トレンド情報 2024.11.16 (UPDATE:2025.04.15)
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オペレーティングリースは、設備投資の選択肢として近年注目されています。初期投資を抑え、最新の設備を導入できる魅力的なリース方式ですが、会計処理や税務上の扱いなど、疑問点も多いのではないでしょうか。
本記事では、オペレーティングリースの仕組み、会計処理、メリット・デメリットを詳しく解説します。特に、新リース会計基準による影響についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
オペレーティングリースとファイナンスリースは、どちらもリース契約の一種ですが、その性質や会計処理が大きく異なります。以下に、両者の違いを表にまとめましたので、参考にしてください。
項目 |
ファイナンスリース |
オペレーティングリース |
定義 |
リース期間中に経済的な実益がすべて借手に移転するとみなされるリース契約 |
経済的な実益が借手に移転しないとみなされるリース契約 |
会計処理 |
リース資産とリース負債を計上(オンバランス) |
リース料を費用として計上(オフバランス) ※新リース会計基準ではオンバランス処理が必要 |
所有権 |
リース期間終了後、リース資産の所有権が借手に移転する |
リース期間終了後、リース資産の所有権はリース会社に残る |
契約期間 |
一般的に長期間(3年以上) |
比較的短期間 |
リース料 |
リース資産の経済的寿命全体にわたる使用料 |
リース期間中の使用料 |
メリット |
リース期間中に固定資産として計上できる、長期的な資金調達手段となる |
初期投資を抑えられる、費用として処理できるため利益を圧縮できる |
デメリット |
リース料が高額になる場合がある、借入金として扱われるため負債が増加する |
リース期間中に自由に交換・解約ができない場合がある |
※新リース会計基準の適用については、新リース会計基準の適用はいつから?対象企業への影響と対策を徹底解説の記事をご参照ください。
以下で、オペレーティングリースの特徴や、ファイナンスリースとの違いを詳しく解説します。
オペレーティングリースは、比較的短期間の資産使用を目的としたリース契約です。資産の所有権はリース会社に残り、リース期間終了後に借主が資産を返却する形式です。リース料には資産の使用料やメンテナンス費用が含まれます。
オペレーティングリースは、技術革新が速い分野や短期間の資産利用を必要とする場合に適しているリースの手法です。
オペレーティングリースでは、資産の維持管理はリース会社が行うため、借主は運用コストを抑えながら最新の設備を利用することが可能です。
ファイナンスリースは、長期間の資産使用を目的とし、リース期間終了後に資産の所有権が借主に移転することを前提としたリース契約です。一方、オペレーティングリースは短期間の資産使用を目的としており、資産の所有権はリース会社に残ります。
ファイナンスリースは資産の購入代替手段として機能し、リース料には資産の購入価格と同等の金額が含まれます。オペレーティングリースの場合は、資産の運用やメンテナンスをリース会社に任せることができ、リース料は資産の使用料に基づいて算出されるのが特徴です。
オペレーティングリースとして判定されるためには、以下のような基準があります。
上記の基準を満たすことで、オペレーティングリースとして認識されます。
関連記事:ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを比較して解説
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2008年4月1日に施行された、日本国内の「リース会計基準」では、リース契約で資産を借り入れた場合には、ファイナンスリースかオペレーティングリースかを振り分け、そのどちらかを明確に使い分けて会計処理を行ってきました。
しかし、国際基準である「国際財務報告基準(IFRS)」では異なる手法を採用しており、従来の日本のリース会計基準はグローバル化が進む現代のビジネス環境に適さないという問題が生じていました。
そこで、IFRSが基準を改訂したことから、日本のリース会計基準を見直す動きが進んでいます。
関連記事:新リース会計基準におけるIFRSの重要性とポイント、企業への影響を解説
具体的な流れとして、IFRSの改訂を受け、2019年1月1日以降にIFRSを適用している企業には「新リース会計基準」が適用されるようになりました。
従来のリース会計基準では、ファイナンスリースとオペレーティングリースを区別しており、バランスシートへの計上はファイナンスリースのみとなっていました。そのため、財務諸表の内容が異なり、正確な企業の財務状況を把握しにくいという問題が生じていたのです。
出典:会計ノーツ
新リース会計基準では、従来のファイナンスリースとオペレーティングリースの区別が廃止され、すべてのリース契約において、リース期間中に資産を使用する権利を持つ「使用権資産」と、リース料の支払い義務を表す「リース負債」を計上することが義務付けられました。
関連記事:新リース会計基準の概要と改正のポイント、企業に必要な準備と対策を解説
出典:会計ノーツ
この変更により、企業はバランスシートにリースに関わる資産と負債をより正確に反映させることができ、財務状況の透明性が高ます。
出典:会計ノーツ
新リース会計基準では、リース料は原則として使用権資産とリース負債の償却に充当されます。リース料の支払いでは、使用権資産の減少とリース負債の減少を同時に引き起こします。
そのため、リース期間を通じて使用権資産は減価償却され、その金額を費用として計上しなければなりません。一方、リース期間を通じてリース負債が返済されるため、その金額を費用計上できます。
なお、リース料の支払いが、使用権資産とリース負債の償却額を上回る場合は、その差額が費用として計上されます。
使用権資産は、リース開始日に計上されます。計上額は、リース負債の金額に、リース開始日までに支払われたリース料や初期直接費用を加えた金額です。
使用権資産は、リース期間を通じて減価償却されます。減価償却方法は、リース資産の経済的耐用年数や減価償却方法などを考慮して適切に選択されます。
関連記事:新リース会計基準を導入する際に必要となる仕訳や会計処理方法を解説
関連記事:オペレーティングリースとは?仕訳方法やメリット・デメリットを解説
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オペレーティングリースのメリットには、主に次の4つが挙げられます。
オペレーティングリースを利用することで、高額な設備投資を一気に負担する必要がなくなるため、初期投資を大幅に抑えることが可能です。これにより、手元の資金を他の事業や運転資金に充てることができ、企業のキャッシュフローを改善できます。
特に、新事業の立ち上げや設備の入れ替えなど、まとまった資金が必要となる場合に有効です。
オペレーティングリースは、リース期間中に、最新設備を導入しやすいのもメリットです。リース契約終了後には、新しいモデルに切り替えることも容易であるため、常に最新の技術を活用した生産活動を行うことができます。
このように、オペレーティングリースを利用することで、製品の品質向上や生産性の向上を図り、競争力を強化できることもメリットです。。
オペレーティングリースは、ファイナンスリースに比べて契約期間が短く、柔軟な設定が可能です。そのため、事業の拡大や縮小に合わせて、リース契約の内容を変更したり、契約を中途解約したりすることができるのも魅力です。また、リース期間終了後には、設備を返却するか、新しいリース契約を結ぶかを選択できます。
オペレーティングリースではリース料を全額経費として処理できるため、課税所得を減額でき、法人税の節税効果に期待ができます。特に、高額な設備投資が必要な場合、その効果は大きくなるでしょう。
ただし、税制は頻繁に改正されるため、専門家に相談の上で、最適な方法を選択することが重要です。
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一方、オペレーティングリースには、次のようなデメリットがあります。
オペレーティングリースは、ファイナンスリースに比べてリース料が割高になる傾向があります。これは、リース会社が保守・メンテナンス費用やリスクを負担するため、その分がリース料に転嫁されるためです。そのため、長期的に利用すると、ファイナンスリースよりも総支払額が多くなる可能性があります。
オペレーティングリースでは、リース期間が終了してもリース資産の所有権はリース会社に移転します。そのため、自社で自由に処分したり、改造したりすることができません。また、将来的な資産価値の変動による損益も得られないのがデメリットです。
オペレーティングリースは、ファイナンスリースよりも比較的柔軟な利用が可能です。
しかし、契約期間中に自由に解約できるわけではなく、途中で事業計画が変更になったり、不要な設備になったりして解約する場合には、違約金を支払わなければならないことが多いです。
また、リース期間中に設備の仕様変更や追加購入を希望する場合も、リース会社との交渉が必要となります。
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以下では、大手企業がオペレーティングリースを活用する代表的な事例を紹介します。
多くのIT企業が、オペレーティングリースを活用してITインフラを更新しています。これは、IT業界の技術革新が非常に速いため、常に最新の機器を導入し続ける必要があるためです。
オペレーティングリースを利用することで、高額な初期投資を抑えつつ、最新鋭のサーバーやネットワーク機器を導入し、システムの安定性やセキュリティを高めることができます。
製造業においても、オペレーティングリースが広く活用されています。特に、新製品の開発や生産量の増加に伴い、新たな生産設備が必要になった場合に有効です。
オペレーティングリースを利用することで、初期投資を抑えつつ、最新の生産設備を導入し、生産性の向上や製品品質の安定化を図ることができます。
企業が業務効率化のために導入するソフトウェアも、オペレーティングリースの対象となります。特に、高額なERPシステムやCRMシステムなどを導入する場合、オペレーティングリースを利用することで、初期費用を抑え、月々の支払いで導入することが可能です。また、ソフトウェアのバージョンアップや機能追加にも柔軟に対応できます。
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このように、企業がオペレーティングリース契約を利用することで最新の設備を導入しやすくなるため、節税対策を講じつつ、企業の競争力を強化することも可能です。
ただし、資産を一括購入するケースよりも、支払い総額が高額になる場合もあるため、リース契約を締結する前に、いくつかのリース会社からの見積もりをとって比較することも重要です。
そして、リース契約を締結した後は、適切な会計処理を行いましょう。締結するリース契約の種類によって仕分けの方法が異なるため、自社が採用するリース会計基準に基づいた処理を行うことが大切です。
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