トレンド情報 2024.01.04 (UPDATE:2025.03.15)
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年末調整は、毎年の恒例行事として多くの会社員にとって馴染み深いものですが、2023年1月には重要な変更がいくつか行われました。今回の変更は、税金の計算方法から控除の適用まで、従業員の手取り額に直接影響を与える可能性があるため注意が必要です。
特に重要なポイントは4つあり、この内容を理解しておくことで、大きな混乱を避けることができるでしょう。
そこで今回は、2023年の年末調整の変更点について、特に注意すべき4つのポイントを中心に、重要な点を詳しく解説します。企業の経理や人事、労務を担当する方は、ぜひ参考にしてください。
年末調整とは、給与所得者が1年間に支払うべき所得税額を正確に算出し、毎月の給与から差し引かれた源泉徴収税額との差額を精算する手続きのことです。
年末調整は、具体的に以下のようなプロセスを経て行われます。
所得税は、1年間の収入に対して計算される税金で、毎月の給与から概算の金額が天引きされています。
年末調整は、実際の収入と概算で天引きされた税額との差を調整し、正しい税額を確定させることです。
従業員は各種申告書を提出し、勤務先はそれをもとに計算を行い、源泉徴収票の作成と法定調書の提出を行います。
上記のように、年末調整は給与所得者にとって便利な仕組みであり、給与支払者の義務とされています。
日本では、会社などの給与支払者が代わりに調整を行い、年末調整によって正しい税額を確定させるのが目的です。これにより、従業員は自身で確定申告を行う手間を省くことができます。
年末調整によって、過払いがあれば還付され、不足があれば追加徴収されます。このプロセスは、通常10月末から12月上旬にかけて行われ、最終期限は翌年の1月31日です。
このように、年末調整は、給与所得者が正確な税額を支払い、税金に関する正しい処理を行うための重要な手続きと言えるでしょう。
2023年の年末調整には、いくつかの重要な変更点があります。そのため、経理や人事、労務を担当する方は、十分な注意が必要です。
以下に、2023年の年末調整の変更点と注意すべき4つのポイントを解説します。
電子取引やペーパーレス化の普及に伴い、国税庁が提供する証明書作成システムで控除証明書を作成し、提出できるようになりました。これにより、提出プロセスが変わる可能性があります。
住宅ローン控除の借入限度額、控除率、控除期間が変更され、住宅の種類や居住開始年に応じて、控除を受けることができる条件が変わりました。
非居住者扶養親族の適用範囲が変更され、特定の条件に当てはまらない人が除外されるようになりました。
退職手当を有する配偶者や扶養親族に関する申告欄が追加され、申告書の様式が変更されました。
上記の変更は、正確な税額の計算や適切な税務申告に影響を与えるため、経理や人事、労務を担当する方は、これらの変更に対応するための準備を行うことが大切です。
適切な年末調整を行うことで、従業員は適正な税額を支払い、企業は税務上の義務を果たすことができます。
そこで以下では、上記の4つの変更項目を詳しく解説します。
2023年の年末調整では、控除証明書の提出方法が変更されています。これは、国税庁が提供する証明書作成システムを通じて、控除証明書を作成し、提出できるようになったことに関連しています。
これまでにも、生命保険、地震保険、住宅ローンの控除証明書は提出可能でしたが、今年からは社会保険料や小規模企業共済掛金などの控除証明書も提出できるようになるところがポイントです。以下で、具体的なポイントを解説します。
多くの企業で進められている年末調整の電子化に伴い、証明書の電子提出が可能になりました。
国税庁が提供する証明書作成システムを利用して、控除証明書を作成し、提出することができます。
生命保険、地震保険、住宅ローンに加え、社会保険料や小規模企業共済掛金などの控除証明書も提出できるようになりました。
上記の変更により、年末調整の手続きが簡素化され、効率的に行えるようになることが期待されます。また、紙の書類を扱う手間が減り、環境保護にも寄与するでしょう。
2023年の税制改正により、住宅ローン控除の要件が以下のように変更されました。
令和4年から令和7年までの間に入居した場合、住宅の種類に応じた借入限度額、控除率、控除期間が変更されました。
新築等住宅の場合、認定住宅は借入限度額が5,000万円から4,500万円に、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円から3,500万円に、省エネ基準適合住宅は4,000万円から3,000万円に、一般住宅は3,000万円から0円に変更されました。
住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が、合計所得金額が「3,000万円以下」から「2,000万円以下」へ引き下げられました。
床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の新築住宅について、2023年末までに建築確認を受けている場合、合計所得金額が1,000万円以下であれば、住宅ローン減税の対象になります。
上記の変更は、省エネ性能の向上や長期優良住宅の取得を推進するためのものであり、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、住宅ローン控除を受けるために省エネ基準に適合していることが必須条件となります。
2023年の税制改正により、非居住者扶養親族の適用範囲に重要な変更がありました。
具体的には、以下のような変更が行われています。
2023年から、30歳以上70歳未満の国外居住親族は、特定の例外を除き、扶養控除の対象から外れることになりました。
例外として、留学生や障害者などは引き続き扶養控除の対象となります。
扶養控除を受けるためには、実際にその年中に支払った金額を「生計を一にする事実」欄に記載し「38万円送金書類」を提出または提示する必要があります。
なお、年間の支払金額が38万円未満の場合、扶養控除の適用を受けることはできません。
非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、親族関係書類(その親族が年齢30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった親族である場合には、親族関係書類に加えて留学ビザ等書類)及び送金関係書類又は38万円送金書類を提出する必要があります。
上記の変更は、国外居住親族に対する扶養控除の適用をより適正化するためのものです。税制のグローバル化に対応し、海外で仕事をしている年齢層を対象に扶養控除の対象外とすることで、税制の公平性を高めるのが目的です。
2023年の税制改正では、住民税に関する事項において、退職手当を受け取る可能性がある配偶者や扶養親族を明確にするための変更が行われました。
具体的には、以下のような変更があります。
退職手当を受け取る配偶者や扶養親族がいる場合、その人たちの合計所得が退職所得を含めなければ48万円以下になると、住民税では配偶者控除や扶養控除が適用される可能性があります。
しかし、この制度を利用していない人が多かったため、記入欄が追加されました。
2023年(令和5年)分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」において、住民税に関する事項に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が新設されました。
扶養すべき親族や配偶者に退職手当等の収入が見込まれる場合、所得税上では受けられない控除が、住民税では適用できるケースがあります。
個人で別途住民税の申告を行わないと適用漏れの恐れがあるため、この点が重要です。
この変更により、退職手当を受け取る可能性がある配偶者や扶養親族がいる場合、年末調整の際に適切な控除を受けられるようになります。また、申告書の記入漏れを防ぎ、税制の公平性を高めることが期待されます。
2023年の年末調整の手続きにおいては、これらの変更点をしっかりと把握し、適切な方法で申告書を記入することが重要です。
もし不明な点があれば、税理士や専門家に相談することをおすすめします。また、国税庁のウェブサイトや関連する公式資料を参照することで、最新の情報を得ることも可能です。
A.令和4年税制改正により、住宅ローン控除の借入限度額、控除率、控除期間が変更されました。特に新築等住宅の場合、令和4年から令和7年までの間に入居した場合の借入限度額や控除率が変更されています。
A.扶養控除の対象となる扶養親族の範囲が変更され「16歳以上の非居住者」のうち「30歳から69歳までの非居住者」が除外されました。なお、特定の条件を満たす場合は引き続き対象となります。
A.退職所得が見込まれる配偶者や扶養親族について、新たに申告が必要になりました。これにより、退職金に関する控除を適切に行うことができます。
A.保険料控除申告書の記載事項が簡素化され、提出が容易になりました。これにより、保険料控除の申告がスムーズに行えるようになります。
A.扶養控除等申告書の提出が簡略化され、前年から変更がない場合の提出が容易になりました。これにより、毎年の申告がより効率的に行えるようになります。
A.国外居住親族への送金関係書類の提出書類範囲が追加されました。これにより、扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において生活費または教育費に充てるために、38万円以上の送金を受けている者が明確になります。
A.住宅ローン控除申告書への借入金残高証明書の添付が不要になりました。これにより、申告書の提出がより簡単になります。
A.給与所得等明細書の電子交付に関する同意の変更がありました。これにより、電子交付の同意がより簡単になり、ペーパーレス化が進むことが期待されます。
A.床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅(特例特別特例取得)について、令和3年1月1日から令和4年12月31日の期間で適用されていました。今回の変更により、令和5年12月31日以前に建築確認を受けた住宅の取得においても適用とされました。
住宅ローン控除適用の所得要件が「2,000万円以下」へ引き下げられました。これにより、より多くの人が住宅ローン控除の恩恵を受けられるようになります。
このように、2023年1月に変更された年末調整の内容は、2023年の年末調整における重要なポイントであり注意点となります。
そこで、この記事内で解説した4つの項目を十分に理解した上で処理するようにしましょう。
また、従業員の給与や人事に関する情報の管理には、クラウドで管理できる人事給与システムの導入が欠かせません。クラウド型のシステムであれば、今回のような法律や制度の改正に合わせたアップロードが自動的に行われるため、安心です。
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