トレンド情報 2025.05.20 (UPDATE:2025.05.20)
スーパーストリーム
デジタル技術の進歩によって、紙媒体の約束手形取引が2026年度末までに取引が廃止される予定です。そこで注目されているのが、電子記録債権(でんさい)といわれる、企業間取引における新しい支払い方法です。
電子記録債権は、従来の手形と比較すると手続きが簡単で、譲渡や管理のコスト削減が可能となります。また、電子化によって事務作業の効率化や不正防止にも期待ができるでしょう。
そこで今回は、電子記録債権(でんさい)と手形の違いや、会計処理の方法について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
まずはじめに、電子記録債権(でんさい)の基礎知識を解説します。
電子記録債権(でんさい)は、企業間取引における支払いを効率化するための新しい債権管理方法です。
従来の手形や振込に代わり、電子的に記録されることで、紙媒体を使用せずに債権の発生や譲渡、決済が可能です。これにより、印紙税の削減や不正防止、迅速な取引が実現します。
また、でんさいは、金融機関を通じて安全に管理されるため、信頼性が高く、企業の資金繰りを円滑にする役割を果たします。
電子記録債権制度は、企業間取引の効率化と安全性向上を目的として創設されました。
従来の手形取引では、印紙税や管理コストが課題となり、また紛失や偽造のリスクが存在していました。これらの問題を解決するため、2008年に電子記録債権法が施行され、電子的な債権管理が可能となりました。
この制度は、ペーパーレス化やデジタル化の進展に伴い、企業の資金管理をより効率的にするための重要な仕組みとして位置づけられています。
「でんさいネット」とは、電子記録債権の発生、譲渡、決済を安全かつ効率的に行うためのプラットフォームです。
でんさいネットは金融機関が連携して運営し、債権の記録や管理を電子的に行うシステムです。これにより、企業は債権の状況をリアルタイムで確認でき、資金繰りの計画を立てやすくなります。
また、でんさいネットは、債権の譲渡や決済を迅速に処理する仕組みを提供し、取引の透明性と信頼性を向上させる役割を果たしており、企業間取引の効率化に欠かせない存在です。
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次に、電子記録債権(でんさい)と手形の違いを解説します。
電子記録債権(でんさい)は、電子的に記録・管理されるため、紙媒体を使用せず、金融機関が提供するシステム上で一元管理が可能です。一方、手形は紙媒体で発行され、物理的な保管や管理が必要であり、紛失や偽造のリスクが伴います。
また、でんさいはリアルタイムでの記録更新が可能で、債権の状況を即座に確認できる点が特徴です。これにより、管理の効率化や透明性の向上が実現します。
手形では、記録の更新や確認に時間がかかるため、迅速な対応が難しい場合があります。
電子記録債権では、発生から譲渡、支払までのプロセスが電子的に完結します。発生時には、債権者と債務者が金融機関を通じて記録を行い、譲渡時にはシステム上で簡単に手続きが可能です。支払も電子的に処理されるため、迅速かつ安全です。
一方、手形は発行後に物理的な譲渡が必要であり、譲渡時には裏書きが求められます。支払時には手形の提示が必要で、手続きに時間がかかる場合があります。
このように、でんさいは手形に比べて効率的で利便性が高いといえるでしょう。
2026年には、約束手形や小切手の利用が廃止される予定です。この制度変更は、取引の効率化やデジタル化を促進するために行われます。
手形の廃止により、企業は電子記録債権や他の電子的な決済手段への移行を求められます。これにより、印紙税の削減や管理コストの低減が期待される一方、システム導入や運用に関する準備が必要です。
この変化は、企業の資金管理や取引の在り方に大きな影響を与えると考えられています。
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以下では、電子記録債権の会計処理と仕訳の方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
電子記録債権の会計処理には、債権者側と債務者側で異なる仕訳が求められます。基本的には、電子記録債権は金銭債権として扱われ、発生時、譲渡時、決済時にそれぞれ適切な仕訳を行います。
債権者側では「電子記録債権」勘定を使用し、債務者側では「電子記録債務」勘定を使用するのが一般的です。また、譲渡や決済の際には、取引内容に応じた仕訳を行い、正確な記録を維持することが重要です。
これにより、企業の財務状況を正確に反映させることができます。
債権者(納入企業)が電子記録債権を受け取る場合、以下のような仕訳を行います。
借方 |
貸方 |
||
売掛金 |
2,000,000円 |
売上 |
2,000,000円 |
借方 |
貸方 |
||
電子記録債権 |
2,000,000円 |
売掛金 |
2,000,000円 |
借方 |
貸方 |
||
普通預金(現金等) |
2,000,000円 |
電子記録債権 |
2,000,000円 |
債務者(支払企業)が電子記録債権で支払う場合、以下のような仕訳となります。
借方 |
貸方 |
||
仕入れ |
2,000,000円 |
買掛金 |
2,000,000円 |
借方 |
貸方 |
||
買掛金 |
2,000,000円 |
電子記録債務 |
2,000,000円 |
借方 |
貸方 |
||
電子記録債務 |
2,000,000円 |
普通預金(現金等) |
2,000,000円 |
なお、各仕訳は実際の取引金額や勘定科目の運用方針に応じた調整が必要です。電子記録債権・電子記録債務は、発生・消滅の都度、正確な仕訳処理が求められます。
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次に、企業が電子記録債権を導入するメリットを3つ紹介します。
電子記録債権を導入することで、紙媒体を使用しないため印紙税が不要となり、コスト削減が可能です。
また、債権の発生や譲渡、決済が電子的に行えるため、手作業による事務負担が大幅に軽減されます。さらに、債権の管理がシステム上で一元化されることで、紛失や記録ミスのリスクも低減します。
これにより、企業は効率的な業務運営を実現し、人的リソースを他の重要な業務に集中させることが可能です。
電子記録債権は、債権の記録が金融機関を通じて行われるため、取引の透明性が高まり、資金回収の確実性が向上します。また、債権の状況をリアルタイムで確認できるため、未回収リスクを早期に把握し、適切な対応が可能です。
さらに、電子的な決済プロセスにより、支払い遅延のリスクが低減され、企業のキャッシュフローをより効率的に管理できるでしょう。これにより、安定した資金運用に期待できます。
電子記録債権は、システム上で譲渡や分割が容易にできるため、取引の柔軟性が向上します。
例えば、債権の一部を譲渡する場合でも、システム上で迅速に処理できるため、取引先との交渉がスムーズに進むでしょう。また、複数の債権をまとめて管理することも可能で、効率的な資金運用が実現します。
この柔軟性により、企業は取引の多様なニーズに対応しやすくなり、競争力を高めることが可能です。
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以下では、電子記録債権を導入する際の注意点と対策について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
電子記録債権を導入する際には、システム導入にかかる初期費用やランニングコストを考慮する必要があります。そこで、導入前に複数のシステムを比較し、費用対効果を評価することが重要です。
また、無料トライアルを活用し、実際の運用に適したシステムを選定することで、コストを最適化できるでしょう。さらに、導入後の運用費用を事前に見積もり、予算計画を立てることが効果的です。
電子記録債権の操作や運用には、従業員がシステムに習熟するための時間とトレーニングが必要です。特に、初めて電子記録債権を導入する企業では、操作ミスや運用の不慣れが課題となるでしょう。
そこで、導入時に操作マニュアルを整備し、従業員向けの研修を実施することが重要です。また、システム提供会社が提供するサポートサービスを活用し、運用に関する疑問や問題を迅速に解決する体制を整えることが効果的です。
電子記録債権を導入する際には、取引先が同じシステムを利用しているか、または対応可能かを確認する必要があります。なぜなら、取引先が電子記録債権に対応していない場合には、導入のメリットが十分に発揮されない可能性があるからです。
そこで、取引先に電子記録債権の利点を説明し、導入を促進することが重要です。また、取引先が対応していない場合でも、代替手段を検討し、取引の円滑化を図る必要があります。これにより、導入効果を最大化できるでしょう。
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電子記録債権・債務の発生、譲渡、割引、取消、決済といった一連の業務プロセスをシステム上で一元管理できます。これにより、手作業や複数システムを使った煩雑な管理が不要となり、業務効率と正確性が大幅に向上します。
電子債権記録機関である「でんさいネット」や「JEMCO」に標準対応しており、発生記録請求や譲渡記録請求データの作成・アップロードがスムーズに行えます。法制度や実務の変化にも柔軟に対応できる点が強みです。
電子記録債権・債務の発生や決済、譲渡などで発生した仕訳データは、SuperStream-NX 統合会計システムに自動連携されます。これにより、会計処理の正確性とスピードが向上し、内部統制や監査対応も強化できます。
電子記録債権・債務の残高や処理履歴を確認できる豊富な帳票や、債権・債務の状況をリアルタイムで把握できる管理機能が充実しています。これにより、経営層や経理部門が必要な情報を迅速に取得できます。
債権と債務が同時に発生する取引先については、システム内で相殺処理や消込処理が可能です。これにより、複雑な取引先管理や残高管理も効率的に行えます。
会計・債権債務管理の厳格な内部統制やガバナンス要件に対応しており、上場企業や大手中堅企業の高い実務ニーズにも応えられます。
上記の特徴により、SuperStream-NXは企業のバックオフィス業務の効率化と経営戦略の支援を実現する総合的なソリューションとなっています。
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スーパーストリーム
スーパーストリーム株式会社 商品企画部 商品企画課
1970年6月生まれ、宮城県生まれ、横浜育ち
旧公認会計士第二次試験合格後、監査法人にて国内企業の監査業務に携わる。
その後、米国系ERPパッケージベンダーにて、営業支援、製品ローカライズ、パッケージ導入業務に従事する。2003年4月より現職。SuperStream会計製品の商品企画を担当する。