トレンド情報 2024.02.24 (UPDATE:2024.10.24)
スーパーストリーム
利益率とは、企業の収益力を表す指標の1つです。売上高に対する利益の割合を示すことで、企業の経営効率や競争力を評価できます。
しかし、利益率には種類があり、計算方法も異なります。また、業種によっても利益率の目安となる水準も変わります。そのため、利益率を正しく理解し、自社の状況に合わせて改善策を考えることが、経営の成功につながる秘訣です。
そこで今回は、利益率の種類と計算方法、業種別の目安と高めるためのポイントを解説します。自社の利益率を改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
利益率とは、売上高に対する利益の割合を示すものです。利益率にはいくつかの種類がありますが、どれも会社の収益性や競争力を測るための重要な指標です。
利益率を改善するには、販売数や販売単価を上げたり、売上原価や人件費を下げたりするなどの方法があります。また、自社の利益率の推移や他社との比較を行うことで、経営状況の分析や改善に役立てることができます。
利益には、主に「売上総利益(粗利益)」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの種類があります。これらを理解することは、自社事業の業績を測る上で、非常に重要な要素です。
以下では、利益率の種類5つが表す意味を解説します。
売上総利益とは、粗利益とも呼ばれる、売上高から売上原価を引いた利益のことです。売上総利益は、商品やサービスの付加価値や魅力度を表します。
営業利益とは、売上総利益から販売費や一般管理費を引いた利益です。営業利益は、営業活動の効率や収益力を表します。
経常利益とは、営業利益に営業外収益や営業外費用を加減した利益です。経常利益は、企業全体の収益力や安定度を表します。
税引前当期純利益とは、経常利益に特別損益を加減した利益です。税引前当期純利益は、税金を支払う前の最終利益のことです。
当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税等を引いた利益です。当期純利益は、税金を支払った後の最終利益のことです。
上記で解説したそれぞれの利益率の計算方法は、以下のとおりです。
売上総利益率(粗利率)=売上総利益(粗利)÷売上高×100%
売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100%
経常利益率=経常利益÷売上高×100%
税引前当期純利益率=税引前当期純利益÷売上高×100%
当期純利益率=当期純利益÷売上高×100%
次に、上記の式を使って、利益率の計算をしてみましょう。例として、以下のような損益計算書があるとします。
項目 |
金額(単位:万円) |
売上高 |
10,000 |
売上原価 |
4,000 |
売上総利益(粗利) |
6,000 |
販売費 |
1,000 |
一般管理費 |
1,000 |
営業利益 |
4,000 |
営業外収益 |
200 |
営業外費用 |
100 |
経常利益 |
4,000 |
特別損益 |
▲100 |
税引前当期純利益 |
4,000 |
法人税等 |
1,000 |
当期純利益 |
3,000 |
上記の場合、各利益率は以下のように計算できます。
1.売上総利益率(粗利率)=6,000÷10,000×100=60%
2.売上高営業利益率=4,000÷10,000×100=40%
3.売上高経常利益率=4,100÷10,000×100= 41%
4.売上高税引前当期純利益率=4,000÷10,000×100= 40%
5.売上高当期純利益率=3,000÷10,000×100=30%
利益率の目安は、業種によって異なります。そこで、以下では、さまざまな業種別の営業利益の平均値を一覧表で見てみましょう。
なお、近年は新型コロナウィルスの影響が強くみられるため、2018年から2022年までの数値を挙げてみました。ぜひ参考にしてください。
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
2022 |
対象企業数 |
|
水産・農林業 |
5.1 |
5.1 |
4.7 |
5.6 |
5.4 |
11 |
卸売業 |
3.7 |
3.9 |
2.8 |
2.2 |
2.6 |
325 |
食料品 |
4.3 |
3.5 |
3.8 |
3.9 |
4.3 |
125 |
建設業 |
6.1 |
5.6 |
6.0 |
6.1 |
5.9 |
163 |
非鉄金属 |
5.8 |
4.7 |
1.7 |
4.1 |
5.5 |
34 |
鉱業 |
14.7 |
15.9 |
13.5 |
14.0 |
24.2 |
6 |
機械 |
9.5 |
8.2 |
7.2 |
5.9 |
8.2 |
230 |
サービス業 |
7.7 |
8.4 |
5.2 |
2.4 |
6.1 |
544 |
金属製品 |
7.3 |
7.0 |
6.0 |
6.0 |
6.8 |
92 |
情報・通信業 |
8.9 |
8.3 |
7.8 |
7.1 |
7.6 |
567 |
医薬品 |
-399.3 |
-276.1 |
-745.9 |
-3191.3 |
-2230.0 |
72 |
不動産業 |
11.9 |
10.6 |
9.2 |
5.8 |
9.7 |
141 |
陸運業 |
7.9 |
8.0 |
7.3 |
0.0 |
4.0 |
64 |
小売業 |
4.2 |
4.0 |
2.9 |
-0.3 |
3.4 |
337 |
化学 |
8.4 |
7.7 |
7.3 |
8.2 |
9.1 |
213 |
繊維製品 |
5.9 |
5.3 |
3.4 |
1.9 |
5.2 |
50 |
電気機器 |
6.6 |
6.1 |
5.5 |
5.6 |
6.6 |
244 |
ガラス・土石製品 |
8.4 |
8.1 |
6.4 |
7.5 |
8.1 |
57 |
輸送用機器 |
4.5 |
4.6 |
3.4 |
2.2 |
3.7 |
87 |
石油・石炭製品 |
6.9 |
6.0 |
3.5 |
6.7 |
5.8 |
10 |
パルプ・紙 |
4.6 |
4.8 |
5.6 |
5.6 |
6.7 |
25 |
その他製品 |
6.4 |
5.0 |
4.6 |
6.1 |
7.8 |
111 |
精密機器 |
-7.0 |
-12.1 |
-7.4 |
-7.5 |
-5.8 |
49 |
ゴム製品 |
9.8 |
7.5 |
5.9 |
6.1 |
6.9 |
19 |
鉄鋼 |
6.1 |
5.4 |
5.5 |
4.5 |
7.5 |
42 |
倉庫・運輸関連 |
5.9 |
6.2 |
5.9 |
5.4 |
7.0 |
39 |
海運業 |
5.5 |
5.6 |
4.2 |
7.7 |
27.7 |
11 |
空運業 |
7.8 |
7.3 |
5.4 |
-19.8 |
-5.0 |
5 |
電気・ガス業 |
8.3 |
7.5 |
8.3 |
7.0 |
4.2 |
25 |
※上記の数値は、各上場企業の有価証券報告書を元に算出しています。(単位%)
それでは次に、利益率を高めるためのポイントを解説します。
利益率を高めるためには、売上を上げるかコストを下げるかのどちらか、もしくは両方を行う必要があります。
具体的には、以下の4つのポイントに注力するのが効果的です。
それぞれの方法とその効果について、詳しく解説していきます。
販売数を上げることで、売上高が増加し、利益率が向上します。
販売数を上げるためには、新規顧客を獲得することや、既存顧客の購入頻度を高めることが重要です。
販売数を上げる方法としては、以下のようなものがあります。
これらの方法には、インターネットやSNSを活用したものや、地域密着型のものなど、さまざまな手法があります。そこで、自社の商品やサービス、ターゲットに合わせて、効果的な方法を選択しましょう。
販売単価を上げることで、売上高が増加し、利益率が向上します。
販売単価を上げるためには、顧客に付加価値を提供することや、商品やサービスの単価を見直すことが重要です。
販売単価を上げる方法としては、以下のようなものがあります。
これらの方法は、顧客のニーズや満足度に応じて、適切な価格設定を行うことがポイントです。ただし、価格を上げる際には、顧客離れを起こさないように、タイミングや価格差を考慮する必要があります。
売上原価を下げることで、利益が増加し、利益率が向上します。
売上原価とは、商品やサービスを製造するためにかかった費用のことです。売上原価を下げるためには、仕入れや製造のコストを削減する必要があります。
売上原価を下げる方法としては、以下のようなものがあります。
これらの方法は、商品やサービスの品質や顧客満足度を維持しながら、コストを抑えることができます。ただし、コストダウンのために、品質やサービスが低下することは避けなければなりません。
人件費を見直すことで、利益が増加し、利益率が向上します。
人件費とは、従業員に支払う給与や賞与などの費用のことです。人件費を見直すためには、業務効率化や人員削減などの方法があります。
人件費を見直す方法としては、以下のようなものがあります。
これらの方法は、人件費を削減するだけでなく、従業員のモチベーションや生産性を高めることもできます。ただし、人件費の削減のために、従業員の負担や不満が増えることは避けなければなりません。
上記のように、利益率は、会社の収益性を測る重要な指標です。利益率の目安は業界の特性や競争環境によって異なりますが、一般的に資本集約型の業界では利益率が低く、知的集約型の業界では利益率が高い傾向にあります。
利益率の業種別の目安を知ることは、自社の収益力を業界の平均と比較することや、他社の収益力を分析するのに役立つでしょう。
このように、利益率を管理することは、経営の成功につながります。それは、利益率を管理することで、自社の収益力や競争力を把握し、経営判断や経営戦略を立てることができるからです。また、利益率を管理することで、業務の効率化やコスト削減、付加価値の向上などの改善策を実施することができます。
そこで、利益率を正確かつ迅速に管理するためには、クラウド会計システムの導入がおすすめです。もし、自社の事業に最適なシステムがわからない場合は、いつでもスーパーストリームにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。