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従業員のつみたてNISAで企業が注意すべき年末調整のポイントを解説

従業員のつみたてNISAで企業が注意すべき年末調整のポイントを解説

 スーパーストリーム

つみたてNISA(ニーサ)や一般NISAは、少額投資の非課税制度の1つで、従業員にとって大きなメリットをもたらす制度です。各種NISAで出た利益は原則として非課税となるため、所得として年末調整する必要がありません。

ただし、職場つみたてNISAを企業で導入する際など、つみたてNISAに関する詳しい内容を知っておく必要があるでしょう。また、職場つみたてNISAを活用することで、企業が福利厚生を充実させながら、奨励金を受け取れる可能性があるため、注意が必要です。

そこで今回は、従業員のつみたてNISAで企業が注意すべき年末調整のポイントなどを詳しく解説します。企業の経理を担当する方は、ぜひ参考にしてください。

つみたてNISAや一般NISAとは?

つみたてNISAとは、日本の少額投資非課税制度の一つで、特に少額からの長期・つみたて・分散投資を支援するために設計されています。この制度は2018年1月からスタートし、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。

つみたてNISAの主な特徴

非課税対象:一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が非課税。

口座開設可能数:1人1口座。

非課税投資枠:新規投資額で毎年40万円が上限(20年間で最大800万円)。

非課税期間:最長20年間。

投資可能期間:2018年~2023年。

投資対象商品:長期のつみたて・分散投資に適した一定の投資信託。

一般NISA について

一般NISAは、つみたてNISAとは別に、より広範な金融商品への投資を対象とした非課税制度で、一般NISAとも呼ばれます。

一般NISAでは、上場株式や投資信託などへの投資が非課税となりますが、非課税期間や投資額には制限があります。

2024年からは新しいNISAがスタート

また、2024年からは新しいNISA制度がスタートし、現行のNISAは終了します。

新しいNISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠が併用可能となり、非課税期間が無期限になるなど、さらに拡充された内容となっています。これにより、投資家はより長期的な資産形成を目指すことが可能です。

つみたてNISAや一般NISAの基本的なメリット

つみたてNISAのメリット

非課税期間が長い

つみたてNISAでは、運用益・分配金が最長20年間非課税となります。通常、投資から得られた利益には約20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAではこの税金が免除されます。

少額からの投資が可能

金融機関によって異なりますが、毎月のつみたて額を少額から始めることができます。これにより、生活に負担をかけずに長期的な資産形成を目指すことが可能です。

積立型投資が可能

つみたてNISAはつみたて投資のみが認められており、定期的に自動で買い付けるため、投資のタイミングを見極める必要がありません。

ドル・コスト平均法が利用できる

価格変動のある金融商品を一定額ずつ分けて購入することで、平均買付単価を抑えることができます。

初心者にも適している

投資初心者でも低コストかつ長期的に運用が可能であり、金融庁が選定した投資信託やETFなど、リスクを抑えた商品から選ぶことができます。

一般NISAのメリット

広範な金融商品への投資が可能

NISAでは、上場株式や投資信託など、より多くの金融商品への投資が非課税となります。

非課税期間が長い

一般NISAでは最長5年間、年間120万円の投資における運用益・配当金・分配金が非課税になります。

これらのメリットを活かすことで、資産運用の効率を高めることができます。ただし、投資にはリスクが伴うため、自身の投資目的やリスク許容度を考慮した上で、適切な制度を選択することが重要です。また、つみたてNISAと一般NISAは同一年での併用ができないため、どちらか一方を選ぶ必要があります。

年末調整とは?基本的な概念と役割

年末調整とは、給与所得者が1年間に支払うべき所得税額を正確に計算し、毎月の給与から差し引かれた源泉徴収税額との差額を精算する手続きです。

具体的には、以下のような役割があります。

所得税の調整

給与所得者の1年間の収入に対して計算される所得税は、毎月の給料から概算で天引きされます。年末調整では、実際の収入額と控除額をもとに正確な税額を計算し、過不足を調整します。

還付または追加徴収を行う

年末調整を通じて、もし天引きされた税額が実際の税額より多ければ、その差額が給与所得者に還付されます。逆に、少なければ追加で徴収されます。

勤務先の企業が手続きを行う

給与所得者は、勤務先から指示された期間内に必要な書類を提出し、勤務先が年末調整の計算と手続きを行います。

年末調整は、給与所得者にとって、自分で確定申告を行う手間を省くことができる便利な制度です。また、勤務先は給与から源泉徴収を行う義務があり、年末調整もその一環として行われます。

つみたてNISAや一般NISAの年末調整

つみたてNISAや一般NISAは、一定額までの投資に対して利益が非課税となる日本の投資制度です。非課税制度であるため、年末調整の対象外となります。

つみたてNISAや一般NISAの口座内の投資から得られる利益については、年末調整や税務申告の必要はありません。

ただし、ETFの配当を「比例配分方式」以外で受け取る場合や、20年の非課税期間が終了した後に資産を課税口座に移す場合は、税務申告が必要になることがあります。

一方、一般NISAも税制上の優遇がありますが、投資可能額や非課税期間については異なるルールがあります。

つみたてNISAと同様に、一般NISAも通常は年末調整の対象外です。

一般NISAもつみたてNISAと同様に、NISAの口座内の利益が非課税限度額を超えた場合や非課税期間が終了した場合は、税務申告が必要になることがあります。

これらは一般的なガイドラインであり、個々の状況によって異なる場合があります。個人的なアドバイスについては、税務の専門家に相談するのがおすすめです。

企業が知っておくべきつみたてNISAや一般NISAの税制優遇

つみたてNISAの場合

企業が従業員に対してつみたてNISA奨励金を支給する場合、毎月1,000円を限度として非課税となる措置があります。これは3年間の時限措置です。

政府は、NISA奨励金を出す企業に対して税制優遇措置を提供し、法人税を減税する仕組みを導入しています※。

従業員に対して職場つみたてNISAの奨励金を給付した場合の賃上げ促進税制に関する内容は、国税庁のホームページよりご確認ください。

一般NISAの場合

一般NISA口座で取引した金融商品から得られた売却益や配当金は非課税です。ただし、利用は5年間で、1年間の非課税枠は最大120万円までです。

これらの税制優遇は、企業が従業員の資産形成を支援するための福利厚生として活用できる点で重要です。企業はこれらの制度を利用して、従業員のモチベーション向上やリテンションの強化につなげることができます。また、企業自身の税負担を軽減する効果も期待できるでしょう。

なお、詳しい情報や個別の事情については、税務専門家に相談することをお勧めします。

従業員のつみたてNISAや一般NISAと年末調整の手続き

つみたてNISAや一般NISAを行っている従業員に関して、年末調整の手続きは以下のようになります。

つみたてNISAの場合

つみたてNISAは年末調整の対象ではありません。これは、つみたてNISAで得た利益が最長20年間非課税であるため、年末調整や確定申告を行う必要がないからです。

従業員がつみたてNISAを利用している場合、会社側で特別な手続きを行う必要はありません。ただし、従業員が他に収入がある場合には、確定申告が必要な場合があるため、その点については周知する必要があります。

一般NISAの場合

一般NISAも基本的には年末調整の対象ではありません。NISA口座やつみたてNISA口座を利用している場合、通常は年末調整や確定申告が不要です。

しかし、以下の条件に当てはまり、かつ利益が20万円を超える場合は確定申告が必要になることがあります。

  • 分配金や配当金の受け取り方式を「株式数比例配分方式」以外にしている場合
  • 外国株を売却して為替差益が発生している場合

従業員がこれらの条件に該当する場合、会社側で確定申告の必要性について通知することが推奨されます。

職場つみたてNISAを導入する際の企業のチェックリスト

職場つみたてNISAとは、従業員が職場でNISAを利用して資産形成を行うことができる制度です。事業主や金融機関と契約し、給与や賞与から天引きや口座引き落としで、上場株式や株式投資信託などの対象商品を定額購入し、売却益は非課税となります。

つみたてNISAは、少額からの投資が可能であるため、福利厚生の増進を目的としています。

職場つみたてNISAを導入するメリットとしては、給与天引きに対応している企業もあり、投資に詳しくない人や初心者でも始めやすいこと、運用益が20年間非課税になることで将来的に得る利益が大きくなる可能性があることが挙げられます。また、運用期間に制限がなく、いつでも資産の引き出しが可能で、低コストで資産形成ができる点もメリットです。

一方、デメリットとしては、一般NISAと併用できないことです。NISA口座は、原則一人一口座まで開設できますが、すでに一般NISAの口座を持っている場合、新たに職場つみたてNISAに加入できません。また、会社が契約している証券口座へ「つみたてNISA」口座を開くことになるので、金融機関を自分で選ぶことができず、ファンド選択の自由が制限される可能性があるという点です。

企業が職場つみたてNISAを導入する際にチェックすべき事項は以下の通りです。

制度を理解すること

職場つみたてNISAの仕組みやメリット、デメリットを理解しておくことが重要です。

従業員への周知を徹底すること

制度の内容を従業員に正しく伝え、理解を促すための資料やセミナーを用意することが必要です。

金融機関との連携を確認すること

職場つみたてNISAを取り扱う金融機関と連携し、口座開設から運用までのプロセスを確認しましょう。

内規を整備すること

職場つみたてNISAを導入するにあたっては、社内規程の整備や改定が必要となる場合があります。

給与天引きを設定すること

つみたて金額の給与天引きを行う場合、そのシステムを設定し、従業員への説明を行いましょう。

投資教育の提供が必要となること

従業員が資産形成を行う上で必要な知識を得られるよう、投資教育の機会を提供しましょう。

運用商品を選定すること

従業員が投資できる商品を選定し、そのリスクや特性を理解してもらうことが大切です。

サポート体制を構築すること

従業員が疑問や問題を抱えたときに、相談しやすい体制を整えましょう。

これらのチェックリストを参考にして、職場つみたてNISAの導入を検討してください。なお、導入にあたっては、金融庁のウェブサイトや専門家のアドバイスを活用すると良いでしょう。

また、従業員のニーズや企業文化に合わせたカスタマイズも重要です。適切な準備と運用により、従業員の資産形成を支援し、企業の福利厚生を充実させることが可能です。

つみたてNISAに関する年末調整のまとめ

上記のように、つみたてNISAは年末調整の対象ではありません。これは、つみたてNISAの運用益が非課税であるため、年末調整や確定申告の必要がないからです。

そのため、従業員がつみたてNISAを利用している場合、労務や経理担当者が特に何かをする必要はないとされています。

ただし、従業員が他の収入がある場合には、確定申告が必要な例を説明し、該当する場合には確定申告を促す必要があります。

これらの情報を基に、年末調整の際にはつみたてNISAに関連する特別な手続きは不要であることを従業員に周知することが大切です。

また、年末調整をスムーズに行うためには、クラウド会計システムや人事給与システムの活用が欠かせません。

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