トレンド情報 2024.09.18 (UPDATE:2025.04.15)
スーパーストリーム
所定労働時間と法定労働時間の違いを正確に理解し、適切に管理することは、企業のコンプライアンスを守るために非常に重要です。
なぜなら、これらの違いを把握することは、労働基準法を遵守し、企業にとって大きなリスクを回避することにつながるからです。
そのためには、所定労働時間と法定労働時間が何かを明確にし、それぞれの管理・計算方法を理解する必要があります。
また、労働時間管理における注意点や、よくあるトラブルの回避方法を知ることで、労働時間管理の精度を高め、企業全体の効率化を図ることが可能です。
そこで今回は、所定労働時間と法定労働時間との違いとは何か、管理・計算方法と注意点を解説します。企業の人事や労務管理を担当する方は、ぜひ参考にしてください。
所定労働時間とは、企業と労働者の間で、契約に基づいて定められた労働時間のことです。
例えば、1日7時間、週35時間を所定労働時間として定めることができます。
一方、法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限です。日本では、原則として1日8時間、週40時間が法定労働時間とされています。
所定労働時間は企業が自由に設定できますが、法定労働時間を超えることはできません。もし法定労働時間を超えて労働させる場合は、36協定を結ぶ必要があります。
36協定(さぶろくきょうてい)とは、労働基準法第36条に基づく労使協定のことです。この協定は、法定労働時間を超えて時間外労働(残業)や休日労働をさせるために必要です。
具体的には、以下のような内容が含まれます。
この協定を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出ることで、法定労働時間を超える労働が可能となります。ただし、臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内、月100時間未満という上限が設けられています。
引用:厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針 より
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所定労働時間とは、企業が就業規則や雇用契約書で定めた労働時間のことです。具体的には、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を差し引いた時間を指します。
例えば、9時から18時までの勤務で1時間の休憩がある場合、所定労働時間は8時間となります。
所定労働時間は、労働者と企業の双方にとって非常に重要です。なぜなら、所定労働時間を設定することで、労働者は効率的に仕事を行い、私生活とのバランスを取りやすくなるからです。また、企業にとっても、生産性の向上や従業員のモチベーション維持につながります。
例えば、所定労働時間が明確に定められていると、労働者は仕事の計画を立てやすくなり、無駄な残業を減らすことが可能です。これにより、労働者は仕事とプライベートの時間をしっかりと分けることができ、ストレスの軽減や健康維持に寄与します。
このように、所定労働時間の設定は、労働者のワークライフバランスを保ち、企業の生産性を高めるために不可欠です。
法定労働時間とは、労働基準法によって定められた労働時間の上限のことです。日本では、原則として1日8時間、週40時間が法定労働時間とされています。
法定労働時間は、労働者の健康と生活の質を守るために制定されたものです。
戦後の日本では、労働条件が非常に厳しく、長時間労働が一般的でした。これにより、労働者の健康や生活に悪影響が出て、社会問題となりました。その後、国際的な基準に合わせて、労働者の権利を守るために法定労働時間が設定されたのです。
具体的には、1947年に制定された労働基準法では、1日8時間、週48時間の労働時間が定められました。その後、1987年の改正で週40時間労働が目標とされ、1994年には正式に週40時間が法定労働時間となりました。これにより、労働者は過度な労働から解放され、健康と生活の質が向上するようになったのです。
このように、法定労働時間の制定は、労働者の健康と生活の質を守るために不可欠な措置と言えるでしょう。
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次に、所定労働時間と法定労働時間の計算方法と注意点を解説します。
所定労働時間とは、企業が就業規則や労働契約で定めた労働時間のことです。これは法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えない範囲で設定されます。
年間の日数(365日)から年間の休日数を引きます。
例:年間休日数が120日の場合、365日-120日=245日となります。
次に、年間所定労働日数に1日の所定労働時間を掛けます。
例:1日の所定労働時間が8時間の場合、245日×8時間=1960時間となります。
月平均所定労働時間を計算する際は、年間所定労働時間を12で割ります。
例:1960時間÷12ヶ月=約163.3時間となります。
このように、1日の所定労働時間が8時間で、年間休日が120日の場合は、月平均所定労働時間が約163.3時間となる計算です。
所定労働時間を計算する際は、休憩時間として、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。
また、所定労働時間を超える労働は残業となり、割増賃金が必要です。
関連記事:割増賃金に関する詳しい内容は、「労働時間とは?労働基準法が定める休憩や休日、上限ルールの定義を解説」の記事をご参照ください。
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法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限のことです。具体的には、1日8時間、週40時間が基本となります。
1週間の法定労働時間(40時間)に年間の週数(52.14週)を掛けます。
例:40時間×52.14週=2085.6時間となります。
月平均法定労働時間の計算では、年間法定労働時間を12で割ります。
例:2085.6時間÷12ヶ月=約173.8時間となります。
このように、1日の法定労働時間が8時間で、週の法定労働時間が40時間の場合、年間法定労働時間は2085.6時間、月平均法定労働時間は約173.8時間となります。
法定労働時間を計算する際の注意点は、所定労働時間を計算する際の注意点と同じです。
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次に、労働時間を適切に管理する際のポイントを4つ紹介します。
それぞれ解説します。
勤怠管理システムを導入することは、労働時間の正確な管理に不可欠です。なぜなら、手動での管理はミスが発生しやすく、労働時間の正確な把握が難しくなるからです。そこで、勤怠管理システムを導入することで、リアルタイムでのデータ収集と分析が可能になり、効率的な管理が実現します。
例えば、クラウドベースの勤怠管理システムを導入すれば、従業員がスマートフォンやPCから簡単に出退勤を記録でき、管理者がどこからでもデータを確認し、管理することも可能です。
始業と終業時刻の確認と記録は、労働時間の適切な管理において重要です。なぜなら、正確な始業と終業時刻の記録がなければ、実際の労働時間を把握することができず、労働基準法に違反するリスクが高まるからです。
例えば、従業員が毎日タイムカードや電子システムで始業と終業時刻を記録することで、管理者は正確な労働時間を把握し、適切な賃金計算が可能となります。
労働時間を賃金台帳に正確に記録することは、法的義務であり、適切な賃金支払いのために重要です。賃金台帳に正確な労働時間を記録することで、従業員に対する適正な賃金支払いが保証され、労働基準法に基づく監査にも対応できます。
毎月の労働時間を賃金台帳に記録し、残業時間や休日出勤時間も明確にすることで、従業員に対する賃金支払いが透明かつ正確になります。
労働時間の記録書類を適切に保存することは、法的要件を満たし、将来のトラブルを防ぎます。労働時間の記録書類を保存することで、労働基準監督署の監査や従業員とのトラブル発生時に証拠として利用できるからです。
以下では、労働時間を管理する際の注意点を4つ紹介します。
それぞれ解説します。
長時間労働は従業員の疲労やストレスを増加させ、健康問題や生産性の低下を引き起こす可能性があります。また、過労死などの深刻な問題にもつながるケースもあり得るでしょう。
そこで、定期的な休憩や有給休暇の取得を推奨し、従業員が適切に休息を取れるようにすることで、長時間労働を防止できます。
残業代を適正に支払うことは、従業員の権利を守り、法的トラブルを避けるために重要です。なぜなら、残業代を適正に支払わないと、従業員のモチベーションが低下し、法的な問題が発生する可能性があるからです。また、適正な支払いは、従業員の信頼を得ることにも寄与します。
労働時間の変更や残業については、従業員の同意を得ることが重要です。従業員の同意を得ずに労働時間を変更したり残業を強制したりすると、労働基準法に違反する可能性があり、従業員の不満やトラブルの原因にもなりかねません。
そこで、労働時間の変更や残業が必要な場合は、事前に従業員と話し合い、同意を得ることで、円滑な労働環境を維持することが重要です
労働時間の管理において法令を遵守することは、企業の信頼性を保ち、法的リスクを回避するために重要です。労働基準法などの法令を遵守しないと、罰則や企業イメージの低下につながる可能性があります。
そこで、労働時間の上限を守り、適切な休憩時間を確保することで、法令を遵守し、従業員の健康と安全を守ることが大切です。
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以下では、法定労働時間を慢性的に超える場合の効果的な対応策を紹介します。
それぞれ解説します。
36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることは、法定労働時間を超える労働を合法的に行うために必要です。なぜなら、36協定を締結していなかった場合には、法定労働時間を超える労働が違法となり、企業に罰則が科される可能性があるからです。
そこで、従業員代表と協議して36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、法定労働時間を超える労働が合法的に認められます。
このように、36協定の締結と届け出は、法定労働時間を超える労働を合法的に行うために不可欠です。
特別条項を設定することで、繁忙期などに一時的に法定労働時間を超える労働を認めることができます。なぜなら、特別条項を設定することで、企業は繁忙期に柔軟に対応でき、業務の円滑な運営が可能となるからです。
例えば、年度末の繁忙期に特別条項を設定し、従業員と合意することで、一時的に法定労働時間を超える労働が可能となります。
このように、特別条項の設定は、繁忙期に柔軟に対応するために有効です。
健康管理措置を実施することで、長時間労働による従業員の健康リスクを軽減できます。長時間労働は、従業員の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な健康管理措置が必要です。
例えば、定期的な健康診断やストレスチェックを実施し、従業員の健康状態を把握することで、早期に対策を講じることができます。
労働時間を適正に管理することで、法定労働時間を超える労働を最小限に抑えることができます。労働時間の適正管理は、従業員の過労を防ぎ、効率的な業務運営を実現するために重要です。
そこで、勤怠管理システムを導入し、リアルタイムで労働時間を把握することで、適切な労働時間管理が可能となります。
業務の効率化を図ることで、法定労働時間内に業務を完了させることが可能です。業務の効率化は、従業員の負担を軽減し、生産性を向上させるためにも重要です。
そこで、業務プロセスの見直しや自動化ツールの導入により、業務の効率化を図りましょう。
人材を増員することで、個々の従業員の負担を軽減し、法定労働時間を超える労働を防ぐことができます。人手不足は長時間労働の原因となるため、適切な人員配置が必要です。
例えば、繁忙期に臨時スタッフを雇用することで、従業員の負担を分散し、法定労働時間を超える労働を防ぐことができます。
法令を遵守することは、企業の信頼性を保ち、法的リスクを回避するために重要です。もし、労働基準法などの法令を遵守しないと、罰則や企業イメージの低下につながる可能性があります。
また、労働時間の上限を守り、適切な休憩時間を確保することは、法令遵守だけでなく、従業員の健康と安全を守ることにもつながります。
クラウド労務管理システムを導入することで、適切な労働時間管理がより効率的かつ正確に行えるようになります。以下に、主なメリットをまとめました。
それぞれ解説します。
クラウド労務管理システムは、業務の効率化と自動化を実現します。なぜなら、手作業で行っていた労務管理業務を自動化することで、時間と労力を大幅に削減できるからです。
例えば、勤怠管理や給与計算が自動化されることで、ミスが減り、迅速に処理が行えます。
これにより、従業員はより重要な業務に集中できるようになります。
リアルタイムでデータにアクセスできることは、適切な労務管理において重要な要素です。なぜなら、常に最新の情報に基づいて意思決定を行うことができるため、迅速な対応が可能となるからです。
例えば、従業員の勤怠状況や休暇申請のステータスをリアルタイムで確認できます。
これにより、管理者が適切なタイミングで、必要な対応を行うことができます。
労務管理システムは、労働法規や規制の変更に迅速かつ自動で対応するため、常に法令を遵守できます。これにより、法令違反のリスクを大幅に減らすことが可能です。
クラウド労務管理システムの導入により、コスト削減が期待できます。なぜなら、システムの効率化と自動化により、労務管理にかかる時間と人件費を削減できるからです。
例えば、紙ベースの管理からクラウドシステムに移行することで、印刷費や保管費用が不要となります。
これにより、企業全体のコストを削減し、利益を増加させることができます。
クラウド労務管理システムを導入することで、データの一元管理が可能です。すべての労務データを一つのシステムで管理することで、情報の整合性とアクセスのしやすさが向上します。
例えば、従業員の個人情報、勤怠データ、給与情報などを一元的に管理することが可能です。
これにより、必要な情報を迅速に取得でき、業務の効率性が向上します。
クラウド労務管理システムを導入することで、従業員の利便性が向上します。なぜなら、従業員が、自分の勤怠状況や給与明細を簡単に確認できるようになるからです。
例えば、スマートフォンアプリを通じて、従業員が自分の勤怠記録や休暇申請を行うことができます。
これにより、従業員の満足度とモチベーションの向上に寄与します。
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このように、「SuperStream-NX」を活用することで、労働時間の適切な管理が実現し、企業全体の業務効率を大幅に向上させることができるでしょう。
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スーパーストリーム
スーパーストリーム株式会社 商品企画部 商品企画課
1970年6月生まれ、宮城県生まれ、横浜育ち
旧公認会計士第二次試験合格後、監査法人にて国内企業の監査業務に携わる。
その後、米国系ERPパッケージベンダーにて、営業支援、製品ローカライズ、パッケージ導入業務に従事する。2003年4月より現職。SuperStream会計製品の商品企画を担当する。