査があっても、膨大なデータの中から必要な情報を容易に抽出できます。
また、企業の重要なデータや情報を万全のセキュリティ体制で守ることができるため、安心して業務を遂行できるのもメリットと言えるでしょう。
このように、2023年10月1日からのインボイス制度の開始により、各企業の経理業務が煩雑化する可能性があります。特にインボイスを受領する側の企業では、2024年1月からの改正電子帳簿保存法への対応も必要となるため、クラウド会計システムによる一元管理が望ましいと言えるでしょう。
クラウド会計システムで管理を行うことで、消費税の計算やインボイスの保存などが自動的に行えるだけでなく、さまざまな業務を効率化できます。
そこでおすすめしたいのが、キヤノンITソリューションズの「SuperStream-NX」です。
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