日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

利益率の種類と計算方法、業種別の目安と高めるためのポイントを解説

利益率の種類と計算方法、業種別の目安と高めるためのポイントを解説

 スーパーストリーム

利益率とは、企業の収益力を表す指標の1つです。売上高に対する利益の割合を示すことで、企業の経営効率や競争力を評価できます。

しかし、利益率には種類があり、計算方法も異なります。また、業種によっても利益率の目安となる水準も変わります。そのため、利益率を正しく理解し、自社の状況に合わせて改善策を考えることが、経営の成功につながる秘訣です。

そこで今回は、利益率の種類と計算方法、業種別の目安と高めるためのポイントを解説します。自社の利益率を改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

利益率とは?利益率の重要性も解説

利益率とは、売上高に対する利益の割合を示すものです。利益率にはいくつかの種類がありますが、どれも会社の収益性や競争力を測るための重要な指標です。

利益率を改善するには、販売数や販売単価を上げたり、売上原価や人件費を下げたりするなどの方法があります。また、自社の利益率の推移や他社との比較を行うことで、経営状況の分析や改善に役立てることができます。

利益率の種類5つと計算方法

利益には、主に「売上総利益(粗利益)」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの種類があります。これらを理解することは、自社事業の業績を測る上で、非常に重要な要素です。

利益率の種類とそれぞれの意味を解説

以下では、利益率の種類5つが表す意味を解説します。

1.売上総利益(粗利益)

売上総利益とは、粗利益とも呼ばれる、売上高から売上原価を引いた利益のことです。売上総利益は、商品やサービスの付加価値や魅力度を表します。

2.営業利益

営業利益とは、売上総利益から販売費や一般管理費を引いた利益です。営業利益は、営業活動の効率や収益力を表します。

3.経常利益

経常利益とは、営業利益に営業外収益や営業外費用を加減した利益です。経常利益は、企業全体の収益力や安定度を表します。

4.税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、経常利益に特別損益を加減した利益です。税引前当期純利益は、税金を支払う前の最終利益のことです。

5.当期純利益

当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税等を引いた利益です。当期純利益は、税金を支払った後の最終利益のことです。

利益率の計算方法

上記で解説したそれぞれの利益率の計算方法は、以下のとおりです。

1.売上総利益率(粗利率)の計算方法

売上総利益率(粗利率)=売上総利益(粗利)÷売上高×100%

2.営業利益率の計算方法

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100%

3.経常利益率の計算方法

経常利益率=経常利益÷売上高×100%

4.税引前当期純利益率の計算方法

税引前当期純利益率=税引前当期純利益÷売上高×100%

5.当期純利益率の計算方法

当期純利益率=当期純利益÷売上高×100%

利益率計算の事例

次に、上記の式を使って、利益率の計算をしてみましょう。例として、以下のような損益計算書があるとします。

項目

金額(単位:万円)

売上高

10,000

売上原価

4,000

売上総利益(粗利)

6,000

販売費

1,000

一般管理費

1,000

営業利益

4,000

営業外収益

200

営業外費用

100

経常利益

4,000

特別損益

▲100

税引前当期純利益

4,000

法人税等

1,000

当期純利益

3,000

上記の場合、各利益率は以下のように計算できます。

1.売上総利益率(粗利率)=6,000÷10,000×100=60%

2.売上高営業利益率=4,000÷10,000×100=40%

3.売上高経常利益率=4,100÷10,000×100= 41%

4.売上高税引前当期純利益率=4,000÷10,000×100= 40%

5.売上高当期純利益率=3,000÷10,000×100=30%

会計システム刷新の勘所

利益率の業種別の目安

利益率の目安は、業種によって異なります。そこで、以下では、さまざまな業種別の営業利益の平均値を一覧表で見てみましょう。

なお、近年は新型コロナウィルスの影響が強くみられるため、2018年から2022年までの数値を挙げてみました。ぜひ参考にしてください。

 

2018

2019

2020

2021

2022

対象企業数

水産・農林業

5.1

5.1

4.7

5.6

5.4

11

卸売業

3.7

3.9

2.8

2.2

2.6

325

食料品

4.3

3.5

3.8

3.9

4.3

125

建設業

6.1

5.6

6.0

6.1

5.9

163

非鉄金属

5.8

4.7

1.7

4.1

5.5

34

鉱業

14.7

15.9

13.5

14.0

24.2

6

機械

9.5

8.2

7.2

5.9

8.2

230

サービス業

7.7

8.4

5.2

2.4

6.1

544

金属製品

7.3

7.0

6.0

6.0

6.8

92

情報・通信業

8.9

8.3

7.8

7.1

7.6

567

医薬品

-399.3

-276.1

-745.9

-3191.3

-2230.0

72

不動産業

11.9

10.6

9.2

5.8

9.7

141

陸運業

7.9

8.0

7.3

0.0

4.0

64

小売業

4.2

4.0

2.9

-0.3

3.4

337

化学

8.4

7.7

7.3

8.2

9.1

213

繊維製品

5.9

5.3

3.4

1.9

5.2

50

電気機器

6.6

6.1

5.5

5.6

6.6

244

ガラス・土石製品

8.4

8.1

6.4

7.5

8.1

57

輸送用機器

4.5

4.6

3.4

2.2

3.7

87

石油・石炭製品

6.9

6.0

3.5

6.7

5.8

10

パルプ・紙

4.6

4.8

5.6

5.6

6.7

25

その他製品

6.4

5.0

4.6

6.1

7.8

111

精密機器

-7.0

-12.1

-7.4

-7.5

-5.8

49

ゴム製品

9.8

7.5

5.9

6.1

6.9

19

鉄鋼

6.1

5.4

5.5

4.5

7.5

42

倉庫・運輸関連

5.9

6.2

5.9

5.4

7.0

39

海運業

5.5

5.6

4.2

7.7

27.7

11

空運業

7.8

7.3

5.4

-19.8

-5.0

5

電気・ガス業

8.3

7.5

8.3

7.0

4.2

25

※上記の数値は、各上場企業の有価証券報告書を元に算出しています。(単位%)

利益率を高めるためのポイント

それでは次に、利益率を高めるためのポイントを解説します。

利益率を高めるためには、売上を上げるかコストを下げるかのどちらか、もしくは両方を行う必要があります。

具体的には、以下の4つのポイントに注力するのが効果的です。

  1. 販売数を上げる
  2. 販売単価を上げる
  3. 売上原価を下げる
  4. 人件費を見直す

それぞれの方法とその効果について、詳しく解説していきます。

1.販売数を上げる方法とその効果

販売数を上げることで、売上高が増加し、利益率が向上します。

販売数を上げるためには、新規顧客を獲得することや、既存顧客の購入頻度を高めることが重要です。

販売数を上げる方法としては、以下のようなものがあります。

  • ホームページやブログ、オウンドメディアを作る
  • FacebookやInstagramなどのSNSで発信する
  • 広告を出稿する
  • ポスティングチラシを配る
  • お試し商品を作る
  • 販売エリアを拡大する
  • 既存顧客に紹介をお願いする
  • 営業時間の拡大や変更をする
  • 顧客層を変更する
  • 数量限定商品や期間限定イベントを企画する など

これらの方法には、インターネットやSNSを活用したものや、地域密着型のものなど、さまざまな手法があります。そこで、自社の商品やサービス、ターゲットに合わせて、効果的な方法を選択しましょう。

2.販売単価を上げる方法とその効果

販売単価を上げることで、売上高が増加し、利益率が向上します。

販売単価を上げるためには、顧客に付加価値を提供することや、商品やサービスの単価を見直すことが重要です。

販売単価を上げる方法としては、以下のようなものがあります。

  • 付加価値の高い商品やサービスを作る
  • セット購入を促す
  • 新しい商品やサービスを作る
  • 松竹梅メニューを作る

これらの方法は、顧客のニーズや満足度に応じて、適切な価格設定を行うことがポイントです。ただし、価格を上げる際には、顧客離れを起こさないように、タイミングや価格差を考慮する必要があります。

3.売上原価を下げる方法とその効果

売上原価を下げることで、利益が増加し、利益率が向上します。

売上原価とは、商品やサービスを製造するためにかかった費用のことです。売上原価を下げるためには、仕入れや製造のコストを削減する必要があります。

売上原価を下げる方法としては、以下のようなものがあります。

  • 仕入先と値引き交渉する
  • 外注加工を増やす
  • 品質が同等の価格の安い原材料等に変える
  • 代理店販売から直販に変える

これらの方法は、商品やサービスの品質や顧客満足度を維持しながら、コストを抑えることができます。ただし、コストダウンのために、品質やサービスが低下することは避けなければなりません。

4.人件費を見直す方法とその効果

人件費を見直すことで、利益が増加し、利益率が向上します。

人件費とは、従業員に支払う給与や賞与などの費用のことです。人件費を見直すためには、業務効率化や人員削減などの方法があります。

人件費を見直す方法としては、以下のようなものがあります。

  • 業務の自動化やクラウドソフトの導入
  • 業務フローの見直しや無駄な業務の省略
  • テレワークや在宅ワークの導入
  • 給与や賞与の水準や支給基準の見直し
  • 人員の削減や配置転換

これらの方法は、人件費を削減するだけでなく、従業員のモチベーションや生産性を高めることもできます。ただし、人件費の削減のために、従業員の負担や不満が増えることは避けなければなりません。

会計システムリプレイス時に見直したい組織のあり方

利益率のまとめ

上記のように、利益率は、会社の収益性を測る重要な指標です。利益率の目安は業界の特性や競争環境によって異なりますが、一般的に資本集約型の業界では利益率が低く、知的集約型の業界では利益率が高い傾向にあります。

利益率の業種別の目安を知ることは、自社の収益力を業界の平均と比較することや、他社の収益力を分析するのに役立つでしょう。

このように、利益率を管理することは、経営の成功につながります。それは、利益率を管理することで、自社の収益力や競争力を把握し、経営判断や経営戦略を立てることができるからです。また、利益率を管理することで、業務の効率化やコスト削減、付加価値の向上などの改善策を実施することができます。

そこで、利益率を正確かつ迅速に管理するためには、クラウド会計システムの導入がおすすめです。もし、自社の事業に最適なシステムがわからない場合は、いつでもスーパーストリームにご相談ください。貴社に最適なソリューションを提供いたします。

新規CTA

関連記事